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天王寺の変 三の章

稚知謀大 弐 その5

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少し時間をさかのぼる。
佳穂は大阪駅に逆戻りし、稲ちゃんに会っていた。

 「ガラケーって!」
 「そんなん言いなや~」

モノアイの言う通り、荷受け所の受付で稲ちゃんを呼び出してこのガラケーを受け取ったところだった。

 「こんなん使ってんのん
  意固地なオッサンしかおらんやろ」
 「この娘ムチャクチャ言うわ~」

稲ちゃんの声が、大阪駅に虚しく響く。

「モノアイって大丈夫なん? 
  なぁなぁ、どうなん?」
 「大丈夫やって。
  モノアイさんって、
  結界内やったら知らんヤツおらん人やで」
 「へ~。それやったらええねんけど。
  こっちは妹助けなアカンから必死やねん」
 「そうかそうか。知らんけど」
 「知っといて!」

呆れ顔の稲ちゃんは、心の中ではよう帰ってくれと願っていた。

 「ほら、電源入れたら掛かってくるから、、、」
 「分かった。急かさんといて!」

ガラケーがゆっくり立ち上がると、ほぼ同時に着信が鳴った。

確認するまでもなく、相手はモノアイだ。

 「お、ちゃんともろたな」
 「貰たけど、ガラケーやで」
 「ガラケーでええねん」

ちょっと納得できない佳穂だったが、文句は言えない。

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