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3章 焔の山にて
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焔の山に行く道中の馬車で、砂の大陸の頃の次郎の夢を見た。
何も特別じゃない何気ない会話。次郎との会話の時だけは、こういった会話でもいつも特別だった。会話をしながら、ずっと一分一秒と少しでも長く続くように願っていた。
今回見た夢は、次郎がゲーム機に夢中になってたから、嫉妬して割り込んだ出来事。現実にあったことであった。
次郎からも通信相手からも邪魔扱いされながら、次郎にくっついていたらため息を吐かれた後、後ろからならくっついていてもいいよ、と許可をもらった。
喜んで後ろからくっついてると、またため息を吐かれたが、本当にしょうがないな、と優しい目で見られてドキドキしたんだった。
今、見てもドキドキするし、どちらが年上か分からない言動に対して、二重にドキドキしてきた。
こんなに子供っぽいことしてたかなと自分でも不思議だったが、きっと無意識に必死だったのだろう。
次郎といれる時間が限られていることは分かっていたから。
ガタガタ揺れる馬車の中だからか、途中で目が覚めた。少しでも長く見たかったのにと思ったけれど、しょうがない。
けど、しょうがないと自分に対して言い聞かせるしかないこともあるだろうけど、次郎に関してのことでは、しょうがなくないかもしれない。過去の夢さえ諦められきれないのだから、とても重症である。
次郎に会いたい、とまた呟いてしまった。馬車に乗ってから、言う回数が増えたように思う。することがなくて、次郎のことを余計に考えるからかもしれない。
起きてしまって暇だから、馬車からそっと外を見た。上を見上げてみると、たくさんの星があってとても綺麗だった。
次郎がいる場所からは見えていたりないだろうか。賢い次郎なら、どの星がどんな意味をもっているのかとかも分かるかもしれない。
俺には沢山ありすぎて何が何だかよく分からないのだ。あれは何座、とかそんな会話がしたくなった。
けれど、次郎は星を見てないだろうなと思った。今、次郎はぐっすりと寝てる最中なのだ。
早く起きてほしいという気持ちとゆっくり寝てほしいという気持ちが混ざり合ってる。
せめて、次郎が見ている夢を俺も見れたらいいのにと、そう星を見ながら願った。
***
ガタガタ揺れながら2週間。やっと、焔の山に着いた。全身、痛くないところを探す方が難しいぐらい痛いしガタついてる。
待って動けない、と馬車を率いてた爺さんにいうと、宿まで連れていってくれた。
木が基調の建物で温かみのある印象だ。素敵なところだが、焔の山で木の建物は燃やされないのか少し心配だった。
こいつ部屋で寝かしてやって、と宿の受付の人に言い、部屋のベットに転がされた。
お手数をおかけしました、というと、水の城からの客はこうなることが多いから気にするな、と優しい一言である。
夜に魘されていることもあったから良く休めよ、とまで言われた。爺さんの気遣いに感謝しかなかった。
爺さんありがとう、というと、頭をガシガシ撫でられた。普通に痛い。遠慮がなさすぎるのに、なぜか胸がポカポカと温かく感じる、不思議な撫で方だった。
何も特別じゃない何気ない会話。次郎との会話の時だけは、こういった会話でもいつも特別だった。会話をしながら、ずっと一分一秒と少しでも長く続くように願っていた。
今回見た夢は、次郎がゲーム機に夢中になってたから、嫉妬して割り込んだ出来事。現実にあったことであった。
次郎からも通信相手からも邪魔扱いされながら、次郎にくっついていたらため息を吐かれた後、後ろからならくっついていてもいいよ、と許可をもらった。
喜んで後ろからくっついてると、またため息を吐かれたが、本当にしょうがないな、と優しい目で見られてドキドキしたんだった。
今、見てもドキドキするし、どちらが年上か分からない言動に対して、二重にドキドキしてきた。
こんなに子供っぽいことしてたかなと自分でも不思議だったが、きっと無意識に必死だったのだろう。
次郎といれる時間が限られていることは分かっていたから。
ガタガタ揺れる馬車の中だからか、途中で目が覚めた。少しでも長く見たかったのにと思ったけれど、しょうがない。
けど、しょうがないと自分に対して言い聞かせるしかないこともあるだろうけど、次郎に関してのことでは、しょうがなくないかもしれない。過去の夢さえ諦められきれないのだから、とても重症である。
次郎に会いたい、とまた呟いてしまった。馬車に乗ってから、言う回数が増えたように思う。することがなくて、次郎のことを余計に考えるからかもしれない。
起きてしまって暇だから、馬車からそっと外を見た。上を見上げてみると、たくさんの星があってとても綺麗だった。
次郎がいる場所からは見えていたりないだろうか。賢い次郎なら、どの星がどんな意味をもっているのかとかも分かるかもしれない。
俺には沢山ありすぎて何が何だかよく分からないのだ。あれは何座、とかそんな会話がしたくなった。
けれど、次郎は星を見てないだろうなと思った。今、次郎はぐっすりと寝てる最中なのだ。
早く起きてほしいという気持ちとゆっくり寝てほしいという気持ちが混ざり合ってる。
せめて、次郎が見ている夢を俺も見れたらいいのにと、そう星を見ながら願った。
***
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夜に魘されていることもあったから良く休めよ、とまで言われた。爺さんの気遣いに感謝しかなかった。
爺さんありがとう、というと、頭をガシガシ撫でられた。普通に痛い。遠慮がなさすぎるのに、なぜか胸がポカポカと温かく感じる、不思議な撫で方だった。
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