赤の王~ 婚約破棄?から始まる花嫁さがし~

朋 美緒(とも みお)

文字の大きさ
上 下
5 / 21

05;赤の死神

しおりを挟む
(全てが何も間もが色あせてしまった気がする)
血のように真っ赤に染まった空を仰ぎ見てリリアナは思った、
累々と横たわる死体の山の中央に立つ、赤い髪の青と金の瞳の少女
彼女が倒れる寸前、赤い髪は一瞬のうちに白く色あせ、瞳の輝きが消えた





ジフと一緒に居ることが増え、お互いを意識し出したのはいつ頃からだろう
気が付くと手を繋ぎ、肩を寄り添っていた.
触れ合うことも多くなりお互いの夢も重なっていた
「お店何処に出そうか?やはり王都に行った方が良いかな」
二人で語る夢の話は楽しかった

そんな時隣国を席捲していたテロリスト集団が【聖クランデイール王国】に迫って来ている情報が入って来た

「これは・・・」
【 西の都 】ギルドに届いた王城からの命令書
「王城から全ギルドに命令が下った、ランクC以上の冒険者の戦場への招集だ」

ギルドは独立した組織だ、基本政府からの命令は有りえない、
「要塞都市がテロリストに占拠されたと、奪還のために王国兵士、騎士団、冒険者を招集するとの命令書だ」
「ギルド長!?・・・要塞都市ってジョアン?」
「ああ・・・」
「戦争なの?」

リリアナは14歳になっていた

<戦争>
修羅場を幾つも潜ってきたリリアナだったが、ピンと来ないでいた
「王都警備と前線に冒険者を出せと・・・くそっ俺らは戦争をするために冒険者になって無い!」
「断れないの?」
リリアナも独立した組織のはずの冒険者ギルドに「命令」は可笑しいと思った
「要塞都市ジョアンはギルド長の生まれた町なの」
そうルイズが言うと、それは関係ないとギルド長は言う

「過去世界大戦の時には招集されたらしい、命令ではなく依頼だったらしいが」
「今回は世界大戦並に広がる可能性があるからじゃない?」
そう横やり入れて来たのは情報屋の獣人のミミィ、
「要塞都市にはあれがあるじゃない」
「・・・・古代兵器アルゲドン・・・・一発で直径10キロを焼きつくし破壊できると言われる」

「あれは動かせないよ、魔力が大量に要って、優秀な魔導師が100人廃人になるレベルの兵器だぞ」
無理だと言うギルド長
「廃人にしてもかまわないと多分奴等は思っているわ、そう言う奴等だよ」
「古代兵器アルゲドンって始祖王の時代の遺跡だよね、魔力があれば使えるの?」
「始祖王は桁違いの魔力の持ち主で<魔力石(まりょくせき)>が3つあったそうだ今でも使用可能だ,
発射は出来なかったが、初期始動は出来たと聞く」

冒険者ギルドとしては、強制は受け入れないとして依頼として受けることを、主だったギルド長とSSランクの冒険者の総意として王政府に受け入れさせた


リリアナとジフも行くことになった、出発数日前
街のレストランに多く冒険者の姿があった
「リリィ、この戦闘が終わったら君の15歳の誕生日に結婚式をあげよう」
二人で端のテーブルに居たジフがリリアナの手を取り言った
「うん、よろしくお願いします」
赤くなり涙を浮かべるリリアナ
そこへバニッシュギルド長がやっきた
「リリアナ、ジルと結婚するのか?よし!父親役は俺に任せておけ」
二人の背中をバシバシ叩くバニッシュギルド長
「「痛い・・」」
「ギルド長のタキシード姿想像できない~」
ルイズも二人の所に来て二人を祝福する
「おい!ルイズ!そんなもん着るわけないだろう?俺の正装は筋肉だ!」
「「えぇ~やだ~」」
周りが笑に包まれた、幸せな空間だった

その夜リリアナとジフは二人同じベットで夜を過ごした
二人の関係が深くなったことを周りの冒険者たちは一目で分かった

そして幸せそうな二人、皆、二人を守ろうと決意していた




要塞都市ジョアンは跡形もなく燃え落ちていた
2万人いた住民はその4割が逃げ遅れ死亡した
弱弱しい足取りで逃げる住人の横を冒険者と王国軍と騎士隊がすれ違い進軍している
「かける言葉もないなお互い」
そう言うバニッシュ
リリアナはぎゅっと唇を噛んだ
絶望の住人と、死地に向かう兵士
「守りたい、皆を」
「そうだな」
がしがしと頭をなでてくるバニッシュ


