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天王寺の変 七の章

我欲動偽 肆 その11

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 「だだだ大丈夫ですか?」

武藤は心配でならない。
何が問題かって、このままキースが死にでもしたら多分降格。
言わんこっちゃなかった。

 「あああああ、血が、いっぱい出てる、、、」

震えて顔が青ざめる武藤に、ジョシュは例の笑顔を見せた。

 「まだ生きています。大丈夫。治ります」

ジョシュの両手が光り、キースが光線で撃たれた箇所に手かざしした。
呼吸の荒かったキースは、もう落ち付いて来た。

 「アイツ、ボクがヤル!」

防御円を出て行こうとするマークに、ジョシュが声を掛ける。

 「今キミがケガをしても助けられないよ。
  キースの治療をしてるからね。だから、、、」

急に声のトーンが、変わった。

 「、、、勝手に動くな」

先生に怒られた生徒のように、マークはしょんぼりし不貞腐れた。
防御円の中から、様子を伺う。
ほんの数秒で、宙を飛び交っていた“何か”の存在は急速に消えていった。
判断の早い相手だったようだと、ジョシュは納得した。

何の判断か?

此処にさっきまで居た、先っちょの気配がない。
彼を逃がすための攻撃で、それを達成すると躊躇なく消えていく。
潔い去り際。あざやかな去り際。
闘い方を知っている。
こう言うヤツは、強い。

 「だ、大丈夫なんですか?」

武藤の問いに、ジョシュは軽く答える。

 「心配ないよ。キレイな傷だから、
  あと五分も“ヒール”を続ければ治るよ」

武藤にも、キースが光線で撃たれたのは確認できた。
肩と、腹に二発。

血も噴き出ていた。
それなのに、キースの顔は穏やかさを取り戻している。
痛みも和らいでいるようだ。

 「だから、上に報告はいらないよ。これはただの散歩だ。
  今夜はまだ、私たち三人は任務に就いていないのだから、、、ね」

正直、この言葉が武藤をいちばん救っていた。

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