223 / 446
天王寺の変 六の章
策略謀略 壱 その3
しおりを挟む精神的には、まだ潰れていない。
大したお嬢さんだと感心した。
「落ち着いた? 自己紹介まだやったな。
オレ、“先っちょ”って言うねん」
「? さ、先っちょ? それ、下ネタ?」
「アホ! ちゃうわ!」
笑えた。二人で笑えた。
「あたしは、、、」
「モノアイの旦那から聞いてる。
宮崎佳穂さんやんな」
頷いた。
「よう頑張った」
もう一度、頷いた。
「でも、まだやで、日本橋まで行って、
そっからまた妹さん助けんねんやろ?」
しっかり先っちょを見て、頷いた。
「そのために、休憩も必要や。
飲みもん取って来るから待っとき」
「あ、パクリに行く気ぃや」
「そや。ここでの悪い事はオレが引き受けるから、
佳穂ちゃんは気にせんと、、、」
「ムリムリ。気にするわ。お金置いとこ~や」
「それは自己満。
一番に出勤したヤツがネコババするだけや」
「え~。ほんだら飲みもんいらん」
「飲まなアカン。妹助ける前に、自分が先倒れるで」
「そんなん言うたって、、、」
「オレが引き受ける言うたんは、
後でキチンと店に説明してお金返すって事や。
佳穂ちゃんは安心して飲んだらええ」
「ホンマに?」
「こう見えて、オレは結界内のコンビニで
まぁまぁ有名でな、信用あるから
スペアのカギ持ってんねん。
少々の事も大目に見てもらえんねん」
「信用すんで?」
「してくれてええよ」
佳穂は、大きく笑顔になった。
「解かった。飲む。しっかり休憩したら、
日本橋行ってモノアイに会うて、
そっから妹助けに行く!」
「それそれ。その感じで行こ」
先っちょが店内に入る。
スグ中から声が掛かる。
「何系飲む? コーヒーか? 炭酸か?」
「紅茶! ストレート!」
「はいよ!」
「あ~~、出来たら、ウェットティッシュも!
顔拭きたい!」
先っちょに甘える余裕も出て来た。
「あったらな」
「あるやろ! コンビニやで!」
全身が痛い。
それでも笑えている状況に、佳穂は先っちょに感謝した。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
幻想遊撃隊ブレイド・ダンサーズ
黒陽 光
SF
その日、1973年のある日。空から降りてきたのは神の祝福などではなく、終わりのない戦いをもたらす招かれざる来訪者だった。
現れた地球外の不明生命体、"幻魔"と名付けられた異形の怪異たちは地球上の六ヶ所へ巣を落着させ、幻基巣と呼ばれるそこから無尽蔵に湧き出て地球人類に対しての侵略行動を開始した。コミュニケーションを取ることすら叶わぬ異形を相手に、人類は嘗てない絶滅戦争へと否応なく突入していくこととなる。
そんな中、人類は全高8mの人型機動兵器、T.A.M.S(タムス)の開発に成功。遂に人類は幻魔と対等に渡り合えるようにはなったものの、しかし戦いは膠着状態に陥り。四十年あまりの長きに渡り続く戦いは、しかし未だにその終わりが見えないでいた。
――――これは、絶望に抗う少年少女たちの物語。多くの犠牲を払い、それでも生きて。いなくなってしまった愛しい者たちの遺した想いを道標とし、抗い続ける少年少女たちの物語だ。
表紙は頂き物です、ありがとうございます。
※カクヨムさんでも重複掲載始めました。
クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
Neo Tokyo Site04:カメラを止めるな! −Side by Side−
蓮實長治
SF
「お前……一体全体……この『東京』に『何』を連れて来た?」
「なぁ……兄弟(きょうでえ)……長生きはするもんだな……。俺も、この齢になるまで散々『正義の名を騙る小悪党』は見てきたが……初めてだぜ……『悪鬼の名を騙る正義』なんてのはよぉ……」
現実の地球に似ているが、様々な「特異能力者」が存在する2020年代後半の平行世界。
「関東難民」が暮す人工島「Neo Tokyo」の1つ……壱岐・対馬間にある「Site04」こと通称「台東区」の自警団「入谷七福神」のメンバーである関口 陽(ひなた)は、少し前に知り合った福岡県久留米市在住の「御当地ヒーロー見習い」のコードネーム「羅刹女(ニルリティ)」こと高木 瀾(らん)に、ある依頼をするのだが……。
「なろう」「カクヨム」「アルファポリス」「pixiv」「Novel Days」「GALLERIA」「ノベルアップ+」に同じモノを投稿しています。(pixivとGALLERIAは掲載が後になります)
最前線攻略に疲れた俺は、新作VRMMOを最弱職業で楽しむことにした
水の入ったペットボトル
SF
これまであらゆるMMOを最前線攻略してきたが、もう俺(大川優磨)はこの遊び方に満足してしまった。いや、もう楽しいとすら思えない。
ゲームは楽しむためにするものだと思い出した俺は、新作VRMMOを最弱職業『テイマー』で始めることに。
βテストでは最弱職業だと言われていたテイマーだが、主人公の活躍によって評価が上がっていく?
