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01;いじめ

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バシャン
掃除用のバケツがひっくり返った。
 「あらごめんあそばせ、とっても邪魔だったので」
 綺麗にセットされた髪に、可愛らしい顔をゆがませて、女生徒が大勢の取り巻きを連れて廊下をふさいでいた。

 東京でもお金持ち学校で有名な「聖マリアンヌ学園」全寮制の学校だ、
 寮の廊下の床の掃除をしているのは、半年前まではここの生徒だった。
青木あおき 聖羅せいら
 廊下をふさいでいるのは現在学校で一番のお金持ちで成績優秀な
伊集院いじゅういん 佳織かおり

 「靴が汚れてしまったわ、あとで磨いておいてね。」
 「何その目、だれのおかげで露頭に迷わなくよかったと思っているの。」
 「・・・はい、わかりました。磨いておきます。」
 「せ、聖羅さん。」

 取り巻きの後ろの方にいた二人だけは心配そうに聖羅を見ていた。

 「皆さん参りましょう、授業に遅れますわ。」

 佳織の集団は学校へと向かっていった。
 皆を見送ると、こぼれた水を、歯を食いしばり、ふきだした。

ふと窓から外を眺めて
「お父さん・・・」





 聖羅の母親は聖羅が十歳の時に病気で亡くなり、父親と二人の生活だった。
 東南アジアで鉱山を所有し裕福な生活を送っていた。
その父親も鉱山の事故で半年前亡くなった。その時かなりの作業員も亡くなり、
その保障に莫大な賠償金が要ったため、屋敷も別荘もそれの補填にまわり、聖羅は一文無しになってしまった。
 親戚もなく、それまでよくしてくれた人たちも、お金が無くなるとみんないなくなってしまった。

それまで聖羅は「聖マリアンヌ学園」では一番のお金持ちで成績も一番だった。
 学校も行けなくなり家もなく、路頭に迷いかけていたのを佳織が園長に口添えして、寮のメイドとして働くことを許されていた。
それから佳織のいじめが始まった。

 在学中も度々ぶつかっていたが、聖羅の正論にいつも負け、寄付金・成績・人気いつも2番だった佳織はまるで仕返しをするようにいじめていた。

いじめは佳織だけではなく、メイド頭の松本佳苗にもひどい仕打ちを受けていた。

 「セイラ!いつまで床掃除をしているの!」
 「洗濯とお昼の仕込み早くしなさい」
 「は、はい」

ばけつと雑巾を持って急いでリネン室にむかった。


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