3 / 27
03;舞踏会
大きな鏡に、映る別人の私
しおりを挟む
王都にはボーネット伯爵家の屋敷がある。
母が健康で私がまだ生まれていなかった時、社交界時期に王都のこの屋敷で過ごしていたらしい。
私が出来てからは利用されていない。
前もって管理人に連絡がいっていたため、ついてすぐに部屋は利用出来るようになっていた。
「王都の屋敷ってさすがね、使用人の部屋も奇麗」
「ほんとう・・・凄い」
私はここで自分の家系が結構な貴族なのだと痛感した。
田舎の屋敷と違い、冷暖房は魔法具が屋敷に施されていて、暖炉の前で寝るなんてことをしなくていいんだなと流石都会だわと思った。
舞踏会の日、朝から3人の準備で、2人しか居ないメイドの私たちは大わらわだった。お肌の手入れに、つめの手入れ、髪のセットにドレスの着付けとアクセサリーの選定。
「忙しいぃ~!約束と違う!給与上乗せしてもらうよ!」
ロザリーがお継母様に食ってかかっていた。
ブラシをマリゼラの顔の横でブラブラさせながらお継母様を睨んでいる。
「分かりましたわ、これでよろしいかしら?」
金貨5枚(5万円相当)をロザリーに渡す、ロザリーは にやっと笑うと鼻歌を歌いながらマリゼラのの髪型を整えていった。
私にはセットする技量が無いと思われていたので、もっぱらドレスの手入れをしていた。
夕方、3人はいそいそと馬車に乗り王宮に出かけて行った。
「あ-終わった~・・・・でも、あの2人って派手な衣装着せても地味よね・・・ははは!全然似合ってないし、趣味悪っ、絶対に王子様になんて選ばれないわよ、メイド服のあんたの方がよっぽど可能性ありそう」
「はは・・・疲れたわね、お茶でも入れる?」
「要らない、私これから街に繰り出すわ!せっかく軍資金いただいたしね、金持ちの男居ないかなぁ~西町は貴族区域で治安いいから女一人でも安全だし、行ってくるわっ」
「そ・・・そう・・・行ってらっしゃい」
「あんたも行く?」
「ううん・・・遠慮しとく」
「そう・・・じゃ」
メイド服のポケットに忍ばせておいた自作の睡眠薬をぎゅっと握った。
さっと着替えるとロザリーは12時には帰ると言って出かけて行った。
「さてと・・・まさか街に繰り出すとは思わなかったわ・・・使わなかったな」
睡眠薬を見つめてため息をついた。
「さてと、舞踏会っ」
私は玄関に向かいながら魔法を放っていく。黒いメイド服がきれいな青いプリンセスラインのドレスに変わる。髪を魔法で編み込みハーフアップにしてダイヤの髪飾りとネックレスを飾る。うっすらと化粧を施し白いレースの手袋をはめる。
「お母様の髪飾り、似合ってるかしら・・・ガラスの靴はさすがに歩けないってね!その代わりのクリスタルをちりばめた靴、ガラスの靴っぽい?頑張って魔法使わずお母様の靴をリメイクしたんだもの、絶対落とさないようにしよう私にシンデレラストーリーは必要ない!もうすぐ貴族じゃなくなるし!」
ダイヤのアクセサリーは、当主しか入れない宝物庫から持ち出してきたものだ。
当主しか入れないからお継母様はこの宝石のことは知らない。
玄関脇の大きな鏡に、映る別人の私、折檻の痕は魔法で見えなくしているから、シミ一つない美しい肌がそこにあった。
「我ながら完璧ね・・・誰もこれが「灰かぶり」だなんて分からないわね」
玄関の扉を開けるとそこには、2頭の白い馬がつながっている貴族の馬車が止まっていた、御者もいる。。
「小さい荷馬車を偽装したの上手くいってるわね、馬と御者は魔法で作った人形だけど・・・ま、大丈夫でしょう」
馬車を動かすのは私の魔法、馬と御者も私が「マリオネットの魔法」で動かしてる。
ゆっくりと馬車に乗り込むと王宮に向けて出発した。
王宮ではもう舞踏会が始まろうとしていた。
「フィレンバレット王国 国王エゼウルフ様、后妃エウザラード様、第一王子ロバート様、第二王子フェルディナンド様、おなーりー」
会場のざわつきが収まりシーンとした、会場のすべての人が項垂れ王族一家を出迎える。
