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助けを呼ぶ声
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昼飯を食べているとインターホンがなった。
荷物の配達をお願いしていた記憶はなかったので、ちょっと不審な気持ちでモニターを見に行くと、誰も立っていなかった。
私は首を傾げながら、イタズラか何かかなと思い、部屋に戻ろうとした。しかし、その瞬間、再びインターホンが鳴り響いた。
再びモニターをのぞき込む。しかし、一向に人影は見えない。ただ、モニターの画面端に、何かが映り込んでいるのが見えた。
子供がピンポンダッシュの要領で画面にうつらないように隠れているんだなと当たりをつけて、私は興味本位でドアを開けてみることにした。
ドアを開けると、そこには何もなかった。ただの無人の廊下が広がっているだけだった。扉の陰に隠れているのかとも思ったが誰もいない。
「来る間に逃げたのかな?」
不審な気持ちを抱きつつ、私は廊下を見渡す。すると、少し先の廊下の角に、何か影のようなものが見える
「誰かいるのか?」
不安な気持ちが募る中、私はその影に近づいていくと、その正体が明らかになった。
「……血?」
目の前に広がる光景に、私は声を失った。
影だと思ったそれはどロリと拡がった血飛沫で、放射状に広がる中心点には何かしらの物体が崩れ落ちている。その物体は、人のように見えるが、もはやこれを人と呼ぶにはあまりにも原型を留めていなさすぎる。
「助けて…」と、かすれた声が聞こえてきた。
私の身体は凍りついた。恐怖心が私を襲い、心臓が高鳴る。けれども、その声には、助けを求めている人間の苦しみが感じられた。
まだ、生きているのだろうか。
躊躇しながらも、私は勇気を振り絞り、その声のする方へと近づいていった。
「助けて…もう……」
その声が、ますますかすれていく。私は急いで駆け寄るものの、目の前の光景に驚愕した。
化け物。そう表現するしかない異様なものが、異形のものが、くちゃくちゃと音を立てながら何かを貪っている。
「助けてくれ…助けてくれ…」
化け物の口からその声は聞こえる。ああ、なるほど、そうやって人間をおびき寄せているのかと。そう理解した瞬間、私の目の前に、闇が広がった。
荷物の配達をお願いしていた記憶はなかったので、ちょっと不審な気持ちでモニターを見に行くと、誰も立っていなかった。
私は首を傾げながら、イタズラか何かかなと思い、部屋に戻ろうとした。しかし、その瞬間、再びインターホンが鳴り響いた。
再びモニターをのぞき込む。しかし、一向に人影は見えない。ただ、モニターの画面端に、何かが映り込んでいるのが見えた。
子供がピンポンダッシュの要領で画面にうつらないように隠れているんだなと当たりをつけて、私は興味本位でドアを開けてみることにした。
ドアを開けると、そこには何もなかった。ただの無人の廊下が広がっているだけだった。扉の陰に隠れているのかとも思ったが誰もいない。
「来る間に逃げたのかな?」
不審な気持ちを抱きつつ、私は廊下を見渡す。すると、少し先の廊下の角に、何か影のようなものが見える
「誰かいるのか?」
不安な気持ちが募る中、私はその影に近づいていくと、その正体が明らかになった。
「……血?」
目の前に広がる光景に、私は声を失った。
影だと思ったそれはどロリと拡がった血飛沫で、放射状に広がる中心点には何かしらの物体が崩れ落ちている。その物体は、人のように見えるが、もはやこれを人と呼ぶにはあまりにも原型を留めていなさすぎる。
「助けて…」と、かすれた声が聞こえてきた。
私の身体は凍りついた。恐怖心が私を襲い、心臓が高鳴る。けれども、その声には、助けを求めている人間の苦しみが感じられた。
まだ、生きているのだろうか。
躊躇しながらも、私は勇気を振り絞り、その声のする方へと近づいていった。
「助けて…もう……」
その声が、ますますかすれていく。私は急いで駆け寄るものの、目の前の光景に驚愕した。
化け物。そう表現するしかない異様なものが、異形のものが、くちゃくちゃと音を立てながら何かを貪っている。
「助けてくれ…助けてくれ…」
化け物の口からその声は聞こえる。ああ、なるほど、そうやって人間をおびき寄せているのかと。そう理解した瞬間、私の目の前に、闇が広がった。
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