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天王寺の変 四の章

紅朱同赤 参 その11

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足を撃たれてるナベアツは、そこまで感心できる余裕がない。

まじまじとルネの顔を見るコーデュロイ。
そして首を傾げた。

 「、、、?」
 「質問にだけ答えて。それ以外の事を
  話したり動いたりしたら撃つわよ。
  分かったらゆっくり頷く」

コーデュロイは言われるがまま、ゆっくりと頷く。
それだけで満足気な顔だ。
対してナベアツは、何度も言うが足を撃たれてる。

 「いや、ちょっと、、、」

文句の一つも行ってやろうと口を開いた時だった。
自分の意思とは関係なく、右足が跳ねる。
血が、弾ける。
太腿に、また穴が開いた。

 「あああぁぁっぁああ!」

叫ぶナベアツ。
優雅な動きで、
ルネはまた人差し指を赤い唇の前に立てた。

 「し~~~~~~~~」

両方の太腿に赤い染みが出来た。

汗が止まらない。
身体は震えが止まらない。

 「てめぇええ!」

乾いた音が鳴った。
意外と軽い、ハンドガンの音。
また引き金を、ルネが引いたのだ。

 「ううぅああああ!!!!」

右に二つ目の穴。
合計三つ。

 「し~~~~~~~~」

相変わらず、ルネの動きは優雅だ。

 「、、、ぁ、、、!!?!」

叫ぼうとするナベアツの腕を強く握り、コーデュロイがそれを静止した。

泣きそうな顔で、コーデュロイを見上げた。

ナベアツよりより冷静なコーデュロイは、ルネが初めに言った言葉を単純に行動していることに気付いた。

 「なんも言うな。撃たれる」
 「え、、、、え、、、?」

真っ赤な唇の前に立てた指を、ゆっくり離した。
二人を見て、ルネが微笑んだ。

一人は恐怖し、もう一人は頬を赤くした。

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