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天王寺の変 三の章

稚知謀大 肆 その2

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術師の観点からもう一つ、重要な要素がある。
結界内で有名な、天王寺動物園の話。

速水颯太の事件後、溢れかえったエレクトリック・ゴーストは動物園にも出た。

運悪く、憑依系のエレクトリック・ゴーストが動物園に住み着いていた鳩に取り憑き、一体化した。
それが園内の動物を次々と捕食し始める。
肉体的に、ではなく、魂的に、だ。

空っぽの肉の器になった殻に、低級のエレクトリック・ゴーストが入り込むのは容易たやすい。

結果、園内は動物の格好をしたエレクトリック・ゴーストが溢れ、共に喰い合い、強大化したり複合化したりして、歪な精神生命体を生み出すことになった。

これを腕試しと、名前を売りたいEG使いたちがエレクトリック・ゴーストを狩ろうと動物園内に入っていくが、帰って来たものは居ない。

入ったのは、十五人。

十五人入って、一人も帰ってこない。

これはヤバい。
確実にヤバい。

だが不思議な事に、何故か園内から出ない動物園のエレクトリック・ゴースト。

これが救いだった。
何かの拍子で出てくる前に、園内に閉じ込めておこうと道具屋の協力でデンタイが封印した。

指揮を執ったのは波働。

動物園を囲う柵に呪詛を掛け、霊体が外に出られないようにした。

三メートル置きに配置されてる、小さな杭。
この杭が呪詛の効力を維持する役目をしている。
小さいが、重要な杭。
道具屋の最大手、加茂家から頂いた品だ。
配置されてる杭が一本でも抜けると、大変な事になる。
その監視と継続を任さてるのが、、、。
なんやかんやで現在任されているのが、通天閣のモータルフラワーだ。

ちなみにこれは秘密事項。
杭の事も、呪詛の事も。
だから結界内のEG使いと言えど、この状況を把握しているものは少ない。

なので結界内では、こう噂されている。

動物園には、ヤバいエレクトリック・ゴーストが居る。
それが外に出ないのは、通天閣のモータルフラワーのお陰。

という事になっていた。
この噂は、実に役に立っている。

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