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魔王の娘 と 休戦締約と同盟条約
魔王の娘 と 休戦締約と同盟条約 17
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「レイラ」
「エディー!」
「美しいところね、ココが教会というところなのね。
神気も溢れていてとても気持ちが良いわ」
「ふふ、そうでしょ?
神気を感じられるから私もココがすごく居心地の良くて、いつもココで平和を祈っていますの」
「そう…。
じゃあ私も、未来の平和を一緒に祈らせてもらおうかしら」
「そうしましょう」
二人の祈りの方法は違った。
シスターレイラは静かに手を握り締めて祈り、エディーリンは二礼二拍手して手を合わせて祈り最後に一礼した。
二人共長い祈りだった。
願うことは同じ。
“人間と魔族が争わなくなる平和な未来が訪れること”。
二人の乙女は祈った。
切に祈った。
お互いの神々に向かって。
作法は違えど、望み願う未来は同じなのだ。
祈り終わって、シスターレイラがエディーリンを見て興味津々に言う。
「初めて見ましたわ、魔族の国の作法!」
「うーん?
魔族の国っていうより、元は極東国の作法が起源なの。
だから極東国式かなー?
極東国とは不思議と太古から争ったことなく、理解し合える部分も多いから、大山脈──ウウィーグツィ・ザハルフアを境に物流交換をしたりもしているの。
極東国の正式な作法は、二礼四拍手一礼というのだけれど」
「極東国、といえば…、サムライやニンジャやアヤカシ、というのが居る巫女が統治する、大陸──リ・テラの最も東の国ですわね」
「そう。
穏やかで良いところらしいわ。
大山脈──ウウィーグツィ・ザハルフアに住む、魔族と人間の混血種族──ウウィーグツィ族にも優しくて受け入れてくれるし、その点も私達魔族と共通しているわね。
人間だけれど、魔族と理解し合える。
ソレは太古の昔から。
不思議なモノよね。
西洋五大国や東国とは争いが絶えないのに、一番端に在る国とは一度も争ったことが無くて、交友関係を自然となんの契りも無く結べているのだから」
「素敵ですわね…」
「ええ、本当に素敵ね…。
コノ西洋五大国とも、そのように在りたいと、心から私達魔族は想っているわ」
「そうですわね。
ソノ為にも!
まずは私達二人から一緒に仲良くしていきましょう!
エディー!」
「ふふ、そうね、レイラ!」
二人の乙女は心から笑い合い、手を繋いで教会内の長椅子に腰かけた。
二人はいろんなことを話した。
エディーリンの今日一日のこと。
シスター科と普通科のこと。
西洋五大国のこと。
シスター科の生徒は皆魔族に対しても平和を望んでいること。
そして分かり合いたいと願っていること。
そしてソレはエンテイラー国だけでなく、西洋五大国の全ての神職科の生徒が想っていること。
勿論卒業して正式に神職者として働く神職者も同じであること。
そして魔族の国というところがどんなところか、人間という種族が住む国がどんなところか。
本当にいろんなことを話し合った。
ソノ全てに、二人の絶えない微笑みが在った。
「そういえば、エディーは人間の言語を何処で覚えられましたの?
魔族の国は発音も言葉も違うのでしょう?」
「人間から差別されている大山脈──ウウィーグツィ・ザハルフアに住むウウィーグツィ族の中には、魔族の国に流れてきて住む者、極東国に流れて住む者、そのまま大山脈──ウウィーグツィ・ザハルフアに隠れ住む者の三種類に分かれていて、
私は魔族の国に流れて来たウウィーグツィ族の、城で一緒に暮らしている仲の良いウウィーグツィ族に教えてもらったわ。
エリンというのよ。
イタズラ好きでよく魔族の王である御父様にすらイタズラをしかけるの。
私が生まれる頃にはもう居たんじゃないかしら?
ずっと仲良くしてもらったわ」
「そうなのですね!
王様にもイタズラをしかけてしまうなんて、とても楽しい方ですわね!」
「そうなの!
エリンが居ると、本当に毎日飽きることも無く楽しいことばかりだわ!
