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第一章 誰が為の新嫁娘(シンチャンニャン)

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「どうする?
御兄様死んじまうよ?」


「くっ…!
兄上、一時だけ、アノ者の条件を飲み帝になります!
お許しください!」


「交渉成立だね」



燐燗はそう言うと、紅い婚礼衣装をクルリと周り回りて煙管を吹かした。
すると狐の妖怪が現れ、黒紫桂に嚙みついた。

続いて煙管を吹かせる。
今度はバクが現れた。
バクが黒紫桂に向かうと、黒紫桂が叫んだ。
「邪魔をするな!」と



「どうして私を迎えてくれないの!
私はこんなにも貴方を愛しているのに!
そんなにソノ女が良いの⁈
皇子!!」

「何を…!」


「全部知ってるわ!
“アノ方”から聴いたから!
だから妖怪の力を貰って貴方を追いかけ続けたのに…!

貴方は私と言葉を交わしてもいつも誰かを…、“アノ女”を探してた!!

悔しい!悔しい!だから死んでやったわ!でも貴方は目もくれもしなかった!
今もコノ世に留まって貴方だけを想っているのに!

貴方の心はソノ女に向いてるのね!!」



燐燗は煙管を吹かせていた。
至極どうでも良さそうだった。
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