王様は41歳がっちりとした体形の美丈夫、20年前の戦争のときは先頭を駆け巡って敵を蹴散らせていた脳筋王である。
后妃は38歳3人の子持ちとは思えないほどのスタイル抜群の美女、才女で王の公務を助けている。
第一王子ロバートは19歳、剣の腕も高く、貴族の学園では常に首位だった才媛でもある、婚約者は公爵家の長女。
第二王子フェルディナンド17歳、先日まで隣国に留学中だった。運命の人を探すロマチストで剣と魔法に長けた人物だ。
第一王女18歳は隣国の王太子に嫁いでいる
「今宵はフェルディナンド帰還の祝いでもある、皆楽しんでくれ」
そう王が告げると音楽が始まった。
始めに第一王子ロバート殿下が躍ると踊りの輪は広がって行った。
ようやく王宮についたファティマはゆっくりと御者の手をとり降り立った。
招待状を護衛騎士に渡すと、騎士は少し不思議な顔をしたが難なく会場に通してもらえた。
騎士が不思議な顔をした理由は分かっている。
【ボーネット伯爵家当主】と招待状の表面には書かれていない隠れ表記のせいだった。そう、お継母様が気が付いてない肩書があったからだった。
普通の令嬢の招待状は
【ブラウン男爵令嬢】と書かれているはずなのだ。
それと保護者が付き添っていないのもあった。
会場の扉がゆっくりと開けられる
(名前呼ばれなくてよかった、呼ばれたらどうしようかと思った)
会場に入ると皆一斉にこちらを見た
(うわっ・・遅れてきたから注目あびちゃった、やばいばれるかな?お継母様たちに・・・あっいた)
会場を見回すとお母様たちが見えた・・・それといかにも王子様!って感じのハンサムな煌びやかな男性
(すっごいハンサム!さすがね・・・王族だよね・・・こっち見てる・・・ど・・・どうしよう、こっち来る)
(顔が引きつりそう・・・作り笑い慣れてないのに・・・)
「どちらのご令嬢でしょうか?私と踊っていただけますか?」
そして手を差し出された
「はっ・・はい喜んで」
(心臓が壊れそう・・・なんなのよこの破壊的な笑みは!だめよ・・・私は庶民になるんだから・・・これはひと時の夢なんだから、夢にするんだから)
そう自分に言い聞かせているがドキドキが止まらない
音楽が鳴り響く中、なぜか会場に踊っているのは2人だけ
「名前をうかがってもよろしいですか?」
踊りながらそう尋ねてくる王子
「えーっと・・・」
「失礼、私は第二王子のフェルディナンドと申します」
「あ・・・の」
質問されたがどうしようか困ってしまった・・・それよりも付け焼刃の踊りを失敗しないか気が気じゃなかった、王子のエスコートは最高で、私のつたない踊りをカバーしてくれていた
周りは私たちをじっと眺めている・・・なぜだ・・・ちょっと怖いと思った。
曲が終わると、息をつくそれにすぐ気が付いて王子が
「バルコニーで一息つきませんか?」
「あっ・・・はい」
王子は給仕に飲み物と軽く食べれるものを頼んで私の手を引く。
バルコニーにはソファがいくつか置いてあり、端の方に2人なぜか並んで座った。
二人きりというわけではなく、護衛らしき人が囲むようにして少し離れて立っていた。
「フルーツジュースにしましたが、カクテルか何かの方がよかったですか?」
「いえ、お酒は飲めないのでありがとうございます」
「どちらのご令嬢かお聞きしてもよろしいですか?」
「いえ、王子様に気にかけていただくような身分では無いので」
「・・・お名前だけでも」
(うー困った、雑談を交えながら、何度が名前と爵位を聞かれた~どうにかごまかしているが・・・不敬にならなければいいけど)
「田舎ですか?どんなところですか?」
「緑豊かな所です、空気もおいしくて地鶏は名産なんですよ」
「領民の暮らしはどうです?」
「裕福ではないですが、領主が事業をしているので税金はそれほど高くしなくても国に治める税を確保できております」
「いい領主なんですね」
「そうですね・・・領主としてはそうなんでしょうね」
「?・・・領主としては?」
「いえなんでもありません」