リリアナは体の小ささと隠密の優秀さで砦の内部工作班になった
内部班は障壁の解除と古代兵器アルゲドンの無力化が任務、
とても危険だが隠密の魔法を自分以外にも施せるのはリリアナだけだったので
バニッシュの抵抗むなしく軍部に押し切られた

「大丈夫、私が皆を守る」

そう意気込むリリアナ、がしかし心臓はバクバクだった
今までと違う敵の人数が違う脅威の桁が違う
ひしひしと感じるリリアナだった

テロリストとはいえ軍隊と同じ形態を持ち、人数も1000人は超えていた
【聖クランデイール王国】側は軍隊1200人(内100人は輸送隊)騎士隊300人冒険者120人

内部工作員
軍隊から10名、アルゲドンの無力化が任務
騎士隊から10名、障壁の解除任務
冒険者から6名、護衛、かく乱、隠密魔法要員
女性はリリアナ含め3名,魔法が得意な冒険者達

軍隊は砦向かって扇情に展開
古代兵器を使われても全滅を防ぐ為だ
各小隊には優秀な障壁を張る魔法使いが配置はされているが
古代兵器の威力が分らないため皆、緊張していた

リリアナ達は隠密、光学迷彩、魔力感知遮断などを使い砦に侵入していった
外では戦闘が始まっていた


古代兵器アルゲドンの軌道システムは屋上付近にある。
「何か嫌な感じ」
そんな気配の中、上へと進んでいった。

大きなフロアに出た
何人もの魔導師らしき人間が倒れている
生気が感じられない、殆どの人間が死んでいた。

「酷い」
「ん?だれか居るのかい?」
起動システムの石板の前に妖艶な女性が立っていた

「死を呼ぶ魔女フランチェスカ!」
「あらっ私のこと知ってるやつがまだ居たなんて、あなた見た目の年じゃないわね」

冒険者の魔導師の女性が死を呼ぶ魔女フランチェスカに向かって言った.

「私はエルフだ、忘れもしないぞ!その顔!人族の癖に1000年も生きている化け物!」
「いや、死んでるね・・・」
そう言ったのはリリアナ

「!ふふはははっ、そうさね私はアンデットだよ、高位種だから普通の人間は気がつかないがね、小娘!おぬし何者だ!」

「普通の冒険者だよ!そこから離れなさいよ!」
「もう遅いね、ほら動き出したよ」

ゴゴゴゴゴッドーン!!!!
と音がすると閃光が走った
「やめ!」
そう叫んだが遅かった
外からすさまじい爆発音がする

「うそっ・・・やだ!嘘でしょう・・・」
「リリアナちゃん!?」

フロアから外が見える窓は無い、がリリアナは見えていた
真っ赤になった地面を、消えていなくなった仲間とそして愛しい人たちの事を

「1/3の力でこれは凄いわね」
「1/3?」

「見てよ子の張りの有る肌、若い魔導師の魔力って本当に美味しいわ~貴方のもちょうだい」
妖艶な顔が歪む

『ピキンッ』
「?何の音?」
長寿のエルフがリリアナの方から聞こえた変な音に戸惑った

「さぁ私の糧となりなさい!      うぐっ!・・・何・・・」
魔女フランチェスカの胸にリリアナの腕が埋まっている
「なっ障壁張って居たのに・・・ぐはっ!」
口からどす黒い血を吐く

