次郎と俺のハナシ

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4章 星灯の都市にて

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 船の旅が始まった最初の1週間は地獄であった。

 船に乗ったことが無かったから知らなかったが、俺は船に酔いやすい体質のようで、外で景色を見ながらグッタリしていることが多かった。

 太陽を浴びている時間が長くなったせいか、鏡を見てみると顔が1週間前よりも焼けた気がする。少し肌がヒリヒリした。

 そんななかでの癒しはミーナとともに来てくれた猫達。

 猫達にネズミを側に置いていかれた時は思わず叫んだが、ミーナと猫達の姿を見るだけで元気になるようだった。

 ミーナも猫達のパトロールについていくことが多いみたいだが、今のところネズミを捕まえた様子はない。

 母がミーナがネズミにビックリして飛び上がっている姿を見たと笑いながら言っていた。そのネズミは他の猫に捕まえられたみたいだが。

 着実に仕事をしている猫達に感謝であった。


***

 船に乗って1週間も経つと、少し身体が船に慣れたのか元気になってきた。

 せっかく船に乗ったのだからと、船内を歩き回っていると、船乗りの兄さんに遭遇した。

 元気になったみたいでよかったな、と声をかけられたので、お陰様で、と応えた。俺がダウンしている所をいつの間にか見られていたようで少し恥ずかしい。

 船乗りの兄さんから、元気になった祝いにお菓子やるよ、と船員達の部屋に招かれた。

 俺が泊まっている乗客用の部屋は大部屋で、カーテンで仕切りながらベットが並んでいたが、船員達の部屋はハンモックで寝ているみたいで色んなところに吊ってあった。

 カーテンで仕切られているよりも部屋が広く感じるが、開放的すぎてプライバシーは皆無な気がする。

 俺はハンモックで寝たことが無かったので、ハンモック寝心地良い?と聞くと、正直良くない、と笑われた。

 俺には少し狭いし寝返りがうちにくいんだ、という船乗りの兄さん。体格が良いので苦労をしているそうだ。

 船乗りは大変なんだなと思いながら、近くのハンモックに近づくと猫が寝ていて、ぐっすりと丸まっていた。

 俺が、先客がいる、というと船乗りの兄さんはこちらに来て、このハンモックのやつは今日はそこら辺で寝るしかないな、と猫を優しく撫でた。

 猫達がハンモックで寝ることは珍しくなく最近は良くあることだそうだ。自分のハンモックで猫が寝ていたら、いつもの感謝として諦めて、猫に寝床を譲るそう。

 猫達用のハンモックもあるらしいが、最近は船員達のハンモックの方がお気に入りになってきているらしい。

 船乗りの兄さんは、猫達用のハンモックは人間用より小さめなんだよな、と溜息を吐いていた。

 星灯の都市に着いたら、人間用のハンモックを新しく購入しようと検討中らしい。

 猫達を大切にしている姿を見て、なんだか心がほっこりした。

 持ってきてくれた硬めのクッキーにお礼を言い食べながら、猫達のこと大切にしているんだね、というと、大事な仲間だからな、とワザとつくった真面目な顔で言われて笑ってしまった。

 寝ている猫の耳がピコピコと動いて、尻尾がユラっと揺れた。
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