それから留学の話や、兄弟の話、王様の武勇伝なども聞いて、なんだか楽しい時間を過ごせた。
時間を気にしていなかった私が悪かった。
<ズクン>
と頭痛がしてきた。
(やばい・・・魔力切れ)
いきなり立ち上がって
「殿下、楽しい時間をありがとうございました。私これで失礼させていただきます」
私は言うが否や一目散に走りだした。
「あっ待って」
王子の焦った声がする・・でも止まるわけにはいかない、魔力が切れるとドレスはメイド服に変わる。馬車は荷馬車に戻るし、馬を動かせなくなると屋敷に帰れない。
(やばいやばいやばい)
王城の長い階段、足がもつれる。
「あっ・・・」
靴が片方脱げた・・・。
「くそっまじか・・・取りに戻ってたらやばい・・えーい諦めだ」
そのまま馬車に駆け込んで走り出す。。
後ろから
「その馬車を止めてくれ!」
と王子がさけぶが、魔法で動かしている馬車は騎士の間をすり抜けて街道を駆け抜けていった。
王子が私の脱げたくつを、大事そうに抱きしめていたことなど知るよしも無かった。
12時前、どうにか屋敷につくと荷馬車から、メイド服の私は下りた。
馬と御者を消して納屋に荷馬車をしまって屋敷に入る。
ロザリーはまだ帰っていなかった
1時頃ロザリーがかえって来ると、しばらくして3人が帰ってきた。
3人は興奮していた。
「凄いお姫様が来たのよ。王子様メロメロだったわ。私より少し美人だったから王子に見初められても仕方がないわね」
そうマリぜラが言うと
お継母様は苦虫をつぶしたような悔しそうな顔をしていた。
(気が付かれてない?よかった)
「ん?酒臭い・・・灰かぶり?違うわね・・・ロザリー!?」
「ん?そっちは楽しんで来てるんだがらお酒くらいでくどくど言わないでよ」
お継母様は訝しげな顔をしていたが、疲れたのか3人共湯あみもせずに寝所に入っていった。
「灰かぶり・・・高級な香水の匂いが少しするわよ、シャワーしたら?」
「え?・・・・」
にやにやとこちらを見るロザリーだった。
まさかね・・・・
母が健康で私がまだ生まれていなかった時、社交界時期に王都のこの屋敷で過ごしていたらしい。
私が出来てからは利用されていない。
前もって管理人に連絡がいっていたため、ついてすぐに部屋は利用出来るようになっていた。
「王都の屋敷ってさすがね、使用人の部屋も奇麗」
「ほんとう・・・凄い」
私はここで自分の家系が結構な貴族なのだと痛感した。
田舎の屋敷と違い、冷暖房は魔法具が屋敷に施されていて、暖炉の前で寝るなんてことをしなくていいんだなと流石都会だわと思った。
舞踏会の日、朝から3人の準備で、2人しか居ないメイドの私たちは大わらわだった。お肌の手入れに、つめの手入れ、髪のセットにドレスの着付けとアクセサリーの選定。
「忙しいぃ~!約束と違う!給与上乗せしてもらうよ!」
ロザリーがお継母様に食ってかかっていた。
ブラシをマリゼラの顔の横でブラブラさせながらお継母様を睨んでいる。
「分かりましたわ、これでよろしいかしら?」
金貨5枚(5万円相当)をロザリーに渡す、ロザリーは にやっと笑うと鼻歌を歌いながらマリゼラのの髪型を整えていった。
私にはセットする技量が無いと思われていたので、もっぱらドレスの手入れをしていた。
夕方、3人はいそいそと馬車に乗り王宮に出かけて行った。
「あ-終わった~・・・・でも、あの2人って派手な衣装着せても地味よね・・・ははは!全然似合ってないし、趣味悪っ、絶対に王子様になんて選ばれないわよ、メイド服のあんたの方がよっぽど可能性ありそう」
「はは・・・疲れたわね、お茶でも入れる?」
「要らない、私これから街に繰り出すわ!せっかく軍資金いただいたしね、金持ちの男居ないかなぁ~西町は貴族区域で治安いいから女一人でも安全だし、行ってくるわっ」
「そ・・・そう・・・行ってらっしゃい」
「あんたも行く?」
「ううん・・・遠慮しとく」
「そう・・・じゃ」
メイド服のポケットに忍ばせておいた自作の睡眠薬をぎゅっと握った。
さっと着替えるとロザリーは12時には帰ると言って出かけて行った。