きっと今頃も、御父様にイタズラしているでしょうね!」
「まぁ!」
「「うっふふふ」」
二人の種族の異なる乙女が心を通わし笑い合う。
「エディー!」
「美しいところね、ココが教会というところなのね。
神気も溢れていてとても気持ちが良いわ」
「ふふ、そうでしょ?
神気を感じられるから私もココがすごく居心地の良くて、いつもココで平和を祈っていますの」
「そう…。
じゃあ私も、未来の平和を一緒に祈らせてもらおうかしら」
「そうしましょう」
二人の祈りの方法は違った。
シスターレイラは静かに手を握り締めて祈り、エディーリンは二礼二拍手して手を合わせて祈り最後に一礼した。
二人共長い祈りだった。
願うことは同じ。
“人間と魔族が争わなくなる平和な未来が訪れること”。
二人の乙女は祈った。
切に祈った。
お互いの神々に向かって。
作法は違えど、望み願う未来は同じなのだ。
祈り終わって、シスターレイラがエディーリンを見て興味津々に言う。
「初めて見ましたわ、魔族の国の作法!」
「うーん?
魔族の国っていうより、元は極東国の作法が起源なの。
だから極東国式かなー?
極東国とは不思議と太古から争ったことなく、理解し合える部分も多いから、大山脈──ウウィーグツィ・ザハルフアを境に物流交換をしたりもしているの。
極東国の正式な作法は、二礼四拍手一礼というのだけれど」
「極東国、といえば…、サムライやニンジャやアヤカシ、というのが居る巫女が統治する、大陸──リ・テラの最も東の国ですわね」
「そう。
穏やかで良いところらしいわ。
大山脈──ウウィーグツィ・ザハルフアに住む、魔族と人間の混血種族──ウウィーグツィ族にも優しくて受け入れてくれるし、その点も私達魔族と共通しているわね。
人間だけれど、魔族と理解し合える。
ソレは太古の昔から。
不思議なモノよね。
西洋五大国や東国とは争いが絶えないのに、一番端に在る国とは一度も争ったことが無くて、交友関係を自然となんの契りも無く結べているのだから」
「素敵ですわね…」
「ええ、本当に素敵ね…。
コノ西洋五大国とも、そのように在りたいと、心から私達魔族は想っているわ」
「そうですわね。
ソノ為にも!
まずは私達二人から一緒に仲良くしていきましょう!
エディー!」
「ふふ、そうね、レイラ!」
二人の乙女は心から笑い合い、手を繋いで教会内の長椅子に腰かけた。
二人はいろんなことを話した。
エディーリンの今日一日のこと。
シスター科と普通科のこと。
西洋五大国のこと。
シスター科の生徒は皆魔族に対しても平和を望んでいること。
そして分かり合いたいと願っていること。
そしてソレはエンテイラー国だけでなく、西洋五大国の全ての神職科の生徒が想っていること。
勿論卒業して正式に神職者として働く神職者も同じであること。
そして魔族の国というところがどんなところか、人間という種族が住む国がどんなところか。
本当にいろんなことを話し合った。
ソノ全てに、二人の絶えない微笑みが在った。
「そういえば、エディーは人間の言語を何処で覚えられましたの?
魔族の国は発音も言葉も違うのでしょう?」
「人間から差別されている大山脈──ウウィーグツィ・ザハルフアに住むウウィーグツィ族の中には、魔族の国に流れてきて住む者、極東国に流れて住む者、そのまま大山脈──ウウィーグツィ・ザハルフアに隠れ住む者の三種類に分かれていて、
私は魔族の国に流れて来たウウィーグツィ族の、城で一緒に暮らしている仲の良いウウィーグツィ族に教えてもらったわ。
エリンというのよ。
イタズラ好きでよく魔族の王である御父様にすらイタズラをしかけるの。
私が生まれる頃にはもう居たんじゃないかしら?
ずっと仲良くしてもらったわ」
「そうなのですね!
王様にもイタズラをしかけてしまうなんて、とても楽しい方ですわね!」
「そうなの!
エリンが居ると、本当に毎日飽きることも無く楽しいことばかりだわ!
きっと今頃も、御父様にイタズラしているでしょうね!」
「まぁ!」
「「うっふふふ」」
二人の種族の異なる乙女が心を通わし笑い合う。
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