神子のピコタン

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パピコの物語 2

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いつもパピコをからかって意地悪をする二人組。
どうして、こんなところで会うんだろうと嫌な空気を感じとった。

おばさんが足を痛めて、ここ最近は一人で産みたての玉子を卸しに宿場町へ行っていた。その帰り道。
まだ男たちは仕事に出払っている時間のはずなのに。

ニヤニヤと笑いながら近寄ってくるから、踵を返して走って逃げた。

「あははっ」
楽しげな声。
あっという間に追いつかれ、羽交い締めにされて、林の中に連れこまれる。
パピコは恐ろしくて声も出ない。
シャツの襟元からステイズのすき間に手を突っ込まれ、乳房を痛いくらい揉まれてから、やっと「・・・イヤ・・・やだっ・・・」と小さな拒絶の声が呻くようにもれ出た。

太股をまさぐられ、ズロースを引っぱり降ろされる。尻があらわになり、パピコは涙がこぼれた。
まるで家畜にするように、パンッと大きな音を立てて尻を叩かれる。
「ふっ、あははっ」
「くっくっ、あは」
二人は愉快そうに笑う。

「手型がついた」
「本当だ」

パピコが懸命に腕をふりまわし、身をよじって逃げようとすると、今度は頬を力いっぱいバシッと叩かれた。

「あははっ」
「手型ついたか?」
「アザでわかんねえ」

足を大きく開かされ、「ヒッ」と小さく悲鳴をあげた。この恐怖が早く早く終わってほしいと、それだけを思ってガクガクと震えながら泣いた。


ふと、遠くから、ザックザックと足音が聞こえる。
もしかしたら、おばさんが迎えにきたのかもしれない・・・
勇気を振り絞ってパピコは大声を出した。
「たすけてっ!」


そこには隣人の男が、斧を持って立っていた。

背は低いが筋肉質でガッチリとした体格、髪はいつもベッタリと汚れ、ヒゲもじゃで、目はギョロギョロしている。村人にドワーフとかトロルとか呼ばれている男だった。

男が手にしている斧を見て、二人組は顔を青ざめた。

家畜を荒らすオオカミを何匹もその斧で屠ったことは、村中の人間が知っている。
返り血を浴びたその姿が狂人のようであることも。
男と共に駆除に出た者が、オオカミに食い殺されたと言っていたが、本当はこの男が殺したのではないかとも、噂されていた。

二人組は脱兎のごとく逃げだした。
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