「さてと・・・まさか街に繰り出すとは思わなかったわ・・・使わなかったな」
睡眠薬を見つめてため息をついた。
「さてと、舞踏会っ」
私は玄関に向かいながら魔法を放っていく。黒いメイド服がきれいな青いプリンセスラインのドレスに変わる。髪を魔法で編み込みハーフアップにしてダイヤの髪飾りとネックレスを飾る。うっすらと化粧を施し白いレースの手袋をはめる。
「お母様の髪飾り、似合ってるかしら・・・ガラスの靴はさすがに歩けないってね!その代わりのクリスタルをちりばめた靴、ガラスの靴っぽい?頑張って魔法使わずお母様の靴をリメイクしたんだもの、絶対落とさないようにしよう私にシンデレラストーリーは必要ない!もうすぐ貴族じゃなくなるし!」
ダイヤのアクセサリーは、当主しか入れない宝物庫から持ち出してきたものだ。
当主しか入れないからお継母様はこの宝石のことは知らない。
玄関脇の大きな鏡に、映る別人の私、折檻の痕は魔法で見えなくしているから、シミ一つない美しい肌がそこにあった。
「我ながら完璧ね・・・誰もこれが「灰かぶり」だなんて分からないわね」
玄関の扉を開けるとそこには、2頭の白い馬がつながっている貴族の馬車が止まっていた、御者もいる。。
「小さい荷馬車を偽装したの上手くいってるわね、馬と御者は魔法で作った人形だけど・・・ま、大丈夫でしょう」
馬車を動かすのは私の魔法、馬と御者も私が「マリオネットの魔法」で動かしてる。
ゆっくりと馬車に乗り込むと王宮に向けて出発した。
王宮ではもう舞踏会が始まろうとしていた。
「フィレンバレット王国 国王エゼウルフ様、后妃エウザラード様、第一王子ロバート様、第二王子フェルディナンド様、おなーりー」
会場のざわつきが収まりシーンとした、会場のすべての人が項垂れ王族一家を出迎える。
王様は41歳がっちりとした体形の美丈夫、20年前の戦争のときは先頭を駆け巡って敵を蹴散らせていた脳筋王である。
后妃は38歳3人の子持ちとは思えないほどのスタイル抜群の美女、才女で王の公務を助けている。
第一王子ロバートは19歳、剣の腕も高く、貴族の学園では常に首位だった才媛でもある、婚約者は公爵家の長女。
第二王子フェルディナンド17歳、先日まで隣国に留学中だった。運命の人を探すロマチストで剣と魔法に長けた人物だ。
第一王女18歳は隣国の王太子に嫁いでいる
「今宵はフェルディナンド帰還の祝いでもある、皆楽しんでくれ」
そう王が告げると音楽が始まった。
始めに第一王子ロバート殿下が躍ると踊りの輪は広がって行った。
ようやく王宮についたファティマはゆっくりと御者の手をとり降り立った。
招待状を護衛騎士に渡すと、騎士は少し不思議な顔をしたが難なく会場に通してもらえた。
騎士が不思議な顔をした理由は分かっている。
【ボーネット伯爵家当主】と招待状の表面には書かれていない隠れ表記のせいだった。そう、お継母様が気が付いてない肩書があったからだった。
普通の令嬢の招待状は
【ブラウン男爵令嬢】と書かれているはずなのだ。
それと保護者が付き添っていないのもあった。
会場の扉がゆっくりと開けられる
(名前呼ばれなくてよかった、呼ばれたらどうしようかと思った)
会場に入ると皆一斉にこちらを見た
(うわっ・・遅れてきたから注目あびちゃった、やばいばれるかな?お継母様たちに・・・あっいた)
会場を見回すとお母様たちが見えた・・・それといかにも王子様!って感じのハンサムな煌びやかな男性
(すっごいハンサム!さすがね・・・王族だよね・・・こっち見てる・・・ど・・・どうしよう、こっち来る)
(顔が引きつりそう・・・作り笑い慣れてないのに・・・)
「どちらのご令嬢でしょうか?私と踊っていただけますか?」
そして手を差し出された
「はっ・・はい喜んで」
(心臓が壊れそう・・・なんなのよこの破壊的な笑みは!だめよ・・・私は庶民になるんだから・・・これはひと時の夢なんだから、夢にするんだから)
そう自分に言い聞かせているがドキドキが止まらない
