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失恋について
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「えっ?なんなの?もしかして本当に三角関係がはじまるの?」と、ニッシーが問いつめる。
純がこっちを見てわなわなしている。
「純には彼氏がいるから迫らないし、三角関係にはならないだろう」
「でも、でも、そういう意味で純が好きってことだよね?」
このタイミングでか。うっかり口がすべってしまった。彼氏と別れてくれたら、とか、俺のこと好きだって確信できてから、とか、時期を狙っていたら1年たってしまったんだけど。
「俺が好きって言ったら、もう会ってくれないのか」そう純に聞いた。
ニッシーが息をのんでいる。
「・・・僕、あ、あ、・・・」
純が動揺しまくっている。
「・・・僕、会えないよ・・・」
ニッシーの顔が、ガガーンとしている。
あの、僕、帰るね。と消えるような声で、ささっと純は逃げていってしまった。
去っていく純の後ろ姿を見て、次に青ざめているニッシーを見て、最後に俺は机につっぷした。
ふられたか・・・。俺、明日からどうやって生きていこう・・・。
「あの・・・ごめんね?」
「・・・」
「か、勘違いしてて!純の彼も悪い人ではないんだけど、なんだかなー、って思ってたの。こっちの方がいい雰囲気だし、背中を押せばうまくいくかな~、って・・・」
「・・・」
「うわーん、ごめんって!」
「うるさい」
頭を上げると、ニッシーが涙目になっている。泣きたいのは俺の方だ。
「いいよ。勘違いしてたのは俺の方だ。毎週会ってくれてたし、俺のこと好きかも、って」
「アタシも話聞いてて、お似合いじゃん、って思ってた。」
「・・・1回さ、イベントで盛り上がって、純がすごく機嫌よく酔っぱらったときがあって」
「うん?」
「手をにぎったら、振りはらわれなかったんだよ」
「あら。」
「だからさ・・・」
あ、やべ、泣けてきた。
「飲もっか!あ、アンタお酒飲めないか・・・」
しかし、その日は飲んだ。酔ってみたかった。すぐ具合が悪くなっただけだったが。
ニッシーの彼氏が車で迎えにきて、はじめて会った。想像とは全然違う、優しそうな年下の男の子。
俺はニッシーの彼氏が来ても、まだぐじぐじ言ってた。
「純はさ、すごく真面目じゃん・・・」
「そうね。」
「人情ものの映画とか小説が好きでさ、らしいなって」
「そうよね。」
今までずっと純にたいして抱いていた気持ちを、ニッシーとニッシーの彼氏に滔々と語った。
「俺、ほんとはムチムチした子が好みなんだよ」
「ふうん?」
「でも、そういうのも、どうでもよくてさ・・・」
「ほお。」
「レンタルビデオ店って聞いてさ、エプロン付けて働いている姿を想像して」
「・・・」
「ああ~、エプロンいいな~って」
「ねえ!もう!こんな子だったの?もっとクールでドライだと思ってたのに!」
まあまあ、とニッシーの彼氏がなだめている。いつも、こういう話を聞いてくれるのは、まり子だった。俺が臆病者なのも、よくわかってた。
まり子はサンディエゴに行ってしまって、もういない。最後、ギクシャクして快く送り出せなかった。
「俺あんなに優しくしてもらったのに、慰めの言葉ひとつかけられない、ダメなやつなんだよ・・・」
「えっ?もう!なんの話よ~!?酔ってんの?」
その日、俺は吐いた。
やっぱり失恋は胃によくない。
純がこっちを見てわなわなしている。
「純には彼氏がいるから迫らないし、三角関係にはならないだろう」
「でも、でも、そういう意味で純が好きってことだよね?」
このタイミングでか。うっかり口がすべってしまった。彼氏と別れてくれたら、とか、俺のこと好きだって確信できてから、とか、時期を狙っていたら1年たってしまったんだけど。
「俺が好きって言ったら、もう会ってくれないのか」そう純に聞いた。
ニッシーが息をのんでいる。
「・・・僕、あ、あ、・・・」
純が動揺しまくっている。
「・・・僕、会えないよ・・・」
ニッシーの顔が、ガガーンとしている。
あの、僕、帰るね。と消えるような声で、ささっと純は逃げていってしまった。
去っていく純の後ろ姿を見て、次に青ざめているニッシーを見て、最後に俺は机につっぷした。
ふられたか・・・。俺、明日からどうやって生きていこう・・・。
「あの・・・ごめんね?」
「・・・」
「か、勘違いしてて!純の彼も悪い人ではないんだけど、なんだかなー、って思ってたの。こっちの方がいい雰囲気だし、背中を押せばうまくいくかな~、って・・・」
「・・・」
「うわーん、ごめんって!」
「うるさい」
頭を上げると、ニッシーが涙目になっている。泣きたいのは俺の方だ。
「いいよ。勘違いしてたのは俺の方だ。毎週会ってくれてたし、俺のこと好きかも、って」
「アタシも話聞いてて、お似合いじゃん、って思ってた。」
「・・・1回さ、イベントで盛り上がって、純がすごく機嫌よく酔っぱらったときがあって」
「うん?」
「手をにぎったら、振りはらわれなかったんだよ」
「あら。」
「だからさ・・・」
あ、やべ、泣けてきた。
「飲もっか!あ、アンタお酒飲めないか・・・」
しかし、その日は飲んだ。酔ってみたかった。すぐ具合が悪くなっただけだったが。
ニッシーの彼氏が車で迎えにきて、はじめて会った。想像とは全然違う、優しそうな年下の男の子。
俺はニッシーの彼氏が来ても、まだぐじぐじ言ってた。
「純はさ、すごく真面目じゃん・・・」
「そうね。」
「人情ものの映画とか小説が好きでさ、らしいなって」
「そうよね。」
今までずっと純にたいして抱いていた気持ちを、ニッシーとニッシーの彼氏に滔々と語った。
「俺、ほんとはムチムチした子が好みなんだよ」
「ふうん?」
「でも、そういうのも、どうでもよくてさ・・・」
「ほお。」
「レンタルビデオ店って聞いてさ、エプロン付けて働いている姿を想像して」
「・・・」
「ああ~、エプロンいいな~って」
「ねえ!もう!こんな子だったの?もっとクールでドライだと思ってたのに!」
まあまあ、とニッシーの彼氏がなだめている。いつも、こういう話を聞いてくれるのは、まり子だった。俺が臆病者なのも、よくわかってた。
まり子はサンディエゴに行ってしまって、もういない。最後、ギクシャクして快く送り出せなかった。
「俺あんなに優しくしてもらったのに、慰めの言葉ひとつかけられない、ダメなやつなんだよ・・・」
「えっ?もう!なんの話よ~!?酔ってんの?」
その日、俺は吐いた。
やっぱり失恋は胃によくない。
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