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二人組について
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二人組は、ニッシーと純といった。
ニッシーは小柄だが日焼けしてスポーツマンといった感じで、笑うと糸目になった。趣味はサーフィン。彼氏が4人いると言う。
「セフレじゃないの?」
「これがさあ、ちゃんと彼氏なんだなあ~。」
「へー、モテるんだな」
「クリスマスとか記念日は大変なのよ。タイムスケジュールが。」
同じ映画を四回観たりするらしい。凄まじい努力だ。そのなかに3年も付き合っている本命が一人。
「すっごい嫉妬深くて恐いの。」
なのに浮気するのか・・・。
純も付き合って1年になるという彼氏がいた。
「どうやったら長く付き合ってもらえるんだろう」俺がぼやくと
「うーん。こまめに連絡するとか?」と言われて、また譲に言われたことを思い出す。まったく、しょうもない。
てっきり二人が付き合っているのかと思っていたが、ただの気の合う友だちだそうだ。お互い彼氏の愚痴を言い合っている。ニッシーの嫉妬深い彼氏も、純ならO.K.とのことだった。
純はひょろっとした色白メガネで神経質そうに見えるが、よく喋るし性格はおだやかな感じだ。
「しんちゃん狙ってたの?フケ専?」とニッシーに聞かれた。
「いや、そんなおこがましいよ・・・」と俺が言うと
「「おこがましい・・・」」と二人がハモった。
「なんか、あんた若者っぽくないわね。」
「まあでも、しんちゃんは相手いるって言ってた。愛されてるから浮気はしないの~、って。」
しんちゃんらしくて、微笑ましかった。
ニッシーが「お腹空いたから居酒屋行かない?」と言い出したので店を変えて、その夜は食べて飲んでしゃべり倒した。
二人とはまた会おうと約束をして、連絡先を交換した。
ニッシーは彼氏がたくさんいるのと、商社に勤めているせいで忙しいらしく、ごくたまにしか会えない。純はレンタルビデオ店の社員。映画の話も面白かったが、俺と食べものの好みが合うせいか、食事によく誘ってくれた。
「ニッシーはさ、毎回必ず居酒屋なんだよ。から揚げ、枝豆、バターコーンばっかり。」
「俺は最近、もつ煮込みを知った」
「お酒飲めないくせに、そういうの好きだよね。」
純は和食好きだった。池波正太郎の大ファンで、先生の作品に倣って、深川めしとか、どじょう鍋とか、蕎麦を食べたがる。
「長野の方が蕎麦うまいじゃん。更科とか」
純は長野出身だ。
「よく知ってるね。でもさ、東京の方が食べ方が粋なのよ。揚げたての蕎麦に塩ふっておつまみにするとかさ。」
話の途中で、純の顔がくもった。
「ごめん。僕の話、つまんないよね?」
えっ?と驚いて
「いや全然?すごく楽しいよ」と言った。
「この間借りたエッセイも面白かった」
お店に行く前の下準備としてグルメエッセイを読まされたが、お店への期待も高まったし、ただ食べる味わうだけじゃなく、食の由来も愉しむという話が良かった。
「そう?そっか。」
純がホッとして笑った。
ニッシーは小柄だが日焼けしてスポーツマンといった感じで、笑うと糸目になった。趣味はサーフィン。彼氏が4人いると言う。
「セフレじゃないの?」
「これがさあ、ちゃんと彼氏なんだなあ~。」
「へー、モテるんだな」
「クリスマスとか記念日は大変なのよ。タイムスケジュールが。」
同じ映画を四回観たりするらしい。凄まじい努力だ。そのなかに3年も付き合っている本命が一人。
「すっごい嫉妬深くて恐いの。」
なのに浮気するのか・・・。
純も付き合って1年になるという彼氏がいた。
「どうやったら長く付き合ってもらえるんだろう」俺がぼやくと
「うーん。こまめに連絡するとか?」と言われて、また譲に言われたことを思い出す。まったく、しょうもない。
てっきり二人が付き合っているのかと思っていたが、ただの気の合う友だちだそうだ。お互い彼氏の愚痴を言い合っている。ニッシーの嫉妬深い彼氏も、純ならO.K.とのことだった。
純はひょろっとした色白メガネで神経質そうに見えるが、よく喋るし性格はおだやかな感じだ。
「しんちゃん狙ってたの?フケ専?」とニッシーに聞かれた。
「いや、そんなおこがましいよ・・・」と俺が言うと
「「おこがましい・・・」」と二人がハモった。
「なんか、あんた若者っぽくないわね。」
「まあでも、しんちゃんは相手いるって言ってた。愛されてるから浮気はしないの~、って。」
しんちゃんらしくて、微笑ましかった。
ニッシーが「お腹空いたから居酒屋行かない?」と言い出したので店を変えて、その夜は食べて飲んでしゃべり倒した。
二人とはまた会おうと約束をして、連絡先を交換した。
ニッシーは彼氏がたくさんいるのと、商社に勤めているせいで忙しいらしく、ごくたまにしか会えない。純はレンタルビデオ店の社員。映画の話も面白かったが、俺と食べものの好みが合うせいか、食事によく誘ってくれた。
「ニッシーはさ、毎回必ず居酒屋なんだよ。から揚げ、枝豆、バターコーンばっかり。」
「俺は最近、もつ煮込みを知った」
「お酒飲めないくせに、そういうの好きだよね。」
純は和食好きだった。池波正太郎の大ファンで、先生の作品に倣って、深川めしとか、どじょう鍋とか、蕎麦を食べたがる。
「長野の方が蕎麦うまいじゃん。更科とか」
純は長野出身だ。
「よく知ってるね。でもさ、東京の方が食べ方が粋なのよ。揚げたての蕎麦に塩ふっておつまみにするとかさ。」
話の途中で、純の顔がくもった。
「ごめん。僕の話、つまんないよね?」
えっ?と驚いて
「いや全然?すごく楽しいよ」と言った。
「この間借りたエッセイも面白かった」
お店に行く前の下準備としてグルメエッセイを読まされたが、お店への期待も高まったし、ただ食べる味わうだけじゃなく、食の由来も愉しむという話が良かった。
「そう?そっか。」
純がホッとして笑った。
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