音楽が鳴り響く中、なぜか会場に踊っているのは2人だけ
「名前をうかがってもよろしいですか?」
踊りながらそう尋ねてくる王子
「えーっと・・・」
「失礼、私は第二王子のフェルディナンドと申します」
「あ・・・の」
質問されたがどうしようか困ってしまった・・・それよりも付け焼刃の踊りを失敗しないか気が気じゃなかった、王子のエスコートは最高で、私のつたない踊りをカバーしてくれていた
周りは私たちをじっと眺めている・・・なぜだ・・・ちょっと怖いと思った。
曲が終わると、息をつくそれにすぐ気が付いて王子が
「バルコニーで一息つきませんか?」
「あっ・・・はい」
王子は給仕に飲み物と軽く食べれるものを頼んで私の手を引く。
バルコニーにはソファがいくつか置いてあり、端の方に2人なぜか並んで座った。
二人きりというわけではなく、護衛らしき人が囲むようにして少し離れて立っていた。
「フルーツジュースにしましたが、カクテルか何かの方がよかったですか?」
「いえ、お酒は飲めないのでありがとうございます」
「どちらのご令嬢かお聞きしてもよろしいですか?」
「いえ、王子様に気にかけていただくような身分では無いので」
「・・・お名前だけでも」
(うー困った、雑談を交えながら、何度が名前と爵位を聞かれた~どうにかごまかしているが・・・不敬にならなければいいけど)
「田舎ですか?どんなところですか?」
「緑豊かな所です、空気もおいしくて地鶏は名産なんですよ」
「領民の暮らしはどうです?」
「裕福ではないですが、領主が事業をしているので税金はそれほど高くしなくても国に治める税を確保できております」
「いい領主なんですね」
「そうですね・・・領主としてはそうなんでしょうね」
「?・・・領主としては?」
「いえなんでもありません」
それから留学の話や、兄弟の話、王様の武勇伝なども聞いて、なんだか楽しい時間を過ごせた。
時間を気にしていなかった私が悪かった。
<ズクン>
と頭痛がしてきた。
(やばい・・・魔力切れ)
いきなり立ち上がって
「殿下、楽しい時間をありがとうございました。私これで失礼させていただきます」
私は言うが否や一目散に走りだした。
「あっ待って」
王子の焦った声がする・・でも止まるわけにはいかない、魔力が切れるとドレスはメイド服に変わる。馬車は荷馬車に戻るし、馬を動かせなくなると屋敷に帰れない。
(やばいやばいやばい)
王城の長い階段、足がもつれる。
「あっ・・・」
靴が片方脱げた・・・。
「くそっまじか・・・取りに戻ってたらやばい・・えーい諦めだ」
そのまま馬車に駆け込んで走り出す。。
後ろから
「その馬車を止めてくれ!」
と王子がさけぶが、魔法で動かしている馬車は騎士の間をすり抜けて街道を駆け抜けていった。
王子が私の脱げたくつを、大事そうに抱きしめていたことなど知るよしも無かった。
12時前、どうにか屋敷につくと荷馬車から、メイド服の私は下りた。
馬と御者を消して納屋に荷馬車をしまって屋敷に入る。
ロザリーはまだ帰っていなかった
1時頃ロザリーがかえって来ると、しばらくして3人が帰ってきた。
3人は興奮していた。
「凄いお姫様が来たのよ。王子様メロメロだったわ。私より少し美人だったから王子に見初められても仕方がないわね」
そうマリぜラが言うと
お継母様は苦虫をつぶしたような悔しそうな顔をしていた。
(気が付かれてない?よかった)
「ん?酒臭い・・・灰かぶり?違うわね・・・ロザリー!?」
「ん?そっちは楽しんで来てるんだがらお酒くらいでくどくど言わないでよ」
お継母様は訝しげな顔をしていたが、疲れたのか3人共湯あみもせずに寝所に入っていった。
「灰かぶり・・・高級な香水の匂いが少しするわよ、シャワーしたら?」
「え?・・・・」
にやにやとこちらを見るロザリーだった。
まさかね・・・・
0
お気に入りに追加
45
あなたにおすすめの小説
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
