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初体験について
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機嫌を損ねたのか、たまたまか、翌週彼女は来なかった。
ギリギリまで待ったが、結局終電はあきらめて、夜中もやっている本屋に行く。海外の流行雑誌、最新の翻訳本が並ぶそこは、良い暇つぶしになり、深夜でもまあまあ人がいる。
また今からガードレールに戻ったら、彼女がいるんじゃないか。連絡先もわからない、くるくる髪の女の子。
一瞬迷ったが、その日は渋谷まで歩いてタクシーで帰った。
その次の週、彼女はやってきた。
「久しぶり」と声をかけると、
「うん、あの、先週は忙しかったの。」と申し訳なさそうにする。
「会いたかった?」と聞くので、
「会いたかったよ」と返事すると彼女は嬉しそうにした。
そして、三日後の昼間に会う約束をした。
代々木公園に行くと彼女はそこでも店をだしていた。「今日は二時までなんだ。」と言い、後からやってきた二人組に仕事の説明をして交替する。そのあと、そのまま彼女とガビーが住む家に連れていかれた。
狭くて、物が最小限しかない部屋。大きなカバンが二つ、お互いの陣地を主張するように離れて置かれている。
ガビーが疲れたように床に座りこみ、ビールを飲みながらテレビをつけた。
「映画を観ようよ。すごくすごく好きな映画なの。気に入ってくれると嬉しい。」
それはモノクロ映画で、刑務所で出会った男三人が脱獄し旅をするという話だった。
鬱屈していた刑務所の囚人たちが叫びはじめ大合唱する。
『I scream! You scream! We scream!
for ice cream!』
ガビーが画面に向かって一緒になって叫ぶ。
『I scream! You scream! We scream!
for ice cream!』
彼女もいさましく叫びはじめた。
『I scream! You scream! We scream!
for ice cream!』
「立って!」と立ち上がらせられ、俺たち三人は狭い部屋をぐるぐる行進しながら『I scream! You scream! We scream!
for ice cream!』と笑いながら合唱した。
映画が終わると、ガビーの友人が迎えにやってきて、彼は出かけていった。
夕暮れの二人きりの部屋。自然と彼女と手をつなぎキスをした。くるくる髪をいじり耳をひっぱって笑う。
じっと目をみてこちらの様子を伺う彼女は、とてもきれいだ。
俺のメガネを外し、口元をみて下唇を軽く噛んできた。
ソファに仰向けになって、彼女の背に腕をまわしながら、くちづけに応える。
「俺、したことないんだ」
彼女が驚いた顔をする。
「うそでしょ?」
「ほんと」
もう一度、驚いた顔をする。
「だからコンドームも持ってないし」
「あ、あるよ。大丈夫。」
どこからか彼女が箱を持ってきた。
二人ともシャツとジーンズを脱ぎ、ソファに横たわる。彼女はノーブラだった。
恐る恐る彼女の胸に手のひらを置く。くちびるにキスをしながら、やわらかな胸をなでると、硬くなってきた乳首のころころが手のひらに当たる。人さし指と中指で挟んでゆっくり擦ってみた。
「もっと強くしていいよ。」
彼女がやさしく笑う。胸に口づけたらあやすように髪をわしわしされた。
むすくれた顔で彼女を見上げると、笑顔で顔を引き寄せられてまたキスをする。
彼女の手が下着ごしに硬くなった俺のモノを包んだ。ゆっくり上下に撫でられて、気持ちが上ずる。
俺も彼女の下着の上から触ってみた。以前こっそり裏本で見たグロテスクなそれを思い出す。それがかえって興奮を増した。『美とは時にグロテスクなもの』とは誰の言葉だったか。
長いことお互いを触りあっていたと思う。舌を絡めるキスも。
二人とも下着が濡れてしまって、笑いながら脱がせあいっこをした。
これで大丈夫かと彼女に確認しつつコンドームを着ける。
彼女のアソコを触ってみるとびちょっとしていた。指でひだをかき分けてぬるぬる撫でてみる。突起に当たると、彼女は小さく声を出してため息をついた。
挿入は彼女にまかせた。俺はおっかなびっくりで、かなり情けなかったと思う。
