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潮来帰り、日本橋で吹っ掛けられる(四十二話)
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今は、江戸に向かう船ん中である。
潮来からは、一路、江戸へと、ええ思い出と共に帰ろっと。女衆の面が浮かぶのう。常陸の桃源郷で、江戸ん垢落とし出来たわいのう。渡し舟の女、土娘、みちのく娘、流れ女、ぼた餅娘、あやめ姉、みんな観音様やったわ。では今度は、潮来の垢落としをやんねばなんねえて……
ああ、着いたわな。江戸からの旅は日本橋から始まり、ここに戻る。あれれ、橋ん上で、芸者気取りが媚振って、男を誘っとるやないけ。山奥から出て来たばかりの田舎もんを、狙っとるんやろな。カモを、手ぐすね引いて待ち構えてとるって感じやんけ。よしゃ、オラが気取り女のカモになったろうやん。
オラ 「おまん、揚げ代はなんぼやで?」
気取り女「おや、あんた、山奥から今日、出て来たんかえ?」
オラ 「いや、去年から江戸暮らしで、さっき潮来から戻って来たんや」
気取り女「そうかい、見たところ銭は無さそうだし、女にも縁はねえな。そんで、潮来やらで、まとめ打ちやって来たっちゅうことやね。ほんに、まあ、もてん男はこいかいな」
オラ 「いやいや、こいは女修行の旅じゃて。江戸で打っとるだけでのうて」
気取り女「女ん味、しゃぶり出したばかりなんやろ。江戸の女ん味、教えたろかい?」
オラ 「オラは吉原とかで、女衆に刀を研いでもらっとるんや。女ん味の違い、ぼちぼちとわかりかけているんやで」
気取り女「わかったわな。あんた可愛いから、まけとくで、こいでどうや?」
オラ 「そいじゃ、高すぎるやろ。吉原の倍じゃねえかや。女が二人、買えるやんけ。アホ臭か」
気取り女「ここは、お江戸日本橋やで、何んもかも高いんやで。あんたなあ、ええかい、アテが二人分の味、出したるわいな。一人分で、二人を抱くんやで。アテが違う女ん味、しゃぶらせてやっから。もしの、二人分の味出せんかったら、銭は半分返す、そんでどうや?」
オラ 「そやの、二人分味わえれば、そんで、とんとんやな。でなかったら、銭返してんか」
気取り女「ほな、決まりや。あん町屋がアテの寝ぐらや、来てんか」
なんか、ええカモにされたんやろが、二人分の味なんか、出せんかいや。
違う女を、一人の女が出すとすると、こっちは、元が取れるてっこつやな。おもしろいやんけ、あん女の体に証立ててもらおうやんけ。
気取り女「あんた、最初は小娘ん味、そんで盛り女ん味で行くで。だけん、そいを比べるんやけん、少のうても四発はええな。小娘で打って、こんだ盛り女で打つ。そん繰り返しや。さあ、アテの体ん変わりよう、楽しみなはれ」
オラ 「ああ、小娘、盛り女、小娘、盛り女やな……」
さすがは、お江戸日本橋、粋な女が待ち構えていたのう。
オラは何度も、味比べしてもうた。元は取れたわ。一人の女で、二人分の味を堪能出来たわい。
潮来の垢落としを、さっそくしてもうた。江戸に帰って来たわ。
潮来からは、一路、江戸へと、ええ思い出と共に帰ろっと。女衆の面が浮かぶのう。常陸の桃源郷で、江戸ん垢落とし出来たわいのう。渡し舟の女、土娘、みちのく娘、流れ女、ぼた餅娘、あやめ姉、みんな観音様やったわ。では今度は、潮来の垢落としをやんねばなんねえて……
ああ、着いたわな。江戸からの旅は日本橋から始まり、ここに戻る。あれれ、橋ん上で、芸者気取りが媚振って、男を誘っとるやないけ。山奥から出て来たばかりの田舎もんを、狙っとるんやろな。カモを、手ぐすね引いて待ち構えてとるって感じやんけ。よしゃ、オラが気取り女のカモになったろうやん。
オラ 「おまん、揚げ代はなんぼやで?」
気取り女「おや、あんた、山奥から今日、出て来たんかえ?」
オラ 「いや、去年から江戸暮らしで、さっき潮来から戻って来たんや」
気取り女「そうかい、見たところ銭は無さそうだし、女にも縁はねえな。そんで、潮来やらで、まとめ打ちやって来たっちゅうことやね。ほんに、まあ、もてん男はこいかいな」
オラ 「いやいや、こいは女修行の旅じゃて。江戸で打っとるだけでのうて」
気取り女「女ん味、しゃぶり出したばかりなんやろ。江戸の女ん味、教えたろかい?」
オラ 「オラは吉原とかで、女衆に刀を研いでもらっとるんや。女ん味の違い、ぼちぼちとわかりかけているんやで」
気取り女「わかったわな。あんた可愛いから、まけとくで、こいでどうや?」
オラ 「そいじゃ、高すぎるやろ。吉原の倍じゃねえかや。女が二人、買えるやんけ。アホ臭か」
気取り女「ここは、お江戸日本橋やで、何んもかも高いんやで。あんたなあ、ええかい、アテが二人分の味、出したるわいな。一人分で、二人を抱くんやで。アテが違う女ん味、しゃぶらせてやっから。もしの、二人分の味出せんかったら、銭は半分返す、そんでどうや?」
オラ 「そやの、二人分味わえれば、そんで、とんとんやな。でなかったら、銭返してんか」
気取り女「ほな、決まりや。あん町屋がアテの寝ぐらや、来てんか」
なんか、ええカモにされたんやろが、二人分の味なんか、出せんかいや。
違う女を、一人の女が出すとすると、こっちは、元が取れるてっこつやな。おもしろいやんけ、あん女の体に証立ててもらおうやんけ。
気取り女「あんた、最初は小娘ん味、そんで盛り女ん味で行くで。だけん、そいを比べるんやけん、少のうても四発はええな。小娘で打って、こんだ盛り女で打つ。そん繰り返しや。さあ、アテの体ん変わりよう、楽しみなはれ」
オラ 「ああ、小娘、盛り女、小娘、盛り女やな……」
さすがは、お江戸日本橋、粋な女が待ち構えていたのう。
オラは何度も、味比べしてもうた。元は取れたわ。一人の女で、二人分の味を堪能出来たわい。
潮来の垢落としを、さっそくしてもうた。江戸に帰って来たわ。
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