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奮闘
提案
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「えと、エルゲ……神官長様は、聖女様のことがお好きですわよね?」
自分が気づいたのだから、ほとんどの時を神殿で過ごし、2人の様子を見ているカーティスならなおさらそのように考えるのではないか。そう考えていたセレーネは、なんだか拍子抜けした。目の前の老人は心当たりがないかのように首を傾げるばかりだからだ。
「まあ……お嬢さんから見てそう思うのなら、そうなんじゃろうなあ」
たっぷりとした髭を撫でながら、カーティスは穏やかに笑った。
「それで、お2人がどうかしたのかね?」
「……いえ、その……」
エルゲンとレーヌが幸せになる方法は何か。率直に問いかけようとして、やめた。
あまり率直に聞きすぎると、なぜそんなことを聞くのか疑問に思われて、答えてくれないかもしれない。
セレーナは考えに考え抜いて、それから口を開いた。
「神殿の中はまだ、落ち着かないのでしょうか」
まずは、差し障りのないことを問いかけてみる。すると、カーティスは「そうじゃなあ」とうんうん頷いた。
「それはもうお忙しいご様子じゃよ。それこそ神官長様と聖女様は、子ども達の面倒を見ながら、それぞれの役割を負っておられるようじゃし、聖女様はまだその役割がどういったものであるのか、学んでおられる途中じゃてな……」
とすると、時間さえあれば2人は、ほんの少しゆっくりとした時間を過ごせるということか。2人で過ごす時間が増えれば、エルゲンもレーヌへの恋心を自覚できる?
自覚したところで、セレーネが離婚を切り出せば、エルゲンは心置きなく幸せになれるのでは?
ズキリと、心の軋む音がした。が、セレーネは勢いよく首を振る。
(だめよ、だめよ。もう決めたもの。2人に幸せになってもらおうって決めたもの)
言い聞かせて、セレーネはまっすぐにカーティスを見つめた。
「おふたりが、ゆっくり過ごせるようになったらいいと思うだけど、どうしたらよろしいかしら。何か、私にお手伝い出来ることはありまして?」
「なんと。お嬢さんはお優しい人だのお」
カーティスは微笑みながら、ほんの少し首を傾げてセレーネに提案した。
「子ども達のお世話をお手伝いして差し上げればいいのではあるまいか?」
セレーネはほんの少し思案した。2人の時間を増やすために、セレーネが教会に預けられた子ども達の面倒をみるのはいい。だが、そのために毎回、セレーネが孤児院に来たのでは、エルゲンとレーヌに気を遣わせることになってしまう。
(……そうだわ!)
子ども達の世話をする人間を雇うのだ。そうすれば、2人に気を遣わせる必要はない上に子供達に十分目が行き届くのではあるまいか。
(うん、我ながら名案よ)
拳を握りしめ、何かを決意した様子のセレーネに、カーティスはほんの少し首を傾げた。
「それで……お嬢さんが聞きたかったことというのは、これだけかね」
「ええ、はい」
セレーネが頷くと、カーティスはふくふくと幸せそうに笑って「それじゃあ、今度は子ども達のところに案内しよう」と、優しくセレーネの手をひいた。
自分が気づいたのだから、ほとんどの時を神殿で過ごし、2人の様子を見ているカーティスならなおさらそのように考えるのではないか。そう考えていたセレーネは、なんだか拍子抜けした。目の前の老人は心当たりがないかのように首を傾げるばかりだからだ。
「まあ……お嬢さんから見てそう思うのなら、そうなんじゃろうなあ」
たっぷりとした髭を撫でながら、カーティスは穏やかに笑った。
「それで、お2人がどうかしたのかね?」
「……いえ、その……」
エルゲンとレーヌが幸せになる方法は何か。率直に問いかけようとして、やめた。
あまり率直に聞きすぎると、なぜそんなことを聞くのか疑問に思われて、答えてくれないかもしれない。
セレーナは考えに考え抜いて、それから口を開いた。
「神殿の中はまだ、落ち着かないのでしょうか」
まずは、差し障りのないことを問いかけてみる。すると、カーティスは「そうじゃなあ」とうんうん頷いた。
「それはもうお忙しいご様子じゃよ。それこそ神官長様と聖女様は、子ども達の面倒を見ながら、それぞれの役割を負っておられるようじゃし、聖女様はまだその役割がどういったものであるのか、学んでおられる途中じゃてな……」
とすると、時間さえあれば2人は、ほんの少しゆっくりとした時間を過ごせるということか。2人で過ごす時間が増えれば、エルゲンもレーヌへの恋心を自覚できる?
自覚したところで、セレーネが離婚を切り出せば、エルゲンは心置きなく幸せになれるのでは?
ズキリと、心の軋む音がした。が、セレーネは勢いよく首を振る。
(だめよ、だめよ。もう決めたもの。2人に幸せになってもらおうって決めたもの)
言い聞かせて、セレーネはまっすぐにカーティスを見つめた。
「おふたりが、ゆっくり過ごせるようになったらいいと思うだけど、どうしたらよろしいかしら。何か、私にお手伝い出来ることはありまして?」
「なんと。お嬢さんはお優しい人だのお」
カーティスは微笑みながら、ほんの少し首を傾げてセレーネに提案した。
「子ども達のお世話をお手伝いして差し上げればいいのではあるまいか?」
セレーネはほんの少し思案した。2人の時間を増やすために、セレーネが教会に預けられた子ども達の面倒をみるのはいい。だが、そのために毎回、セレーネが孤児院に来たのでは、エルゲンとレーヌに気を遣わせることになってしまう。
(……そうだわ!)
子ども達の世話をする人間を雇うのだ。そうすれば、2人に気を遣わせる必要はない上に子供達に十分目が行き届くのではあるまいか。
(うん、我ながら名案よ)
拳を握りしめ、何かを決意した様子のセレーネに、カーティスはほんの少し首を傾げた。
「それで……お嬢さんが聞きたかったことというのは、これだけかね」
「ええ、はい」
セレーネが頷くと、カーティスはふくふくと幸せそうに笑って「それじゃあ、今度は子ども達のところに案内しよう」と、優しくセレーネの手をひいた。
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