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魔王の娘 と 休戦締約と同盟条約
魔王の娘 と 休戦締約と同盟条約 13
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授業が進められる。
書かれる文字は一通り魔族の国で学んできたが、単語に関しては未だ難しいところがあり、都度ディプスクロスに聴いた。
ディプスクロスはソレを訳し、エディーリンはノートに纏め、現在の授業は魔法を武器に宿すという、…いわば基本中の基礎の勉強であることを把握した。
魔族の国では自然にやっていることを、コノ国ではまだ習得していないということだろうか?
エディーリンは一文字一句逃さず書き記した。
どんな授業であれ、人間を侮辱したりしない。
学べることは学びたい。
ソレが既に自分が知っていることだとしても。
復習にもなるし、ソレに楽しいのだ。
学ぶこと自体が。
ある程度時間が経った頃、音楽が学園内に流れた。
ソレを聴いた先生と生徒が手を止めて「講義はここまで!休み時間の次は実技授業だ!各自演習場に遅れないように!」と先生が言い、生徒達は立ち上がり各々の時間を過ごしていた。
「ねぇソコの貴女」
「ひっ!きゃあ! 話しかけられたわ!」
「話しかけないでよ魔族!!
穢れてしまうわ!!」
「はぁ…、ねぇソコの貴方…」
「おい、逃げろ!」
「兵士達様の後ろに隠れろ!」
「はぁ……、ちょっと誰か!
休み時間とはどのくらいの時間で、演習場って何処!」
エディーリンが仕方なく大声で部屋中に響くように問うた。
すると生徒達は「魔族が叫んだぞ」と各自各々まためんどくさ言葉のやりとりが始まった。
聴くだけ無駄のようだった。
さて…、どうしたものか。
とりあえずじっとしていても仕方ないし、と想いながらエディーリンは教室から出ると、右左を見た。
休み時間だからだろう。
何処も生徒で溢れていた。
しかし誰もが、エディーリンを見て、怯えた様子で走り去って行った。
廊下は誰一人として、居なくなってしまった。
教室では、取り残された生徒が怯えているようだった。
しかし彼らに何を聴いても、……きっと無駄なことなのだろう。
嗚呼、これでは情報も集めれやしない。
ていうか、魔族に怯えるくらいなら侮辱やめたら?なんて想ってしまう。
もう大して気にしてないけれど。
さて…、どうしたものか。
そんなことを想いながら適当に歩いていると、階段の角で人とぶつかってしまった。
「ごめんなさい」
「ごめんなさい」
謝ったのは同時だった。
ソノ声は少女のモノだった。
少女が階段からエディーリンの前に立つ。
すると「まぁ」と声を挙げて口元を手で覆った。
──…………?
嫌味も侮辱も飛んでこない?
少女はエディーリンを見つめたまま固まっていた。
よく見れば少女は服装が、他の生徒と制服が違っていた。
緑を基調としたのは変わらないが、色は薄めの緑で白い生地が多くマントのようになっている。
マントの中は上品な濃さの緑色のスカートで、頭には薄緑色の被り物をしていた。
明らかに他の生徒と違うソノ少女は、白い肌に黄色い長い髪、澄んだ蒼い瞳をした少女だった。
──コノ子…、神気を感じる…
「あの!」
「あの!」
また声が被ってしまった。
「失礼、ソチラからどうぞ」
エディーリンが柔らかく言うと、少女は笑んで膝を少し折り感謝の礼をして、口を開いた。
書かれる文字は一通り魔族の国で学んできたが、単語に関しては未だ難しいところがあり、都度ディプスクロスに聴いた。
ディプスクロスはソレを訳し、エディーリンはノートに纏め、現在の授業は魔法を武器に宿すという、…いわば基本中の基礎の勉強であることを把握した。
魔族の国では自然にやっていることを、コノ国ではまだ習得していないということだろうか?
エディーリンは一文字一句逃さず書き記した。
どんな授業であれ、人間を侮辱したりしない。
学べることは学びたい。
ソレが既に自分が知っていることだとしても。
復習にもなるし、ソレに楽しいのだ。
学ぶこと自体が。
ある程度時間が経った頃、音楽が学園内に流れた。
ソレを聴いた先生と生徒が手を止めて「講義はここまで!休み時間の次は実技授業だ!各自演習場に遅れないように!」と先生が言い、生徒達は立ち上がり各々の時間を過ごしていた。
「ねぇソコの貴女」
「ひっ!きゃあ! 話しかけられたわ!」
「話しかけないでよ魔族!!
穢れてしまうわ!!」
「はぁ…、ねぇソコの貴方…」
「おい、逃げろ!」
「兵士達様の後ろに隠れろ!」
「はぁ……、ちょっと誰か!
休み時間とはどのくらいの時間で、演習場って何処!」
エディーリンが仕方なく大声で部屋中に響くように問うた。
すると生徒達は「魔族が叫んだぞ」と各自各々まためんどくさ言葉のやりとりが始まった。
聴くだけ無駄のようだった。
さて…、どうしたものか。
とりあえずじっとしていても仕方ないし、と想いながらエディーリンは教室から出ると、右左を見た。
休み時間だからだろう。
何処も生徒で溢れていた。
しかし誰もが、エディーリンを見て、怯えた様子で走り去って行った。
廊下は誰一人として、居なくなってしまった。
教室では、取り残された生徒が怯えているようだった。
しかし彼らに何を聴いても、……きっと無駄なことなのだろう。
嗚呼、これでは情報も集めれやしない。
ていうか、魔族に怯えるくらいなら侮辱やめたら?なんて想ってしまう。
もう大して気にしてないけれど。
さて…、どうしたものか。
そんなことを想いながら適当に歩いていると、階段の角で人とぶつかってしまった。
「ごめんなさい」
「ごめんなさい」
謝ったのは同時だった。
ソノ声は少女のモノだった。
少女が階段からエディーリンの前に立つ。
すると「まぁ」と声を挙げて口元を手で覆った。
──…………?
嫌味も侮辱も飛んでこない?
少女はエディーリンを見つめたまま固まっていた。
よく見れば少女は服装が、他の生徒と制服が違っていた。
緑を基調としたのは変わらないが、色は薄めの緑で白い生地が多くマントのようになっている。
マントの中は上品な濃さの緑色のスカートで、頭には薄緑色の被り物をしていた。
明らかに他の生徒と違うソノ少女は、白い肌に黄色い長い髪、澄んだ蒼い瞳をした少女だった。
──コノ子…、神気を感じる…
「あの!」
「あの!」
また声が被ってしまった。
「失礼、ソチラからどうぞ」
エディーリンが柔らかく言うと、少女は笑んで膝を少し折り感謝の礼をして、口を開いた。
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