そんな周りの評価など関係なしに、今日も主人公は楽しむことに全力を出す。
この作品は「カクヨム」様、「小説家になろう」様にも掲載しています。
非日常的な日常系エッセイ~古代日本の呪術的世界~
坂崎文明
エッセイ・ノンフィクション
僕の幼馴染がどうやら霊能者であったことに、最近、気づいたというお話です。
身近な不思議な話とか、霊能者や呪術の話がメインになるかと思います。
実話から出発して、いろいろとそういう世界観を考察出来たらなあと思います。
古事記や中国の殷王朝の呪術が、現代日本にどのように伝わったかの考察もしています。古代呪術、陰陽師や民間信仰のお話なども。
当初はそう思っていたのですが、色々と日本人の謎とか歴史とか、カテゴリーエラーで「小説家になるための戦略ノート」に書けない内容はこちらに書こうかと思います。
八奈結び商店街を歩いてみれば
世津路 章
キャラ文芸
こんな商店街に、帰りたい――
平成ノスタルジー風味な、なにわ人情コメディ長編!
=========
大阪のどっかにある《八奈結び商店街》。
両親のいない兄妹、繁雄・和希はしょっちゅうケンカ。
二人と似た境遇の千十世・美也の兄妹と、幼なじみでしょっちゅうコケるなずな。
5人の少年少女を軸に織りなされる、騒々しくもあたたかく、時々切ない日常の物語。
慟哭のシヴリングス
ろんれん
ファンタジー
不慮の事故で妹を失い、自分だけが生き残った罪悪感と妹が居ない虚無感から自ら命を絶った青年、黒月零。
しかし神の悪戯か、零は“シン”という名で今流行りの異世界転生をしてしまった。零改め、シンは妹を守れなかった自分が転生してまで生きている事に疑問を抱きながら、偽物と孤独の日々を過ごしていた。
そんな中、新しく出来た妹……母親と不倫相手の子供であるフェリノートは、なんと久遠の記憶を引き継いでいた!?
愛に狂った母親から逃げるように家を出て、様々な人々と出会い、時に温かい優しさに触れ、時に戦って血を流し、時に救いのない現実に絶望し慟哭する。
シン(零)とフェリノート(久遠)。彼らの歩む道の果てにあるのは久遠なる幸せか、あるいはゼロに等しく底の見えない絶望か。
崩壊寸前のどん底冒険者ギルドに加入したオレ、解散の危機だろうと仲間と共に友情努力勝利で成り上がり
イミヅカ
ファンタジー
ここは、剣と魔法の異世界グリム。
……その大陸の真ん中らへんにある、荒野広がるだけの平和なスラガン地方。
近辺の大都市に新しい冒険者ギルド本部が出来たことで、辺境の町バッファロー冒険者ギルド支部は無名のままどんどん寂れていった。
そんな所に見習い冒険者のナガレという青年が足を踏み入れる。
無名なナガレと崖っぷちのギルド。おまけに巨悪の陰謀がスラガン地方を襲う。ナガレと仲間たちを待ち受けている物とは……?
チートスキルも最強ヒロインも女神の加護も何もナシ⁉︎ ハーレムなんて夢のまた夢、無双もできない弱小冒険者たちの成長ストーリー!
努力と友情で、逆境跳ね除け成り上がれ!
(この小説では数字が漢字表記になっています。縦読みで読んでいただけると幸いです!)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる