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14:エミリオ2(旅立ち)

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母と庭園の東屋の椅子に座る、遠巻き護衛を置き、二人で話をする。

「どうして、こんなことに」
嘆くロゼッタ
「神様のイタズラとしか思えないよね」
結構冷静な僕
「どうすれば」
「どうもしなくていいんじゃないかな?」
「でも・・・」
「しかし、あまり重なる時間は持たないほうが良いかも、そう言えばこうやって話したな」
「未来が分かるって事よね」
「そうだね、でも重要不可欠な事だけ話すよ、言っておくよ幸せな人生だったからね、これから僕に何が起ころうと」
「何か起こるの?」
「まあねそれは言わないで置くよ、僕は15歳になったら王家を出る、悪いけどその段取りだけお願いする」




あれから12年
「王妃様は酷いです、エミリオ様をこの12年遠ざて、その上王宮から追い出すなんて」
「マリア、違うよそうお願いしたのは僕だからね、母上は会いたいと何度もおっしゃってた、数回は会ったけど、会わない方がいいんだよ僕たちは」
侍女のマリアは長年傍に居てくれた信頼できる侍女だった、
旅の準備をしているエミリオをみて、悲しそうにしている。
「マリアも侯爵との結婚決まったんだろう?僕の事は忘れて幸せになってね」
「エミリオ様・・・うっ・・」
泣きだすマリア、僕より5つ年上のマリア、貴族令嬢としては遅いが、結婚が決まり王宮から退くことになっていた。
「別に身分が無くなる訳じゃない、邪神の探索に行くだけだよ」
「でも一人でなんて・・・」
「それも私がお願いしたんだ、言っては何だけど従者は足手まといだからね、僕が居なくても、兄上の直径男子がもう3人居るし、他の兄上達にも男子の子供が沢山居る、跡継ぎには困らないし、妹たちは二人でだが8精霊がいる、力も問題ない国は安泰だよ、私は世界を見てくるよ」

準備が終わり、侍従に従い謁見の間に行くエミリオ
「エミリオ、世界を見て無事帰って来るのだぞ」
「無事で・・・あなたがこの国の王子なのは変わらないのです、辛くなったら直ぐ帰ってきてね」
王と王妃が悲しそうにこちらを見ながら言う
「はい、世界を見てきます、母上、ありがとうございます」


皆に見送られ王都を出た、まず向かうのは国境の街 ロウタン。 
母の発明品、自動魔動2輪車に乗りロウタンの街に着いた、
自動魔動2輪車は生き物が入れられない収納魔法に対し移動手段を収納できるのが良い
自動魔動2輪車は小さいのものは原付程で収納力が小さい人でも収納出来て、今流行っているのだ
エミリオのは結構大きいので馬力があり、スピードも速い!、馬車で1日かかるところ3時間ほどで着いた
一度言ったところなら移転魔法で行けるので一度行ってしまえば移動手段は要らないのだか、半分楽しんでいるエミリオだった。
本当は魔石の力で動いているので音はしないのだが、安全の為に音を発するようになっている、ブオンブオンと言うう音はロゼッタが付けたものだった。

大きめの音でロウタンの街を行くと、同じ自動魔動2輪車の小さいものが多く走っていた。
珍しい大きな自動魔動2輪車に注目が集まっていた。
自動魔動2輪車を降り、収納にしまい、宿に向かう為街を歩いて居ると、領主の館の前を通過したとき
「エミリオ!」
聞き覚えのある声がした
(げっ兄上なんんでこんな所に)
見ると声を掛けて来たのは
第一側室妃:ミレーヌ様の子
ウィリアム・ダグラス公爵29歳、第3王子だ
唯一、兄の中で独身の彼は男色家で知られている。
何故かエミリオを溺愛していて、小さい時から何かにしてスキンシップを取ってくる兄である。
(見送りに来ていないからどうしたのかと思ったらこんな所に居たなんて、散々一緒に行くと煩かったけど、まさか待ち伏せ?ついて来るなんて言わないよね、前世の記憶で、エミリオの旅立直後の事分からないんだよな・・・ウィリアム兄上は放蕩者だから居所はいつも分からない、何時もの事だとと思ってたけど・・・)

