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天王寺の変 四の章

紅朱同赤 陸 その16

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警告通り、怨虫と餓鬼に肉を喰らわそうとしたら、三木が糸にこう言ってきた。

 「今の、御唱訃と思ったのか?」
 「あん?」
 「唱える者と言えど千年も寝てると、
  呪を忘れちゃうのかな? 
  晩霜院暦糸姫さまw」

三木の笑顔が悔しくて、糸が半ギレ。

 「このあてが呪を忘れるやと思うんでっか?! 
  アホなこと言いないな! 
  そっちこそ今のを御唱訃や無いっちゅうん
  やったら、若生院は何を教えとんのや!」
 「そもそもこの呪も、、、」
 「この呪がなんでっか! 間違いなく
  蘇興そこうの呪で千年前と代わりまへんでぇ!」
 「なるほど、蘇興か、、、」 
 「糸!」

まゆらが糸を叱る。
が、もう遅い。

糸の意識を過剰に自分に向けさせ、挑発の言葉の最後に糸の名を呼ぶ。
思わず返事をしていまう糸。
引っ掛かった。

糸が一瞬で冷静さを失ったのは、三木の呪言。
当然、三木は解呪の呪言を展開。

 「あ、、、!」

と言う間に、三木に掛けていた呪が剝がされた。
キレイにEGが消えている。

 「嫌やわ。イケメンの呪言師に
  乗せられたやんかいさ。てへ♡」
 「てへちゃうわ!」

自由になった三木が、まゆらと紗結の間に入る。
指で宙を斬る。

この動作は、まゆらの呪をガード。
紗結に向き直り、顔面を右手で覆って耳元で叫ぶ。

 「戻って来い!」

カッ、と一度眼が見開くと、次の瞬間紗結の顔がみるみる赤く染まっていく。
催眠状態だった自分のした事が、解るからだ。

屈辱。

主である三木を裏切り、快感のためにまゆらに従った。
強制的に催眠状態とはいえ、ヘラヘラしながら質問に答えていた自分を思い出すと、胃が爆発して口から腸が出そうな気分だ。

 「よくも貴様ぁああああ!」

鬼の形相で叫ぶ紗結の姿は、まゆらの視界には無い。
術を解明したので、興味が無くなったのだ。

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