リリアナは古代兵器アルゲドンの起動システムの石板の前に手をかざす、
「我が命に従いてその力を行使せよ、グッデバルデハーン」

「・・・なんなのそれ・・・魔力が・・・やめて!消えちゃう私が消えちゃう」

魔力を魔女から奪って起動システムの石板に注ぐ、しかし先ほどとは様子が異なり、目の前に透明なスクリーンが浮かび上がった

「敵認識、各個撃破」

そう言うとまた
ゴゴゴゴゴッドーン!!!!と音がした

天空に上がったそれは先ほどより大きな閃光となり戦場に降り注ぐ





「ひるむな!敵も巻き添え食って減ってる、あれは再度撃ってこれ・ないんじゃないのか!?」

生き残っていた者たちの戦いは一瞬、膠着していたが再度戦いは始まっていた。
先ほどは大きな熱の塊だった物が、今度は天空で細かい光となって降り注いでいた。

「うわっ」
「おい!何だこれは!」
「目の前の敵が消し炭に」

そう、敵のみを消し去っていたのだった。








「やめて、魔力を奪わな・い・・・」
魔女から手を抜いて、床に転がす
そこにはミイラ状態の死体が転がっていた。

「リリアナちゃん?」
「まだいる・・敵!殲滅!」
「!どうしたのよ!リリアナちゃん!・・・・リリアナちゃん!」

移転で消えるリリアナ

「あいつの目可笑しかったぞ、俺たちのこと見えてないみたいだった・・・」
「聞いたこと有るわ、我を忘れて盗賊を討伐した話、一緒に行った冒険者の友人が恐ろしくもあり、頼もしかったって」

「とにかく他の連中と合流しよう」

そう言って古代兵器アルゲドン対応部隊は砦の下層に下りていった。

障壁部隊と合流した所で場外で戦っていて生き残った者たちも砦を越えた、
そこで目にした光景に全員呆然とした。

累々と横たわる敵の死体の山!
その向こうに、剣を振るうリリアナの姿が見えた、敵は何かに取り付かれたように、リリアナに群がっていた。

「なっ!どういうことだ」
生き残りの中で一番地位の高い、副部隊長がその光景に驚愕する。
「まるで敵が飢えた魔物のようです!」

「リリアナちゃん!額から血が!怪我してるわ~治癒魔法得意なはずなのに・・・」
「魔力切れか・・・やばくないか!?まだあの人数だぞ!」
「加勢に行くぞ!皆続け」

「うわっぷ」
「なんだ?」
「障壁です!強力な」

『皆は私が守る』

言葉では無い何かがそう伝えて来た。
「?リリアナちゃん・・・まさかこの障壁リリアナちゃんが・・・」
「俺らを守るため?・・・魔力切れの原因はそれか!くそっ!」


襲い掛かる敵、それをなぎ倒すリリアナ、
それを傍観するしかない兵士と冒険者達。
女性冒険者達の中には涙を流す者も現れた。

「もうやめて・・・服もぼろぼろ、血があんなに流れて、死んじゃう・・・」
「くそっっ」

その状態が1時間は経っただろうか、リリアナの周りで動く者が居なくなった。

(全てが何も間もが色あせてしまった気がする)
血のように真っ赤に染まった夕焼けの空を仰ぎ見てリリアナは思った、
累々と横たわる死体の山の中央に立つ、赤い髪の青と金の瞳の少女
彼女が倒れる寸前、赤い髪は一瞬のうちに白く色あせ、瞳の輝きが消えた。

障壁が消え、皆が一斉にリリアナの元に駆けつける。

頭から血を流し、顔も腫れ上がり、どう見ても骨が折れている手足、肋骨も折れているようだった。
「どうしてこの状態であんなに戦えるんだ・・・」
兵士たちが驚愕していた。
「どうしましょう・・・・」
「どうした!?早く治癒魔法を」
治癒師がヒールを掛けているが一向に反応が無い。
「掛けているのです、拒否されるんです、治癒できません」

「拒否?つまりは」
「生きることを辞めているということか」

ますます泣き出す女性冒険者
その嘆きに,そこに居る少ない生き残りの兵士たちは,辛そうな顔を皆していた。















ーーーーーーーーーーーーーーー
リリアナは獣馬を走らせる
「体が熱い、何かが放出されているような、でもコントロールが出来ない、何なのよこれ・・・」
空が明るくなって来た、月明かりで見ていた新たに出来た石、それが朝日ではっきりと青く輝いているのが見えた、その周りにも金色の蔦のような模様が浮き出ている。

遠くに煙が見える商隊の野営の煙だろうと思い近づく、
「なんで・・・」
そう、総勢50人は居る、護衛と商家の者たちがこちらを向いてひれ伏しているのだ。
煙のほうから朝食の準備中だったのだろう、いい匂いがしてきていた。
鍋は火から下ろされて、皿に入れたばかりのスープが湯気を上げていた。
その横で、全員がひれ伏しているのだ。

