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パピコの物語 家族会議
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みんなで食事をしながら、家族会議がはじまった。
「俺も『デブハゲ汚い』って言われたことあるけどな。」
「アタシも『魔女が毒を持ってきたか』って言われたよ。」
もともとダビのお婆さんは誰にでも毒を吐く。
「まあ、私も子供のころは毎日みんなに『お化け』って言われてたし?」
「アタシも『うるせえクソババア!』って言い返してるけど。」
「こりゃ会議じゃねえな。悪口大会?」
ポコッスがそう言いながら、ピコタンの皿にキッシュを追加する。
「あの婆さんさ、ダビがいる時は寝たふりするのよ。いなくなるとギャーギャーうるさくなんの。」
おばさんが言うと、モグモグしながらピコタンが『そうなの?』と目を見ひらく。
「ダビが殴るかと思ったよ。」
おじさんが神妙に言った。おばさんが心配そうにパピコを見ると、
「・・・恐かったけど、ちょっと嬉しかった・・・」
と、パピコがもじもじ頬を染める。
隣でピコタンがニコニコしてる。
「やっぱ、惚れてんじゃね?」
ポコッスの言葉に、おじさんがジャガイモ炒めを吹き出し、おばさんが息を吞む。
・・・どっちが?
「私なんか・・・」
「いやいや、そう言うのいいから。」
『そんなことないよ!』みたいな女の会話は面倒くさいポコッス。
おばさんは、いつも無表情なダビがパピコに話しかけられる度に、嬉しいような困ったような様子でいることに気づいてた。ただ、それが女性として見てるかはわからない。
正直あんな獣みたいだったのに、家をきれいにしていることに驚いた。簡単な料理もし、お婆さんの面倒もよく見ていると思う。なにより意外だったのは、たくさんの本。神学書、植物学、開拓史、冒険譚、詩や短編小説、童話、料理本、家庭の医学書・・・。
よく読んでいるのは童話や聖書のようだった。
「童話ってさ、悪い奴がとっちめられるじゃない?それを子供に教えさとす、って。」
「かあさん、話飛ぶなあ。」
でもパピコは、おばさんの言いたいことが、なんとなくわかった。
パピコも童話が気になっていたから。
ダビの頭のなか。ダビは言っていた。
『醜いのはお前だ』
たまたまなのか、子供のころ、おじさんとおばさんがいじめっ子によく言ってくれた言葉。
「俺も『デブハゲ汚い』って言われたことあるけどな。」
「アタシも『魔女が毒を持ってきたか』って言われたよ。」
もともとダビのお婆さんは誰にでも毒を吐く。
「まあ、私も子供のころは毎日みんなに『お化け』って言われてたし?」
「アタシも『うるせえクソババア!』って言い返してるけど。」
「こりゃ会議じゃねえな。悪口大会?」
ポコッスがそう言いながら、ピコタンの皿にキッシュを追加する。
「あの婆さんさ、ダビがいる時は寝たふりするのよ。いなくなるとギャーギャーうるさくなんの。」
おばさんが言うと、モグモグしながらピコタンが『そうなの?』と目を見ひらく。
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おじさんが神妙に言った。おばさんが心配そうにパピコを見ると、
「・・・恐かったけど、ちょっと嬉しかった・・・」
と、パピコがもじもじ頬を染める。
隣でピコタンがニコニコしてる。
「やっぱ、惚れてんじゃね?」
ポコッスの言葉に、おじさんがジャガイモ炒めを吹き出し、おばさんが息を吞む。
・・・どっちが?
「私なんか・・・」
「いやいや、そう言うのいいから。」
『そんなことないよ!』みたいな女の会話は面倒くさいポコッス。
おばさんは、いつも無表情なダビがパピコに話しかけられる度に、嬉しいような困ったような様子でいることに気づいてた。ただ、それが女性として見てるかはわからない。
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