すっかり入ってしまうと、彼女は笑顔で「おめでとう」と言ってくれた。
ギリギリまで待ったが、結局終電はあきらめて、夜中もやっている本屋に行く。海外の流行雑誌、最新の翻訳本が並ぶそこは、良い暇つぶしになり、深夜でもまあまあ人がいる。
また今からガードレールに戻ったら、彼女がいるんじゃないか。連絡先もわからない、くるくる髪の女の子。
一瞬迷ったが、その日は渋谷まで歩いてタクシーで帰った。
その次の週、彼女はやってきた。
「久しぶり」と声をかけると、
「うん、あの、先週は忙しかったの。」と申し訳なさそうにする。
「会いたかった?」と聞くので、
「会いたかったよ」と返事すると彼女は嬉しそうにした。
そして、三日後の昼間に会う約束をした。
代々木公園に行くと彼女はそこでも店をだしていた。「今日は二時までなんだ。」と言い、後からやってきた二人組に仕事の説明をして交替する。そのあと、そのまま彼女とガビーが住む家に連れていかれた。
狭くて、物が最小限しかない部屋。大きなカバンが二つ、お互いの陣地を主張するように離れて置かれている。
ガビーが疲れたように床に座りこみ、ビールを飲みながらテレビをつけた。
「映画を観ようよ。すごくすごく好きな映画なの。気に入ってくれると嬉しい。」
それはモノクロ映画で、刑務所で出会った男三人が脱獄し旅をするという話だった。
鬱屈していた刑務所の囚人たちが叫びはじめ大合唱する。
『I scream! You scream! We scream!
for ice cream!』
ガビーが画面に向かって一緒になって叫ぶ。
『I scream! You scream! We scream!
for ice cream!』
彼女もいさましく叫びはじめた。
『I scream! You scream! We scream!
for ice cream!』
「立って!」と立ち上がらせられ、俺たち三人は狭い部屋をぐるぐる行進しながら『I scream! You scream! We scream!
for ice cream!』と笑いながら合唱した。
映画が終わると、ガビーの友人が迎えにやってきて、彼は出かけていった。
夕暮れの二人きりの部屋。自然と彼女と手をつなぎキスをした。くるくる髪をいじり耳をひっぱって笑う。
じっと目をみてこちらの様子を伺う彼女は、とてもきれいだ。
俺のメガネを外し、口元をみて下唇を軽く噛んできた。
ソファに仰向けになって、彼女の背に腕をまわしながら、くちづけに応える。
「俺、したことないんだ」
彼女が驚いた顔をする。
「うそでしょ?」
「ほんと」
もう一度、驚いた顔をする。
「だからコンドームも持ってないし」
「あ、あるよ。大丈夫。」
どこからか彼女が箱を持ってきた。
二人ともシャツとジーンズを脱ぎ、ソファに横たわる。彼女はノーブラだった。
恐る恐る彼女の胸に手のひらを置く。くちびるにキスをしながら、やわらかな胸をなでると、硬くなってきた乳首のころころが手のひらに当たる。人さし指と中指で挟んでゆっくり擦ってみた。
「もっと強くしていいよ。」
彼女がやさしく笑う。胸に口づけたらあやすように髪をわしわしされた。
むすくれた顔で彼女を見上げると、笑顔で顔を引き寄せられてまたキスをする。
彼女の手が下着ごしに硬くなった俺のモノを包んだ。ゆっくり上下に撫でられて、気持ちが上ずる。
俺も彼女の下着の上から触ってみた。以前こっそり裏本で見たグロテスクなそれを思い出す。それがかえって興奮を増した。『美とは時にグロテスクなもの』とは誰の言葉だったか。
長いことお互いを触りあっていたと思う。舌を絡めるキスも。
二人とも下着が濡れてしまって、笑いながら脱がせあいっこをした。
これで大丈夫かと彼女に確認しつつコンドームを着ける。
彼女のアソコを触ってみるとびちょっとしていた。指でひだをかき分けてぬるぬる撫でてみる。突起に当たると、彼女は小さく声を出してため息をついた。
挿入は彼女にまかせた。俺はおっかなびっくりで、かなり情けなかったと思う。
すっかり入ってしまうと、彼女は笑顔で「おめでとう」と言ってくれた。
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