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天王寺の変 三の章

稚知謀大 肆 その10

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 「へぇ、、、」

佐山は続けた。

 「ちょっと嬉しいっス。
  サイラーさんが、頑張れよってくれたんス」
 「えぇのう。えぇのん貰ったの」

ここで普通なら、何でオレの手下の佐山に、、、!
なんて思うところなのだが、今の高岡は死への恐怖で本当に文面通りの感想しか持たなかった。

 「へへ。分かってますよ、
  俺なんかがアニキの役に立たないって。
  アニキはヤバい使い手やし、
  実際めっちゃ強いし。
  でも、
  それでも何か手伝える事が
  あるんちゃうかなって。
  そう思ってた時にサイラーさんから
  声かけて貰ったんすよ」
 「何て?」
 「アニキの、、、高岡の横に付いたってくれって、、、」
 「、、、サイラーさんが、そんな事を、、、」

みえみえの言葉と、ミエミエのプレゼントに感動する佐山と、その幼稚なやり取りを聞いて感動する高岡。

二人は抱き合って泣いた。

高岡、は心の底から。
佐山は、、、。

 (コイツ、もうアカンな、、、

今の猿芝居が、だった。
そんな心の内を微塵も見せない。
佐山はバカな子分を演じ切っている。

 「俺、ホンマ嬉しかったっス。
  これで堂々とアニキの横に立ってられるって
  思ったんすよ。マジで。
  いっぱい世話になってるし、アニキ、
  恩返しさせて貰いますわ!」

見事に涙を流して見せた。
そんな佐山に、高岡はさらに感動する。
二人の男が、わんわん泣きながら抱き合う。

その隣の部屋で、半裸の女の娘は、高岡の死を、切に願っていた。

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