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その170.「がらんどう」は仏教用語

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 十二月を旧暦で「師走しわす」と呼んだりします。そんな師走も、もう終わろうとしていますが……。

 師匠も走ると書いて「師走」、この「師」は寺の「法師」、すなわち「お坊さん」の意味。

 年の暮れ、仏事でお坊さんも忙しく、走り回る時期……というのが一般的な雑学ですが、近年では、この「師走」という文字は後付けの「宛て字」であり、平安時代には「しはす」という言葉だけが既にあったが、その時点でもう意味が分からなくなっていた、というデータがあります。
 
 年末にお坊さんがバタバタと忙しいのは、いつの時代も変わらないようですけどね。

 さて、今回は、お坊さんのいる「お寺」についての話。

 大きな建物だけど、家具も何もない。そんな広い空間を「がらんどう」と表現することがあります。

 最近のAdoの楽曲の歌詞にも「伽藍堂がらんどう」と漢字表記があったので、「あ、こういう字だったのか」と気づいた方も多いのでは。

 仏教寺院を守護する神「伽藍神がらんじん」を、祀る立派なお堂を「伽藍堂」と呼びました。
(大きさの規模で「大伽藍だいがらん」「小伽藍しょうがらん」と呼び分けることもあったらしいです)

 そこから、広々とした部屋を「伽藍堂のようだ」と表現するようになりました。

 伽藍堂は、祀る本尊以外、建物の大きさの割にはあまり物が置かれていませんでした。転じて「何もない空間」を指します。

「がらんどう」といえば、単に「何もない空間」というよりは、特に、空虚な印象や、寂寥な心象を表す場合に使われる場合が多いです。

 人がいないのを「がらーんとしていた」「会場はガラガラだった」というのも、「伽藍」の音から来ていると思われます。

 そんなこんなで、年内の雑学エッセイは、今回が最後。次は2024年1月2日の更新になります。

 それでは皆さん、良いお年を! おもち食べ過ぎないでね!(小学生の頃に年賀状によく書いてたセリフ)
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