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物置からの音
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夕飯にカレーを食べている時、急に物置の方から音がした。
「ん?」
私はカレーを食べる手を止めて、耳を澄ませた。
すると、物置からゴトンという何かが倒れる音が再び聞こえてきた。
「なんだ?」
乱雑に荷物は置いてある自覚があるがそんな頻繁に倒れるような置き方はしていない。不思議に思った私は、物置の方へと歩いていった。物置の扉を開ける。
「虫とかいたらやだな……」
私は心の中で呟きながら、スマートフォンのライトを点けた。
今度粗大ゴミで出す予定の掃除機が倒れていた。
「これか。風か何かで動いたのかね?」
少し安心しながら、私は物置の奥まで覗き込んだ。
すると、急に物置の中に異様な光が差し込んできた。それはまるで月光のような蒼白さを持っていた。
「何これ…?」
私は戸惑いながらも興味津々で近づいていった。
光の中には、霧のようなものが漂っていた。それはぼんやりとした形を持ちながら、じわじわと広がったり縮んだりを繰り返す様子がなんとも綺麗だ。
「これって…幽霊?」私の心臓が高鳴り始めた。不思議な現象に恐怖よりも興奮が勝っている。
すると、急に物置の奥から声が聞こえてきた。
「けて…けてくれ…」その声は虚ろで、よく聞いてみると何度も繰り返されているようだった。
「誰…?」私は声の主を探すためにスマホのライトを向ける。だが、光が届かないのだ。奥の方をどれだけてらそうと思っても明るくならない。
「何、どういうこと?」
疑問が恐怖に変わり始めた。
「けて…けてくれ…」
以前声は聞こえ続けている。何があるのか、私は声の元を探すため手を伸ばした。
すると、指先に何かが触れた。それはぬめりを帯びた生温い感触で、膜のようなものがそこにはあった。
私は恐怖に顔を歪めながらも、その手を引き、指先を見て絶句した。どす黒い液体が指先に着いていたのだ。
「なんだよこれ……」
気味の悪さを感じていると、物置の奥から黒い影のようなものが現れた。それは人のような形をしているが、まるで死者のように腐敗していた。這いずるように近づいてくる。今まで無かった腐臭が、物置全体に拡がっていた。
「助けて…助けてくれ…」
影は再びその声を繰り返し、ズルりとこちら側へ近づいてくる。
私は恐怖に圧倒され、声を上げることもできなかった。
「助けて…助けてくれ…」
再びその声が私の耳に響く。ズルりと水気のある固形物が地面をこすれる音がドンドンと近づいてくる。
私は必死で逃げ出そうとしたが、足元には何かが絡みついているように感じた。それは冷たくて粘り気のあるもので、私の足を縛り付けていた。
「助けて…助けてくれ…」
声はますます近くで響き、私の頭の中に響き渡る。
私はもがきながらも必死に抵抗したが、見えない何かは私を離してくれない。
「助けて…助けてくれ…」
最後の声が私の耳に響き渡り、影か私に触れた。
あれ以降、私の体の周りにはドロリとした何かがずっとまとわりついていて立つことすらできない。何も見えない。
助けて。
「ん?」
私はカレーを食べる手を止めて、耳を澄ませた。
すると、物置からゴトンという何かが倒れる音が再び聞こえてきた。
「なんだ?」
乱雑に荷物は置いてある自覚があるがそんな頻繁に倒れるような置き方はしていない。不思議に思った私は、物置の方へと歩いていった。物置の扉を開ける。
「虫とかいたらやだな……」
私は心の中で呟きながら、スマートフォンのライトを点けた。
今度粗大ゴミで出す予定の掃除機が倒れていた。
「これか。風か何かで動いたのかね?」
少し安心しながら、私は物置の奥まで覗き込んだ。
すると、急に物置の中に異様な光が差し込んできた。それはまるで月光のような蒼白さを持っていた。
「何これ…?」
私は戸惑いながらも興味津々で近づいていった。
光の中には、霧のようなものが漂っていた。それはぼんやりとした形を持ちながら、じわじわと広がったり縮んだりを繰り返す様子がなんとも綺麗だ。
「これって…幽霊?」私の心臓が高鳴り始めた。不思議な現象に恐怖よりも興奮が勝っている。
すると、急に物置の奥から声が聞こえてきた。
「けて…けてくれ…」その声は虚ろで、よく聞いてみると何度も繰り返されているようだった。
「誰…?」私は声の主を探すためにスマホのライトを向ける。だが、光が届かないのだ。奥の方をどれだけてらそうと思っても明るくならない。
「何、どういうこと?」
疑問が恐怖に変わり始めた。
「けて…けてくれ…」
以前声は聞こえ続けている。何があるのか、私は声の元を探すため手を伸ばした。
すると、指先に何かが触れた。それはぬめりを帯びた生温い感触で、膜のようなものがそこにはあった。
私は恐怖に顔を歪めながらも、その手を引き、指先を見て絶句した。どす黒い液体が指先に着いていたのだ。
「なんだよこれ……」
気味の悪さを感じていると、物置の奥から黒い影のようなものが現れた。それは人のような形をしているが、まるで死者のように腐敗していた。這いずるように近づいてくる。今まで無かった腐臭が、物置全体に拡がっていた。
「助けて…助けてくれ…」
影は再びその声を繰り返し、ズルりとこちら側へ近づいてくる。
私は恐怖に圧倒され、声を上げることもできなかった。
「助けて…助けてくれ…」
再びその声が私の耳に響く。ズルりと水気のある固形物が地面をこすれる音がドンドンと近づいてくる。
私は必死で逃げ出そうとしたが、足元には何かが絡みついているように感じた。それは冷たくて粘り気のあるもので、私の足を縛り付けていた。
「助けて…助けてくれ…」
声はますます近くで響き、私の頭の中に響き渡る。
私はもがきながらも必死に抵抗したが、見えない何かは私を離してくれない。
「助けて…助けてくれ…」
最後の声が私の耳に響き渡り、影か私に触れた。
あれ以降、私の体の周りにはドロリとした何かがずっとまとわりついていて立つことすらできない。何も見えない。
助けて。
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