婚約破棄してたった今処刑した悪役令嬢が前世の幼馴染兼恋人だと気づいてしまった。
風和ふわ
恋愛
タイトル通り。連載の気分転換に執筆しました。
※なろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ、pixivに投稿しています。
30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。
ひさまま
ファンタジー
前世で搾取されまくりだった私。
魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。
とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。
これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。
取り敢えず、明日は退職届けを出そう。
目指せ、快適異世界生活。
ぽちぽち更新します。
作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。
脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。
旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます
結城芙由奈@12/27電子書籍配信
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】
ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
悪役令嬢エリザベート物語
kirara
ファンタジー
私の名前はエリザベート・ノイズ
公爵令嬢である。
前世の名前は横川禮子。大学を卒業して入った企業でOLをしていたが、ある日の帰宅時に赤信号を無視してスクランブル交差点に飛び込んできた大型トラックとぶつかりそうになって。それからどうなったのだろう。気が付いた時には私は別の世界に転生していた。
ここは乙女ゲームの世界だ。そして私は悪役令嬢に生まれかわった。そのことを5歳の誕生パーティーの夜に知るのだった。
父はアフレイド・ノイズ公爵。
ノイズ公爵家の家長であり王国の重鎮。
魔法騎士団の総団長でもある。
母はマーガレット。
隣国アミルダ王国の第2王女。隣国の聖女の娘でもある。
兄の名前はリアム。
前世の記憶にある「乙女ゲーム」の中のエリザベート・ノイズは、王都学園の卒業パーティで、ウィリアム王太子殿下に真実の愛を見つけたと婚約を破棄され、身に覚えのない罪をきせられて国外に追放される。
そして、国境の手前で何者かに事故にみせかけて殺害されてしまうのだ。
王太子と婚約なんてするものか。
国外追放になどなるものか。
乙女ゲームの中では一人ぼっちだったエリザベート。
私は人生をあきらめない。
エリザベート・ノイズの二回目の人生が始まった。
⭐️第16回 ファンタジー小説大賞参加中です。応援してくれると嬉しいです
虐げられ令嬢の最後のチャンス〜今度こそ幸せになりたい
みおな
恋愛
何度生まれ変わっても、私の未来には死しかない。
死んで異世界転生したら、旦那に虐げられる侯爵夫人だった。
死んだ後、再び転生を果たしたら、今度は親に虐げられる伯爵令嬢だった。
三度目は、婚約者に婚約破棄された挙句に国外追放され夜盗に殺される公爵令嬢。
四度目は、聖女だと偽ったと冤罪をかけられ処刑される平民。
さすがにもう許せないと神様に猛抗議しました。
こんな結末しかない転生なら、もう転生しなくていいとまで言いました。
こんな転生なら、いっそ亀の方が何倍もいいくらいです。
私の怒りに、神様は言いました。
次こそは誰にも虐げられない未来を、とー
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる