鈍色の世界が私の全て

みーた

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Ozは自分の胸に手を当て静かに目を閉じる。
平常時と変わらない落ち着いた鼓動を感じたと同時にチッチッと微かな機械音

兵器である彼らの胸には小型起爆装置が設置されており発動すれば小さい都市一つ程の穴を作れるくらいの威力を持つ。ただ、目的の魔石鉱山までもが吹き飛ばされてしまうが我が尊き国王陛下であればよく敵勢力を削ぎ落としたと褒めてくださるかもしれない。自分が死んでしまっては、その後褒められようとも後の祭りである事など戦場でしか生きたことのないOzには分からなかった。



手順を確認し仲間に合図を送る。


『零式部隊、隊員皆に告ぐ。彼岸花へと行動移行。繰り返す彼岸花へ』



それまでの喧騒な音がピタリと止んだかのように静まり返り大隊長の声が戦場に響き渡る。
大きな声は張っていないのにも関わらず、彼の声変わりがきてない少年特有のソプラノの声が敵味方の耳にスッと通った。



「「イルタントに栄光あれ」」



了解の合図が返ってきた。
Ozは閉じていた目をしっかり開け前方を見据える。




さぁ、華の様に美しく散って行こう。




最後の力を振り絞り、残り両の手で収まる程の数しかいない自分の兵士と共にできる限り敵へ近づく
相手もこっちの意図に気づき的確に1人1人と落としていく。


『まだだ、ここで咲いても近くの都市まで届かない。散るなら大きく咲け!』


あと3キロ先に進めば確実に近くの貿易都市の港にも少しのダメージを与えれる。私たちの足なら2分あれば到達出来る。動かせ、動かせ、足を前に進めろ!!




1キロ内に入りタイマーを入れる。






その間も仲間はまた1人と地に伏せ、それを視界の端に収めつつお疲れ様と心の内で呟く。
視界も掠れ足が重い。




チッチッと音が大きくなっていく。




圏内に入った。自分の体から眩しいくらいの光が溢れ出る
白い幻想的な色合い。昔見た、教会のステンドグラスから反射して光っていたあの淡い色みたいな
最後にこんな景色が見れるなんてと、心がポカポカしてくる。





『さ・・・ぁ・・。みぃ・・・んな・・に会いにいこ・・ッ』



目も耳も聞こえなくなり、痛覚も感じない。
どうなったかなんて分からないが、これが死なら先に逝ってしまった仲間に労いの言葉をかけに行かないと。
私たちは兵器だが仲間達のことは背中を預ける物同士、大切にしていたつもりだった。



「大隊長でもダメだったんですね」って皆に揶揄われるのかな。




ふと、何かに包まれている様な神に抱かれているかの様な温もりを感じた気がした。


『あ・・ッ・暖・・かぃ』








そこで、私の記憶は途切れてしまった。







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