獣馬から下りて、皆に近づく、一番手前に居たのが、王都ギルド長のダンだ
「ダンまで・・・どうして皆そんな格好するのよ!私の顔をそんなに見たくないの!?」
ダンの手に暖かい雫が落ちてきた、リリアナの涙だった・・・・
(違うリリアナ!王の威圧を解け!・・・くそ!なんて威圧だ・・体が全く動かせない!)
ダン心の叫びはリリアナに届かない、他の者は考えることも抑えられていた、ダンだから、体のみだったのだが・・・リリアナの悲壮感は違う方向に行ってしまう。

「そうだね、こんな化け物の顔見たくないよね・・・こんな今になって新たな石が生成されるなんて、化け物だよね、4つ目の石なんて聴いたことないもんね・・・」
(!よ・四つ目!?・・・)

「私が居ると皆が可笑しくなっちゃう・・・居ないほうが良いんだ・・・やはり私は居てはいけない存在なんだね・・・・」
(違う!違う!リリアナ!お前は王なんだ!)

気配が全てを現す、ダンは近づく王の気配にそれがリリアナの物であることにいち早く気がついた、鍋を早々に火から下ろさせたのもダンだった。

「でも、ごめんね・・・自分で死ねないんだ私・・・ごめん・・・力がありすぎて死ねない・・・」

(違う!リリアナ!早まるな!)
心の中で叫ぶがリリアナには届かない。
「ごめん、私消えるねみんなの前から、探さないでね、そして私がこの場から居なくなったら、10分ほどで皆、何時もどうりにしてね・・・さような・・・ら・・・」

リリアナは獣馬に乗ると魔物巣くう森に向かって駆けていった。
リリアナが居なくなってしばらくすると、皆動けるようになった。
「ギルドマスター・・・彼女は!?」
最初に話しかけてきたのは商隊のトップだった。
「すさまじい王気だった!」
「やはり王気ですよね、凄い先の王の王気とは比べ物にならない・・・」
「探すなと命令されたら探せないじゃ無いか!くそっ」
「あの王気に逆らえる者が居るのでしょうか?」

「王配、王の配偶者と『王敬印(おうけいいん)』の持ち主ならもしかしたら、居るかどうかは解らないが・・・」
「私はここでしばらく誰か来ないか待ちます、皆さんはそのまま進んで、町に着いたらこのことを領主とギルドに報告お願いします。」
「ダン殿、残ってどうされる?探せないのに」
「カンです、何か待つべきだと思うのです。」
「・・・そうですか?貴方のカンに幾度と無く助けられてますからね、解りました。食料は何日分おいていきますか?」
「3日分お願いします、3日経って何も起こらなければ王都に戻ります」
「解りました」

そう言ってダンギルドマスターをおいて、商隊は目的地に向かって動き出した。








しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

婚約破棄された悪役令嬢。そして国は滅んだ❗私のせい?知らんがな

朋 美緒(とも みお)
ファンタジー
婚約破棄されて国外追放の公爵令嬢、しかし地獄に落ちたのは彼女ではなかった。 !逆転チートな婚約破棄劇場! !王宮、そして誰も居なくなった! !国が滅んだ?私のせい?しらんがな! 18話で完結

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

婚約破棄されたので、論破して旅に出させて頂きます!

桜アリス
ファンタジー
婚約破棄された公爵令嬢。 令嬢の名はローザリン・ダリア・フォールトア。 婚約破棄をした男は、この国の第一王子である、アレクサンドル・ピアニー・サラティア。 なんでも好きな人ができ、その人を私がいじめたのだという。 はぁ?何をふざけたことをおっしゃられますの? たたき潰してさしあげますわ! そして、その後は冒険者になっていろんな国へ旅に出させて頂きます! ※恋愛要素、ざまぁ?、冒険要素あります。 ーーーーーーーーーーーーーーーーー 文章力が、無いのでくどくて、おかしいところが多いかもしれません( ̄▽ ̄;) ご注意ください。m(_ _)m

ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

もう死んでしまった私へ

ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。 幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか? 今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!! ゆるゆる設定です。

婚約破棄されたら魔法が解けました

かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」 それは学園の卒業パーティーでのこと。 ……やっぱり、ダメだったんだ。 周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間でもあった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、第一王子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表する。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放。そして、国外へと運ばれている途中に魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。 「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」 あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。 「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」 死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー! ※毎週土曜日の18時+気ままに投稿中 ※プロットなしで書いているので辻褄合わせの為に後から修正することがあります。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?

おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました! 皆様ありがとうございます。 「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」 眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。 「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」 ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。 ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視 上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

処理中です...