大きい体の兄、身長195㎝、体重100キロ険や体術でも師範の腕前を持つ、昨年までは軍の大佐の地位にあった、いきなり自分から辞めたので周りは困惑していた、辞めた時期が、エミリオが一年後に旅に出る旨を発表されたから、皆てっきりエミリオの護衛と思われて居たが、実際は一人で行くと分かり、再度任務に就いてくれとの要望がひっきりなしだったと聞く、そんなん周りを横目に、どこ吹く風で1年間ふらふらしていたウィリアム、付き合っていた騎士(男)と別れたとも聞いた。

「ウィリアム兄上どうしてこんな所に、髪切られたんですね」
近づいてくる熊のようなウィリアム、母親譲りの綺麗な金髪をバッサリと切って爽やかな美青年となっていた
長髪の時は、浮名を流す感じで妖艶な感じがしていたが、一転していた。
「エミリオも切ったじゃないか、それに長髪は嫌いだろう?」
「?いや、旅に出るのに長髪は邪魔だから切っただけで、長髪は嫌いとは言ってませんし、自分の髪型は短い方が好きだと言っただけで、他の人は似合えばどちらでも・・・」
「私は似合わないか?始めただよ短くしたの」
「ああ、似合うと思いますよ爽やかです」
「そうか!」
顔を赤くして此方を見つめるウィリアム
「エミリオを私流で見送りたいから此処で待っていたのだよ、宿は決めているのかい?」
「・・・宿は母が準備してくれていて、そこに向かうところです」
「後で訪ねてもいいかな?」
「・・・構いませんが、明日は国境を超えるのでお酒などは飲みませんよ」
「え?そう?そうだね・・・分かったよ美味しいハーブティ持参で行くよ」
「解りました、兄上わざわざありがとうございます」
お辞儀をして宿に向かうエミリオ、
その背を欲望の目が見ていることに気が付かないエミリオだった。


宿はスイートルームが予約してあった、料金は国持ち
「奮発しすぎ、最初からこんなに甘やかしてどうするんだまったく宰相(兄)は!」
(そうたしか宿の手配は宰相に頼んだ、そこそこいい宿でと言ったが、この町で最高級じゃないか、全く・・・)
シャワーを浴びて、収納内の武器の手入れと食料の確認をしていると
宿のメイドがお客の訪問を伝える
「エミリオ!」
何時も連れている従者と一緒に入って来た
「宿に夕食はこちらに運ぶように言っておいたから」
「あ!もうそんな時間か、」
「夢中になると時間忘れるのはロゼッタ様そっくりだな」
「・・・・すみません兄上」

運ばれてきた夕食を二人で食べて、これからの事や昔話など話していた。
宿の従業員が後片付けをして、お茶を出して退席、従者に下がるように言ううと二人きりになった。

「そうだ、それ飲むの待って、ハーブティ入れるから」
そう言って従業員が置いて言ったポットの所に行き茶葉を入れ始めた

ハーブの臭いを嗅いでゆっくりと飲み出したところに
「ところで、エミリオ、高級娼館に行ったんだって?」
「ぐっげっほげほっ」
「従妹のマリオンとウォルター・モンタギュー公爵(第7王子、第四側室妃:エイザベスの子)に連れられて行ったって?」
「なんでそんな事知ってんですか?」
「エミリオの事は常に気にかけてるからね」
(ストーカーか!?こわっ)
「でどうだった?」
「そんなこと言うわけないじゃないですか!」
「ちゃんと出来た?」
「帰りに相手の娘が、プライベートでも会いたいと店の下男に分からない様に連絡先を貰うくらいは」
「へぇ~」

