誠実であることは難しい

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ケイトについて 2

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まり子と牛タン定食を食べながら、シンディについて話した。


「コミュニケーションがとれなかったんだよ・・・」
「日本語ほとんどしゃべれないって言ってたしね。」
「あと、ヒドイこと言うけどいい?」
「いいよ。」
「無職だろ?映画とか遊びに行くデート代は全部俺持ちになる。ベジタリアンだから飯食いにはいかないだろうけど。」
「まあ、そうなるね。」
「たかりにしか見えない」
「・・・そうだね~。」


まり子がウンウンと頷きながら、麦とろ飯を追加した。


「なんかさ、ケイトが連絡先を知りたいって言ってきてるんだけど。」
「俺の?怖いんだけど・・・」
「シンディのことはもういいから、それとは別で話したいって。」

俺は全力で首を振った。
「そうだよね~。」とまり子が苦笑いした。


食事のあとは、ちょっと西武の地下で食品買いたいから付き合って、と言われてついていった。

「ケイトさ、子供がいるんだって。3歳の娘。この間、写真見せてもらってさ。」
「へえ?」
「オーストラリアのおばあちゃんが面倒みてくれてるらしいよ。」

それで本人は遠く六本木でクラブ遊び?わっかんねえな。

まり子はいくつか惣菜と、見たこともないお菓子を買った。俺が持ってやるから、もっと買えば?と言ったが「大丈夫!大丈夫!」と言って、結局一人で帰っていった。


なんとなく予感はしていたが、ケイトから電話がきた。正確にはまり子からで、電話を代わって彼女と話した。

「元気?最近会わないね。」
「あー、忙しくて。友達のことはごめん」
「いいの、いいの!あれから別の人を紹介されて、そっちが上手くいってるみたいだから。」
「そうか。よかった」
「ほんと気にしなくていいからさ、また遊ぼうよ。」

そう言って電話を切った。気を遣って?くれたのか。今までケイトの声をちゃんと聞いたことがなかったが、明るい声だった。

その後、割とすぐにケイトと再会することになる。


まり子が彼氏と別れて夜がさみしいと言うから、家に遊びにいったらケイトと知らない男がいた。男の方は、どうやらまり子に紹介しようとケイトが連れてきたようだった。
名前はクリス。やっぱりオーストラリア人でヒョロッとしており、どちらかというとまり子のタイプではなかった。彼女の好みは筋肉ムキムキだ。

だけどクリスは陽気で面白い奴だった。来日四カ月で日本語ペラペラ。早口でよく喋る。
破天荒な両親や兄の話、日本での失敗談、下ネタまで、みんなを笑わせてくれた。
「ぼくは日本の女の子としか寝たことない。オーストラリアじゃモテない。」とぼやき、まり子も「私も日本人の男にはモテない~。」と言い二人で意気投合していた。 
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