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23;マルガリータ 3(結婚式)

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婚約してからとんとん拍子に結婚式の段取りが進んでいった。

「招待客以外が多いな、お祝いしたいので出席させてくれと言って来る国が多い」
宰相の兄が頭を抱えている。
「エミリオが出席するからだろ?一国の単なる公爵家の結婚式なのに、各国の王族が主席するなどと言って来るものか・・・」
双子の兄王太子も頭を抱える
「警備が追いつかないぞ!」

「教会から、王都全教会の代表の出席も提案されてる・・・」
「皆エミリオとのつながりを求めているのがありありだな・・・世界王と言われるのは伊達じゃないか・・・・警備、エミリオに相談したほうがいいな」
「そうだな・・・魔王まで言って来てるからな・・・」

エミリオからは断れと返事が来た
「断れって・・・魔王はエミリオから言うって言ってくれたけど・・・」
「しょうがない!返信だけ失礼の無いように送っとこう」
「教会の方は、例の件もあるし、チェインスター教会が、マルガリータを認めている事を広める為に、受けとこう」
「そうだな」

それでもかなり大きな結婚式になった。
チェインスター教会に集まった大勢の人
野次馬も多く居たが、教会関係者もかなり多かった。
「・・・こんなに凄い式になるなんて誰も言ってくれませんでしたわ」
教会の入り口で、開け放たれた扉の向こうの蒼然たる雰陰気に足が震えるマルガリータ
長いベールを小さな子供たちが持って歩く、祭壇の横で待っているジェフリー・マンデヴィル公爵
結婚と同時に爵位も継ぐことになり、正式にこれでマルガリータは公爵夫人となる。

誓いの言葉を言い、誓いのキスをすると大きな拍手が沸き起こる
マルガリータは感動して泣いていた、祝福された居るのがありありと解ったから
ジェフリーを見るととろけそうな顔を自分に向けていた
「ジェフリー様・・・」
顔が赤くなる
「マルガリータ、幸せにします」
「はい・・・・」

初夜
「すみません、汚れた私で・・・・」
そう抱きしめられ、ベットに倒されながらマルガリータは言う
「それなんですが・・・エミリオが言ってたんですが、完璧に治療して、元に戻したと言ってました・・・」
「?それはどういう意味?」
「えっと・・・処女に戻ったって事です」
「・・・・!」
「だから、貴方は無垢な形で私の花嫁になる事となります、嫌な記憶は嬉しい記憶で塗り替えさせてあげますよ」
そう言ってマルガリータにキスをするジェフリーだった


チュンチュンチュン
「ここは・・・あれは・・・」
「どうかしましたか?おはようございますマルガリータ」
「夫婦の営みがこんなに幸せな者だったなんて・・・」
「これからもっと幸せにします」
そう言ってまた、口付けをするジェフリーだった。

「もう少し触れていても良いですか?」
赤くなりながらこくっと頷くマルガリータだった

30を過ぎて女の幸せを諦めていたマルガリータ
あらためて、若く美丈夫な旦那様を見つめる
「本当に私でよかったのかしら」
「あなたが良いのです」
「え?・・・あっ声に出してました?やだわ・・・」
火照った顔を隠すマルガリータの手を掴んで自分の唇に当てるジェフリー
「今日はずっとあなたと居たい」
そういって濃厚なキスを落とすジェフリーだった。

(いや・・幸せだけど・・・若いって大変)
そう一日中鳴かされ続けたマルガリータは天蓋付きベットの天井を見る
もぞもぞとまた、マルガリータの体を這う手を、少し恐怖に思うマルガリータだった。

そんな日々が数ヶ月過ぎて、妊娠が発覚した頃、お忍びでエミリオがたずねてきた。
「姉上?幸せそうで何よりです」
「エミリオ、久しぶりね王様がこんな所に来て大丈夫なの?」
「優秀な補佐官が居ますから大丈夫ですよ」
「急に来ると言うから、屋敷の者が大慌てだったわよ」
「姉上の様子を見たら直ぐお暇(いとま)しますので、お気遣い無く」
「私の?」
「額を見せてください」

「え?・・・あぁ・・・もう見えなくなったわよ傷、消えないと思ってたのに」
「そのようですねよかった、あの傷は呪いだといいましたよね?」
「そうよね?何故消えたの?」
「幸せだからですよ、呪いが完全に解けてます、それを確認に来ました。」
「エミリオの呪いの後も凄く薄くなってる・・・そうかエミリオも幸せなのね」
「はい、気がかりは姉上だけだったのでこれでもっと薄くなると思います。」
二人は幸せそうに笑いあった。

それから2男2女を立て続けに産み、跡継ぎ問題で嫌味を言われることも無く、公爵家にも大事にされ、幸せな結婚生活を送るマルガリータだった。

晩年になってもたまに、寝室から出てこれない日が有ったり、愛され続けたマルガリータだった。

(孫も居るのに、まだ求められるのは喜ぶべきなのか・・・)
そう、しわの増えた自分の手を見ながら、その向こうに裸で抱き付く壮年の旦那様を見つめて、幸せな溜め息を吐くのは、かなり歳を重ねた頃だった。











ーーーーーーー
王都郊外、北の端の小さなチェインスター教会の一室
「教会の代表に私をですか?司教・・・私はまだ神父になって1年目の新米ですよ」
「我はもう歳じゃ、中央に出かけるのも辛い、代理としてもう申請してある・・・」
「司教・・・ちょっと待って下さいよ!王も世界王も来られる結婚式に行けませんて!」
「大丈夫じゃ!社会見学と思って行ってこい!」
「司教~!・・・・」

ジャクリン子爵家3男、フレデリック・ジャクリン19歳は後を継げない為、18で学校を卒業後、司教になるべく教会の神父となり修行中である。
フレデリック・ジャクリンは特殊な能力があり、治癒に魔力を使わない、その為治癒力は弱いが無制限に治癒が出来る特殊な人間だった。

もう一つ特技があり、精霊語が解る貴重な人間だった。
『フレデリック!行くべきよ』
そう精霊語で話しかけてくる中級の光の精霊
人間の言葉が話せるのは上級精霊だけなので、中級以下の精霊と言葉での、意志の疎通が出来るのは貴重であった。

王都南側の発展は目覚しい、王宮があるからだが、北の端のこの地区は忘れられた地区で、年寄りばかりだった、ゆえにフレデリックの治癒はありがたく、フレデリックを可愛がるおじいちゃんおばあちゃんが沢山居た。治癒は基本無料、唯一のお金の収入源のお布施はあまり集まらないが、野菜や手作りの工芸品などをお布施代わりに持ってきてくれるので、司教と神父二人だけの教会はどうにかやってこれていた。







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