43 / 50
加減について
しおりを挟む
とう子さんの家にはじめて行ったその日は、クリスマスだった。
仕事はめちゃくちゃ忙しくて、当然休みではなかったが、一緒に寝たいとお願いしたら「うちくる?」と言われた。
ロフト付きワンルームで、予想してた通りキッチンは広め。忙しいなか無理を言ったのに、ごちそうを作ってくれていた。
ローテーブルに並べられたのはビーフシチューとサラダ、そして小さくて丸い色鮮やかな、おにぎり?寿司?
「手毬寿司って言うの。洋食と和食ごちゃ混ぜになっちゃってごめんね。うちでは、おもてなし料理っていつもこれで・・・」
しまった。
刺身が嫌いって言ってなかった・・・
社会人になって食えるようにはなったが、嫌いなことには変わりなく・・・
海老はボイルだから大丈夫。鯛と鮭?
ああっ!桜でんぶは食えねえ~、ピンクがゾッとする。
逃げ場は絹さやと玉子だな・・・
「よし君?」
「あっ、はい!」
「もしかして、苦手だった?」
「いや、感動して・・・。とう子さんは料理上手ですね」
「敬語になってるよ。」
「・・・・・・」
「あははっ、フランスパンもあるよ?ごま付きの。」
「・・・・・・両方たべる」
「無理しなくていいのに~。」
食べられる具材をピックアップして、残りは皿に飾る。
「でも、すごく綺麗だね」
「でしょ?着物の柄をイメージしてみたの。」
「くす玉みたいって思った」
ころころキラキラの向こうに、微笑む彼女。
酢飯はお酢がほんのり香る程度で、ビーフシチューともよく合った。
デザートはレアチーズケーキだった。
「クリスマスっぽくないんだけど・・・時間が無くて。簡単に作れるから。」と申し訳なさそうにしていたが、自分が過去に食べたケーキのなかで一番おいしかったと思う。
前のチョコパウンドケーキも甘さ控えめでよかった。彼女らしい素朴でやさしい味。
紅茶ポットを揃えているのも、彼女らしさを感じる。
「とう子さん、これ、クリスマスプレゼント」
そっとテーブルに置く。
「わあ!ありがとう!」
プレゼントはプラチナの華奢なネックレスにした。トップには小粒の・・・
「えっ・・・これ・・・」
「・・・うん、ダイヤ」
彼女が固まっている。うーん。
やり過ぎなのは、わかってる。
まだ付き合って2カ月だ。
あ~、また怯えた顔、なんで?
ジュエリーの勉強もしたことがある木屋町に相談したら「俺のはゴテゴテ宝石だから~。ティファニーとかがいんじゃね?」と言われ、アクセサリーも扱う生活雑貨店に勤めている女友達に相談したら「ダイヤ・・・?すごいね。(重くない?)」と微妙な顔された・・・。
俺は今まで、誰かに身につけるものをプレゼントしたことがない。
はじめてだから、記念にダイヤモンド・・・
仕事はめちゃくちゃ忙しくて、当然休みではなかったが、一緒に寝たいとお願いしたら「うちくる?」と言われた。
ロフト付きワンルームで、予想してた通りキッチンは広め。忙しいなか無理を言ったのに、ごちそうを作ってくれていた。
ローテーブルに並べられたのはビーフシチューとサラダ、そして小さくて丸い色鮮やかな、おにぎり?寿司?
「手毬寿司って言うの。洋食と和食ごちゃ混ぜになっちゃってごめんね。うちでは、おもてなし料理っていつもこれで・・・」
しまった。
刺身が嫌いって言ってなかった・・・
社会人になって食えるようにはなったが、嫌いなことには変わりなく・・・
海老はボイルだから大丈夫。鯛と鮭?
ああっ!桜でんぶは食えねえ~、ピンクがゾッとする。
逃げ場は絹さやと玉子だな・・・
「よし君?」
「あっ、はい!」
「もしかして、苦手だった?」
「いや、感動して・・・。とう子さんは料理上手ですね」
「敬語になってるよ。」
「・・・・・・」
「あははっ、フランスパンもあるよ?ごま付きの。」
「・・・・・・両方たべる」
「無理しなくていいのに~。」
食べられる具材をピックアップして、残りは皿に飾る。
「でも、すごく綺麗だね」
「でしょ?着物の柄をイメージしてみたの。」
「くす玉みたいって思った」
ころころキラキラの向こうに、微笑む彼女。
酢飯はお酢がほんのり香る程度で、ビーフシチューともよく合った。
デザートはレアチーズケーキだった。
「クリスマスっぽくないんだけど・・・時間が無くて。簡単に作れるから。」と申し訳なさそうにしていたが、自分が過去に食べたケーキのなかで一番おいしかったと思う。
前のチョコパウンドケーキも甘さ控えめでよかった。彼女らしい素朴でやさしい味。
紅茶ポットを揃えているのも、彼女らしさを感じる。
「とう子さん、これ、クリスマスプレゼント」
そっとテーブルに置く。
「わあ!ありがとう!」
プレゼントはプラチナの華奢なネックレスにした。トップには小粒の・・・
「えっ・・・これ・・・」
「・・・うん、ダイヤ」
彼女が固まっている。うーん。
やり過ぎなのは、わかってる。
まだ付き合って2カ月だ。
あ~、また怯えた顔、なんで?
ジュエリーの勉強もしたことがある木屋町に相談したら「俺のはゴテゴテ宝石だから~。ティファニーとかがいんじゃね?」と言われ、アクセサリーも扱う生活雑貨店に勤めている女友達に相談したら「ダイヤ・・・?すごいね。(重くない?)」と微妙な顔された・・・。
俺は今まで、誰かに身につけるものをプレゼントしたことがない。
はじめてだから、記念にダイヤモンド・・・
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

令和の中学生がファミコンやってみた
矢木羽研
青春
令和5年度の新中学生男子が、ファミコン好きの同級生女子と中古屋で遭遇。レトロゲーム×(ボーイミーツガール + 友情 + 家族愛) 。懐かしくも新鮮なゲーム体験をあなたに。ファミコン世代もそうでない世代も楽しめる、みずみずしく優しい青春物語です!
第一部・完! 今後の展開にご期待ください。カクヨムにも同時掲載。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる