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天王寺の変 七の章

我欲動偽 伍 その4

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調べ始めて、不思議に感じている事がある。
何故、この結界はこんなにまで強力なのか?
不思議でたまらない。
一介の素人が創った結果だ。
それが何で死んだ後も残り、今も活性を繰り返しているのか?
それはつまり半永久的に存在する結界となる。
これは、、、。

 (完璧じゃないか

いったいどうやって創った?
いったい何をにした?

 (絶対に仕掛けがあるハズだ

そう思い、波働はこの結界の“結び目”を観たくなった。
この結界を創った時に、必ずどこかにスタート地点があるハズだ。

例えば人が“円”を描くとき、手書きでも良い、コンパス等の道具を使っても良い、とにかく書き始めるスタート地点がある。
そして“円”は、またそこに帰って来る。
スタート地点に帰ってこないと、“円”にならない。
この当たり前の話しを術に当てはめた場合、始まりと終わりが同一に“重なる”という術式は、実はこれしかない。

結界術。

術師の修行、初期の段階で教わる術式、難しくは無い。
ほとんどの術師が使える、初歩の術式。
だからこれが、特殊な術式だと気付く者は少ない。
、、、が、波働はそれに気付いた。

話しを“円”に戻すと、始めと終わりをきっちり付けないと、“円”にならない。
ズレれば描いた線の口が開いている状態で、それは“円”ではない。
またズレを直前で直そうとして無理やり付けると、歪な“円”になる。
歪な“円”は、描いた本人が描き終えた時に思わず『あ、、、』と思ってしまう。
これは術式にマイナスの影響を与える。
そんな小さなマイナス要素も、この結界を創っている“円”には感じられない。
もしあったとすれば、こんなに完璧だとは思わないだろう。

結界術が解かれるとき、もしくは崩れるとき、一番はじめにほころび始めるのは大抵、結界の結び目。
始点と、終点。
術が、重なる位置。
そんな特殊な位置、観れば解かる。
そしてそこに、この結界の秘密があるハズだ。
そう波働は強く思っている。

 (結び目を見つければ、、、

福島駅を過ぎた。

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