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天王寺の変 九の章

侮王凡焉 参 その24

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当然、次に“式持ち”のぱるるが狙われるのは、道理である。

 「死ね」

扇子がぱるるを、指した。
雷光。
視界が白く、ホワイトアウトする。
ぎゅっと閉じた瞼。
、、、何秒経ったろう。
まだ意識はある。

ってことは、生きてる?
ゆっくりぱるるは、眼を開けた。

 「え、、、?」

眼の前に、、、、。

 「!」

肉の焼けた匂いと、焦げた匂いと、この背中、、、は、エーランだった。

 「えみり!」

エーランは、背中越しに聞こえる声に安堵あんどした。
ドSだが、時折、鬼のように優しい。

 「あぁしの相方に、何してくれてんねん!」

その場で拳を振る。
二度、三度と。
六左脚女と糸が言った、鎌鼬がはしる。
ただ彼女は漢字でカマイタチと書けないので、自分で命名した名を呼称こしょうしている。

ブーメランフック。

車田先生に尊敬の念を捧げ、彼女は自分の能力をそう名付けた。
本当は『デビルプロポーズ』とどっちにしようか悩んだが、言いやすいのでこっちにした。

なのでその名を聞いて笑ったり、下手なツッコミをすると、次の瞬間身体が千切せんぎりにされる。

その真空の刃、ブーメランフックが、三連で京弁天を襲った。
対して京弁天は、華美華麗かびかれいな舞いを舞うよう、優美で優雅に自在に扇子を躍らせる。
そして、こう言った。

 「却下」

京弁天の唇からこぼれた言葉は、風属性で創られた三つの刃を否定した。

 「?!」

エーラン、戸惑う。

 (何で、、、消えた?

自分の出したエレクトリック・ゴーストの刃が、消えた理由が解らず呆然。
それを見ていた糸は、頭をフル回転。

 (コレほんまに虚即かいな?
  術に対しての反転式カウンターを当てる際に
  自在権を使ったになってるけど、
  虚即の特徴なんかイッコもあらへんがな。
  術式自体を、そんなに速く? 神速?
  いやいやいやいや、、、どんなはようても、
  あてが術式を見逃すやなんてありえへんわ。
  けど、、、っちゅうことは、
  やっぱ扇子? それとも呪具? 隠し道具? 
  それともの特殊呪詛なんやろか?
  いて言えば、『却下』っちゅう言葉?
  フツーそんだけで術式を消せるもんでっか?
  いや~、ちゃいまんな。
  言葉はブラフで、やはり扇子?
  いや、、、まさかまさか、
  どちらもフェイクやったり?

早くこの謎を解かないと、かも知れない存在の京弁天に、まゆらは勝てない。
珍しく糸は、術を破られたエーランより真剣に悩んでいた。

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