次郎と俺のハナシ

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4章 星灯の都市にて

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 俺の里心が膨らんできた頃、季節が冬から春へと変化した。

 焔の山は寒かったけれど、雪が降るほどではなくて春の雪解けはなかった。

 どの街にもあったキャンプファイヤーで暖を取っていた住人達だが、そろそろ暖はとらなくなった。キャンプファイヤーは燃え続けているが。

 キャンプファイヤーは一年中、そのまま燃え続けているらしい。

 住人によると、夏の間はあまり熱くないらしい。キャンプファイヤーだよね??

 これも人の想いに強く影響を受けた結果なのだろうか。なんとも不思議である。

 今まで慣れた国にでしか旅をしたことがなかったからか、焔の山から水の城へ帰る馬車では、すっかりと草臥れていた。

 ずっと走っている馬の方が元気がある、と馬車を率いていたお兄さんに呆れられたし、馬の休憩の際に地面で寝転がっていたら、馬には髪の毛をモシャモシャと口で甘噛みされた。どういう意味だろうか。

 1ヶ月ほど馬車での移動が続き、ついに水の城に着いた。

 故郷だ~と1人盛り上がる予定だったが、実際は、故郷だ...と殆ど屍状態。
 予定通りにいかないものである。

 夕方頃に家に着いたとき、母は留守だった。何処かに行っているらしい。
 玄関を通り過ぎようとした時に目に入った棚に俺が松明を振り回している写真が飾られていて、ギョッとした。

 今見ても俺は必死な表情をしていて笑ってしまった。何だか運気が上がった気がする。気のせいか。

 ベット~、とフラフラ2階まで上がり、自分の部屋へ。疲れからか眠くて仕方ない。

 おやすみなさい、と1人で呟きつつ目を閉じた。


***

 次の日の朝までどころか、昼まで寝てしまい、母が俺の部屋のドアを叩く音で起きた。

 野菜ちゃんおはよ、と野菜ちゃん呼びは継続中であった。

 今も野菜ちゃん呼びなんだね、というと、松明ちゃんがいい?と聞かれ、そのままでお願いした。松明ちゃんは何だか物騒な気がする。

 母に、玄関であなたの靴を見て驚いたわ、と言われた。ボロボロになっていたし、いっぱい歩いたのね、と楽しそうだった。

 うん、と幼子のように首を縦に振ってしまった。何せ眠く、身体がダルい。

 母に旅の思い出を話したいのに、話せそうになかった。

 一階に降りて、母が用意してくれたパンをモソモソと食べ、コーンスープを飲んだ。途中で寝てしまいそうになって、頭を軽く振ったが、余計に頭がクラクラし頭を抑えた。眠気が限界突破をしている。

 母に、もう一回寝ちゃいなさい、と言われ、うん、と頷き、気づいたらリビングのカーペットの上で寝てしまっていた。
 寝ていた俺に毛布がかけられていた。きっと母がかけてくれたのだろう。

 ぐっすりと眠ったが、夜の10時頃には自然と起きた。夜、寝れるだろうか。

 少し意識がスッキリしていた。

 今更ながら、リビングにいた母に、ただいま、というと、おかえり、と頭を撫でられた。幼児扱いを受けている気がする。

 ぐーっと背伸びをすると、我が家に帰ってきたんだと実感が湧いてきた。
 何だかホッと一息ついた心地であった。

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