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女百人斬り祈願(四話)

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 こん前の秋晴れの日、神田明神で願を掛けてきたわ。オラは女に溺れる、そんな業があるんやろな。とりあえず、百人斬りじゃ。 
 あの日、願掛けした後、横丁のだんご屋に入ったんや……

 オラ 「アネサ、あんこを三つ、たのむて」
 アネサ「おめさん、さっきから、にやにやしてんけど、何かあったんかえ?」
 オラ 「ああ、さっき神田明神で、ええ願掛けしてきたんらて。オラは欲が深くの、困っとるんだて」
 アネサ「何のことや?」
 オラ 「あっちのこつだて。二六時中、女とのあれだいね。実はのう、女百人斬りの願を掛けたんじゃ」
 アネサ「そうかいのう。ほんで今は、何人で?」
 オラ 「恥ずかしながら、まだ、三人ぽっきり」
 アネサ「ほな、うちが四人目になってあげたるわ。こん店は、だんごだけ、売っとるんじゃないで。うちのこと、よかったら味わうてええよ」
 オラ 「ほっか、そいもやってんのけ。オラは十九だども、アネサはいくつだて?」
 アネサ「うちは十八、こん店で前の秋から働いちょる。男はんは、もう百人から先、しっちょるよって。おめさんは、まだ三人け、ぷぷっ」
 オラ 「なにっ、一年で百人喰ったっけ、そらすげえのう。オラも、たのむて」
 アネサ「はいよ、奥の部屋で、ええことしような、うちで四人目やね」
 オラ 「遠慮しねすけの、えかや」
 アネサ「うちは今、さかりじゃ。さかり猫に遠慮すんなって」
 オラ 「そいじゃ、とどめ、さしたるわいな……」



 こん女は、体が小さかったんで、つぶれやしねえかと思った。
 そいどころか、十七から男にしこまれとる、すげかったのう。 
 オラはこいで四人目じゃ、先は長いのう。アネサ、後につくすけな。
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