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憎めない男について
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結果としてダニエルと性交はできた。
何度も痛くはないかと気遣ってくれて、コツがあるんだかなんだか、うまい具合に事は済んだ。にしたって、あのデカさで、ものすごい圧迫感だ。俺はただただビビりすぎて、気持ちいいとか分からなかったし、やっぱり挿入れられるのは性に合わない気がする。
ぶっちゃけ早く終わらないかとも思ってた。
事後はもうこの見知らぬ女の部屋にはいたくなくて「帰る」と言った。ちなみに俺はイッてない。
高円寺まで来て、ただセックスしただけ。
駅まで送ってもらい「またな」と言われたが、連絡先は渡さなかった。聞かれもしなかったし。
その後、しばらく夜遊びはしなかった。
大学のサークルは入っていなかったが、学部懇親会で仲良くなった友人たちと集まって食事したり、沖縄に旅行に行ったりした。趣味の合うやつと一緒に買いものしたり、映画祭を観たり。
高校時代の友達とも久しぶりに会って、近況報告しあった。
まり子とも、彼女の部屋で飯を食べながらダベっていたが、連れだってクラブに行ったりはしなかった。
そうして二ヶ月くらいたった頃だろうか、まり子から「なんかダニエルから連絡とってくれって言われたんだけど。」と電話がかかってきた。
「なんで?」と聞くと
「来週LAに行くからその前に会いたいって。」と言われた。
六本木で酔っ払ったダニエルにばったり会い「今すぐあいつに電話しろ!」と、うるさかったらしい。「今は夜中だから、明日。」と、どうにかなだめたとのことだった。
「寝たんだね。」
「・・・まあ」
「ダニエルに、まり子はあいつの裸を見たことあるか、って聞かれたよ。」
「はあ?」
「ほぼ裸なら見たことあるって言ったらさ、」
「・・・」
「すっげー綺麗なんだよ。って感動してた。」
口が軽い方だったか。
まり子だからまだ許せるが。
あんだけ男前で優しいのに、つくづく残念な男だ。
「六本木の○○ホテルで待ってる、って。どうする?」
「・・・行かない」
「えー、いいのー?」
「うん」
「そうかー・・・じゃあ、まあ、なんとか慰めとくよー。」
「ごめん。よろしく頼む」
「はいはーい。」
俺は電話を切った。
彼はクソビッチだが、飄々としていてかっこいいと、こうなる前は思っていた。
今は・・・なんだか笑いがこみ上げてきた。
自信をなくしヤケになってる俺に優しくしてくれた。おかげで最近は楽しい大学生活が送れている。
感謝はしているが、ダニエルと真面目に付き合うやつはいないと思う。
あの時、彼が恋の相手を探してたのか、セックスの相手を探してたのか、やっぱり俺にはよくわからない。
きっと向こうも俺がどんなつもりだったのか、よくわからないだろう。
もう少しちゃんと会話していたら、なにかが始まっていただろうか?
でも、あの高円寺の部屋を思い出すと、イヤイヤないだろうと。
いろいろダメだけど、優しくて、なんだか不思議と憎めない男だった。
心のなかでさよならを言って、この先の彼の幸運を願った。
何度も痛くはないかと気遣ってくれて、コツがあるんだかなんだか、うまい具合に事は済んだ。にしたって、あのデカさで、ものすごい圧迫感だ。俺はただただビビりすぎて、気持ちいいとか分からなかったし、やっぱり挿入れられるのは性に合わない気がする。
ぶっちゃけ早く終わらないかとも思ってた。
事後はもうこの見知らぬ女の部屋にはいたくなくて「帰る」と言った。ちなみに俺はイッてない。
高円寺まで来て、ただセックスしただけ。
駅まで送ってもらい「またな」と言われたが、連絡先は渡さなかった。聞かれもしなかったし。
その後、しばらく夜遊びはしなかった。
大学のサークルは入っていなかったが、学部懇親会で仲良くなった友人たちと集まって食事したり、沖縄に旅行に行ったりした。趣味の合うやつと一緒に買いものしたり、映画祭を観たり。
高校時代の友達とも久しぶりに会って、近況報告しあった。
まり子とも、彼女の部屋で飯を食べながらダベっていたが、連れだってクラブに行ったりはしなかった。
そうして二ヶ月くらいたった頃だろうか、まり子から「なんかダニエルから連絡とってくれって言われたんだけど。」と電話がかかってきた。
「なんで?」と聞くと
「来週LAに行くからその前に会いたいって。」と言われた。
六本木で酔っ払ったダニエルにばったり会い「今すぐあいつに電話しろ!」と、うるさかったらしい。「今は夜中だから、明日。」と、どうにかなだめたとのことだった。
「寝たんだね。」
「・・・まあ」
「ダニエルに、まり子はあいつの裸を見たことあるか、って聞かれたよ。」
「はあ?」
「ほぼ裸なら見たことあるって言ったらさ、」
「・・・」
「すっげー綺麗なんだよ。って感動してた。」
口が軽い方だったか。
まり子だからまだ許せるが。
あんだけ男前で優しいのに、つくづく残念な男だ。
「六本木の○○ホテルで待ってる、って。どうする?」
「・・・行かない」
「えー、いいのー?」
「うん」
「そうかー・・・じゃあ、まあ、なんとか慰めとくよー。」
「ごめん。よろしく頼む」
「はいはーい。」
俺は電話を切った。
彼はクソビッチだが、飄々としていてかっこいいと、こうなる前は思っていた。
今は・・・なんだか笑いがこみ上げてきた。
自信をなくしヤケになってる俺に優しくしてくれた。おかげで最近は楽しい大学生活が送れている。
感謝はしているが、ダニエルと真面目に付き合うやつはいないと思う。
あの時、彼が恋の相手を探してたのか、セックスの相手を探してたのか、やっぱり俺にはよくわからない。
きっと向こうも俺がどんなつもりだったのか、よくわからないだろう。
もう少しちゃんと会話していたら、なにかが始まっていただろうか?
でも、あの高円寺の部屋を思い出すと、イヤイヤないだろうと。
いろいろダメだけど、優しくて、なんだか不思議と憎めない男だった。
心のなかでさよならを言って、この先の彼の幸運を願った。
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