「このお茶変わってますね」
話をそらそうと言ったが、何か目の前がボートしてくるエミリオ
「これは、兄上?何か入れました?」
「催淫剤、と封印の魔法の組み合えわせ、気持ちよくさせてあげるよ」
「何を・・・」
「エミリオに魔法では敵わないからね」
「兄上?」
「愛してるよエミリオ」





チュンチュンチュン
「うっ・・・頭痛い」
(昨日どうしたんだっけ)
「腕が動かない、それにまっぱだし・・・」
腕を見ると誰かの頭が、綺麗なさらさらの金髪
「!そうだ、兄上に催淫剤盛られて・・・お尻!・・・痛くないなあれ?でも気持ちよかった気が」
ゆっくりと記憶を呼び起こす・・・
(有りえないだろ・・・この図体で受けかい!)
兄の恋人履歴を思い出す
(皆兄よりは小さい人ばかりだな、同じくらいの体格の人で恋人だったこと無いな、この前別れたって噂の騎士、小柄(175㎝の70キロ程)だけど、優秀で男気溢れる人で男色家の話は兄まで無かった、あの人が兄に組み敷かれてって思ったら違和感マックスだったので、兄が受けだったら有りえる?いや、あの人は男色じゃないな、兄にこんなふうに盛られて脅されたか?・・・兄上何やってんですか・・・)

「兄上・・・なにやってんですか?」
朝のエミリオのを掴んでなにやらもぞもぞし出していた
「いやか?」
上目使いに大きな体の美男子がこちらを見る
「いやと言ったら辞めます?」
「やめない」
唇を奪われ、正気のまま大きな体を抱いた・・・

「幸せだ、長年の願いがかなった」
そう言う兄
お風呂に一緒に入りたがったが却下
あがって旅装束に着替えていた
「連れては行かないからね」
「エミリオ・・・」
「それに、貴方と恋人になる気は無いから、僕はやっぱ女の子が良い」
「エミリオ・・・」
「落ち着いたら連絡はしますよ、その頃には婚約者を紹介できると思います。」
泣きだす兄
「この思いどうすれば良い?」
「私に似た人を無理やり恋人にする変態は嫌いです、自分の立場と力を理解して、人々に貢献している人が好きです。」
「・・・どうして・・・」
「地位的に文句言えない人を無理やりしたでしょう?」
「・・・・」
「彼は結婚できたけど、中には結婚相手も恋人もいない人居ますよね?トラウマになってませんか?」
「・・・・」
「私は、男同士だろうが女同士だろうが良いと思いますよ、でも無理やりはダメです、ちゃんと同じ思いの人を相手にしてください。」
「エミリオ」
「私は兄として、貴方の事好きですよ自慢の兄です、それではいけませんか?」

そういって兄を抱きしめた
172㎝65キロの小柄なエミリオではすっぽりと抱きしめるのは無理だった、
ウィリアムはゆっくりと体を起こし逆にエミリオを抱きしめた




「安否の確認は母が感知するので、連絡はしませんじゃ、」
自動魔動2輪車にまたがるとウィリアムとその従者に見送られ旅だった

その後ウィリアムは、軍に戻り国の防衛、公爵家の領地運営に精を出したが、結婚はやはりしなかった。
数年してエミリオが、落ち着くと家督を甥にゆずり、エミリオを追いかけて行った、エミリオの妻とよく口喧嘩して居る所をメイドとエミリオが見かけて、溜め息を吐いている光景がよく見られていた。
内容はいかに自分がエミリオに愛されているかであった・・・
「陛下、ちゃんともっと二人共、愛してあげてください!迷惑です」
そういつも言うメイドだった・・・






エミリオは魔獣の巣窟の森に居た
旅だってから2年、17歳になったエミリオは身長も180まで伸び、精悍な大人の男性の顔つきになって来ていた。
洞窟の前に立つ
「凄い邪気」
まがまがしい邪気を洞窟内から感じる
「誰も連れてこなくてよかった普通の人間は即死だな」
ゆっくりと洞窟内に入るとまがまがし姿の邪神が石化した姿で太い鎖でつながれていたその中央に女性が

『ジョアンナ様』










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