19 / 35
3章 焔の山にて
19
しおりを挟む
焔の山に行く道中の馬車で、砂の大陸の頃の次郎の夢を見た。
何も特別じゃない何気ない会話。次郎との会話の時だけは、こういった会話でもいつも特別だった。会話をしながら、ずっと一分一秒と少しでも長く続くように願っていた。
今回見た夢は、次郎がゲーム機に夢中になってたから、嫉妬して割り込んだ出来事。現実にあったことであった。
次郎からも通信相手からも邪魔扱いされながら、次郎にくっついていたらため息を吐かれた後、後ろからならくっついていてもいいよ、と許可をもらった。
喜んで後ろからくっついてると、またため息を吐かれたが、本当にしょうがないな、と優しい目で見られてドキドキしたんだった。
今、見てもドキドキするし、どちらが年上か分からない言動に対して、二重にドキドキしてきた。
こんなに子供っぽいことしてたかなと自分でも不思議だったが、きっと無意識に必死だったのだろう。
次郎といれる時間が限られていることは分かっていたから。
ガタガタ揺れる馬車の中だからか、途中で目が覚めた。少しでも長く見たかったのにと思ったけれど、しょうがない。
けど、しょうがないと自分に対して言い聞かせるしかないこともあるだろうけど、次郎に関してのことでは、しょうがなくないかもしれない。過去の夢さえ諦められきれないのだから、とても重症である。
次郎に会いたい、とまた呟いてしまった。馬車に乗ってから、言う回数が増えたように思う。することがなくて、次郎のことを余計に考えるからかもしれない。
起きてしまって暇だから、馬車からそっと外を見た。上を見上げてみると、たくさんの星があってとても綺麗だった。
次郎がいる場所からは見えていたりないだろうか。賢い次郎なら、どの星がどんな意味をもっているのかとかも分かるかもしれない。
俺には沢山ありすぎて何が何だかよく分からないのだ。あれは何座、とかそんな会話がしたくなった。
けれど、次郎は星を見てないだろうなと思った。今、次郎はぐっすりと寝てる最中なのだ。
早く起きてほしいという気持ちとゆっくり寝てほしいという気持ちが混ざり合ってる。
せめて、次郎が見ている夢を俺も見れたらいいのにと、そう星を見ながら願った。
***
ガタガタ揺れながら2週間。やっと、焔の山に着いた。全身、痛くないところを探す方が難しいぐらい痛いしガタついてる。
待って動けない、と馬車を率いてた爺さんにいうと、宿まで連れていってくれた。
木が基調の建物で温かみのある印象だ。素敵なところだが、焔の山で木の建物は燃やされないのか少し心配だった。
こいつ部屋で寝かしてやって、と宿の受付の人に言い、部屋のベットに転がされた。
お手数をおかけしました、というと、水の城からの客はこうなることが多いから気にするな、と優しい一言である。
夜に魘されていることもあったから良く休めよ、とまで言われた。爺さんの気遣いに感謝しかなかった。
爺さんありがとう、というと、頭をガシガシ撫でられた。普通に痛い。遠慮がなさすぎるのに、なぜか胸がポカポカと温かく感じる、不思議な撫で方だった。
何も特別じゃない何気ない会話。次郎との会話の時だけは、こういった会話でもいつも特別だった。会話をしながら、ずっと一分一秒と少しでも長く続くように願っていた。
今回見た夢は、次郎がゲーム機に夢中になってたから、嫉妬して割り込んだ出来事。現実にあったことであった。
次郎からも通信相手からも邪魔扱いされながら、次郎にくっついていたらため息を吐かれた後、後ろからならくっついていてもいいよ、と許可をもらった。
喜んで後ろからくっついてると、またため息を吐かれたが、本当にしょうがないな、と優しい目で見られてドキドキしたんだった。
今、見てもドキドキするし、どちらが年上か分からない言動に対して、二重にドキドキしてきた。
こんなに子供っぽいことしてたかなと自分でも不思議だったが、きっと無意識に必死だったのだろう。
次郎といれる時間が限られていることは分かっていたから。
ガタガタ揺れる馬車の中だからか、途中で目が覚めた。少しでも長く見たかったのにと思ったけれど、しょうがない。
けど、しょうがないと自分に対して言い聞かせるしかないこともあるだろうけど、次郎に関してのことでは、しょうがなくないかもしれない。過去の夢さえ諦められきれないのだから、とても重症である。
次郎に会いたい、とまた呟いてしまった。馬車に乗ってから、言う回数が増えたように思う。することがなくて、次郎のことを余計に考えるからかもしれない。
起きてしまって暇だから、馬車からそっと外を見た。上を見上げてみると、たくさんの星があってとても綺麗だった。
次郎がいる場所からは見えていたりないだろうか。賢い次郎なら、どの星がどんな意味をもっているのかとかも分かるかもしれない。
俺には沢山ありすぎて何が何だかよく分からないのだ。あれは何座、とかそんな会話がしたくなった。
けれど、次郎は星を見てないだろうなと思った。今、次郎はぐっすりと寝てる最中なのだ。
早く起きてほしいという気持ちとゆっくり寝てほしいという気持ちが混ざり合ってる。
せめて、次郎が見ている夢を俺も見れたらいいのにと、そう星を見ながら願った。
***
ガタガタ揺れながら2週間。やっと、焔の山に着いた。全身、痛くないところを探す方が難しいぐらい痛いしガタついてる。
待って動けない、と馬車を率いてた爺さんにいうと、宿まで連れていってくれた。
木が基調の建物で温かみのある印象だ。素敵なところだが、焔の山で木の建物は燃やされないのか少し心配だった。
こいつ部屋で寝かしてやって、と宿の受付の人に言い、部屋のベットに転がされた。
お手数をおかけしました、というと、水の城からの客はこうなることが多いから気にするな、と優しい一言である。
夜に魘されていることもあったから良く休めよ、とまで言われた。爺さんの気遣いに感謝しかなかった。
爺さんありがとう、というと、頭をガシガシ撫でられた。普通に痛い。遠慮がなさすぎるのに、なぜか胸がポカポカと温かく感じる、不思議な撫で方だった。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈
めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。
しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈
記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。
しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。
異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆!
推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!
黄色い水仙を君に贈る
えんがわ
BL
──────────
「ねぇ、別れよっか……俺たち……。」
「ああ、そうだな」
「っ……ばいばい……」
俺は……ただっ……
「うわああああああああ!」
君に愛して欲しかっただけなのに……
いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。
人気アイドルが義理の兄になりまして
雨田やよい
BL
柚木(ゆずき)雪都(ゆきと)はごくごく普通の高校一年生。ある日、人気アイドル『Shiny Boys』のリーダー・碧(あおい)と義理の兄弟となり……?
【BL】国民的アイドルグループ内でBLなんて勘弁してください。
白猫
BL
国民的アイドルグループ【kasis】のメンバーである、片桐悠真(18)は悩んでいた。
最近どうも自分がおかしい。まさに悪い夢のようだ。ノーマルだったはずのこの自分が。
(同じグループにいる王子様系アイドルに恋をしてしまったかもしれないなんて……!)
(勘違いだよな? そうに決まってる!)
気のせいであることを確認しようとすればするほどドツボにハマっていき……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる