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ひとりかくれんぼ
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家でひとりかくれんぼをやってみることにした。
あんまり深い理由はない。ただ、なんかYouTuberがやってるのを見て、どんな感じになるのか気になったんだ。
普段から怖がりな私だが、好奇心が強い自覚はある。本当に何かが起こるのか、少し興味が湧いたのだ。
本来は深夜にやるものらしいが、あまりにも怖いので夕方暗くなり始めた頃に開始した。カーテンを閉めて、電気を消す。
暗闇に包まれた部屋は、不気味な雰囲気を漂わせているように感じた。心臓がドキドキと高鳴り、少し緊張が走った。
買ってきたクマのぬいぐるみにクマと名付け、縫い目をほどいて綿を抜く。そこに米と爪切りで切った私の爪を入れ浴室に連れていく。
「最初の鬼は私だから、最初の鬼は私だから、最初の鬼は私だから」
浴槽にクマをつけて浴室から出る。既に何をやっているのかって気持ちもあるが、続けていこう。
部屋のテレビをつけて、私は適当に10まで数えて、キッチンへ向かう。
小さい包丁を手に持って、再び浴室へ向かう。
いなくなってたらどうしようという不安もあったが、浴槽の中には沈んだクマのぬいぐるみがいた。
それを取りだして声をかける。
「クマ、見つけた」
そうして、クマのお腹に包丁を刺す。
米のザラザラとした音が浴室内に響くのが気持ち悪い。
「次はクマが鬼だから。ちゃんと数えてから探してね」
そうして浴室を出て、予定してたウォークインクローゼットの奥へ座った。
暗闇の中、私は息を殺して何が起こるのかまつ。
周りには静寂が広がり、時折聞こえる自分自身の呼吸音が部屋に満ちていた。
しばらくすると、少しずつ不安が募ってきた。暗闇の中で、どこかに誰かがいるという気配が漂ってくるようだった。心臓がさらに高鳴り、汗がじわりと額に滲んでくる。
「もしかして、本当に誰かが部屋に入ってきたのかもしれない」
と、私は思わず身を震わせた。
けれど、そんなことはありえない。家族は外出しており、私以外には誰もいないはずだ。まさか不審者?
だとしたら幽霊より余程怖い。
勘違いであって欲しいと思うが、しかし、その気配はますます強くなり、私の背筋を這い上がってくる。恐怖心が募り、私は思わず声を出してしまった。
「誰かいるの!?」
しかし、返事はなかった。ただ、静かな暗闇が私の叫び声を吸い込んでしまうようだった。
私は必死で自分を奮い立たせ、再び身を隠す場所を変えた。暗闇の中で、手が震え、足がすくんでしまう。
しかし、時間が経つにつれて、私の恐怖心は徐々に収まっていった。暗闇の中での一人遊びは、最初の緊張感がピークに達した後、次第に退屈になっていくものなのだ。
やがて、私は息をつき、笑い出してしまった。自分がこんなにも怖がっていたことが馬鹿らしく思えてきた。自分の想像力が暴走して、ただの寂しい一人遊びを怖く感じさせていただけなのだ。
「ふふ、バカみたい」と、私は自嘲気味に呟いた。
その時、部屋の隅から微かな音が聞こえた。私は耳を澄ませ、息をひそめた。すると、その音が次第に大きくなっていく。
ガサゴソ、ガサゴソ。
私の背筋に寒気が走り、心臓が凍りついた。一体、何が起きているのだろうか。私は身を隠したまま、恐怖に打ち震える体を抑えながら、その音が近づいてくるのを待った。
そして、音が最も近づいたとき、私は一瞬、目を瞑った。
その瞬間、暗闇の中で何かが私に触れた。身体に伝わる冷たさと共に、私は恐怖のあまり叫び声を上げた。
「……あれ?」
触れたままその黒い影は動かない。ゆっくりと目を開けて触れているものへ目をやると、タンスの中にあった布団だった。
私は戸惑いながらも、安堵のため息をついた。
何かの拍子に崩れたのだろう。
結局、私の恐怖心はただの想像に過ぎなかった。暗闇の中での一人遊びは、ただの遊びで終わることもあるのだということを思い知らされた瞬間だった。
私は心の底から笑い出し、その笑い声が部屋中に響き渡った。
「やっぱり、私ってバカだな」
私は自嘲気味に呟いた。
それから、私は明るい部屋に戻り、ほっと胸をなでおろした。
そこで、私は気づく。
あれ、部屋の電気、いつつけたっけ。
あんまり深い理由はない。ただ、なんかYouTuberがやってるのを見て、どんな感じになるのか気になったんだ。
普段から怖がりな私だが、好奇心が強い自覚はある。本当に何かが起こるのか、少し興味が湧いたのだ。
本来は深夜にやるものらしいが、あまりにも怖いので夕方暗くなり始めた頃に開始した。カーテンを閉めて、電気を消す。
暗闇に包まれた部屋は、不気味な雰囲気を漂わせているように感じた。心臓がドキドキと高鳴り、少し緊張が走った。
買ってきたクマのぬいぐるみにクマと名付け、縫い目をほどいて綿を抜く。そこに米と爪切りで切った私の爪を入れ浴室に連れていく。
「最初の鬼は私だから、最初の鬼は私だから、最初の鬼は私だから」
浴槽にクマをつけて浴室から出る。既に何をやっているのかって気持ちもあるが、続けていこう。
部屋のテレビをつけて、私は適当に10まで数えて、キッチンへ向かう。
小さい包丁を手に持って、再び浴室へ向かう。
いなくなってたらどうしようという不安もあったが、浴槽の中には沈んだクマのぬいぐるみがいた。
それを取りだして声をかける。
「クマ、見つけた」
そうして、クマのお腹に包丁を刺す。
米のザラザラとした音が浴室内に響くのが気持ち悪い。
「次はクマが鬼だから。ちゃんと数えてから探してね」
そうして浴室を出て、予定してたウォークインクローゼットの奥へ座った。
暗闇の中、私は息を殺して何が起こるのかまつ。
周りには静寂が広がり、時折聞こえる自分自身の呼吸音が部屋に満ちていた。
しばらくすると、少しずつ不安が募ってきた。暗闇の中で、どこかに誰かがいるという気配が漂ってくるようだった。心臓がさらに高鳴り、汗がじわりと額に滲んでくる。
「もしかして、本当に誰かが部屋に入ってきたのかもしれない」
と、私は思わず身を震わせた。
けれど、そんなことはありえない。家族は外出しており、私以外には誰もいないはずだ。まさか不審者?
だとしたら幽霊より余程怖い。
勘違いであって欲しいと思うが、しかし、その気配はますます強くなり、私の背筋を這い上がってくる。恐怖心が募り、私は思わず声を出してしまった。
「誰かいるの!?」
しかし、返事はなかった。ただ、静かな暗闇が私の叫び声を吸い込んでしまうようだった。
私は必死で自分を奮い立たせ、再び身を隠す場所を変えた。暗闇の中で、手が震え、足がすくんでしまう。
しかし、時間が経つにつれて、私の恐怖心は徐々に収まっていった。暗闇の中での一人遊びは、最初の緊張感がピークに達した後、次第に退屈になっていくものなのだ。
やがて、私は息をつき、笑い出してしまった。自分がこんなにも怖がっていたことが馬鹿らしく思えてきた。自分の想像力が暴走して、ただの寂しい一人遊びを怖く感じさせていただけなのだ。
「ふふ、バカみたい」と、私は自嘲気味に呟いた。
その時、部屋の隅から微かな音が聞こえた。私は耳を澄ませ、息をひそめた。すると、その音が次第に大きくなっていく。
ガサゴソ、ガサゴソ。
私の背筋に寒気が走り、心臓が凍りついた。一体、何が起きているのだろうか。私は身を隠したまま、恐怖に打ち震える体を抑えながら、その音が近づいてくるのを待った。
そして、音が最も近づいたとき、私は一瞬、目を瞑った。
その瞬間、暗闇の中で何かが私に触れた。身体に伝わる冷たさと共に、私は恐怖のあまり叫び声を上げた。
「……あれ?」
触れたままその黒い影は動かない。ゆっくりと目を開けて触れているものへ目をやると、タンスの中にあった布団だった。
私は戸惑いながらも、安堵のため息をついた。
何かの拍子に崩れたのだろう。
結局、私の恐怖心はただの想像に過ぎなかった。暗闇の中での一人遊びは、ただの遊びで終わることもあるのだということを思い知らされた瞬間だった。
私は心の底から笑い出し、その笑い声が部屋中に響き渡った。
「やっぱり、私ってバカだな」
私は自嘲気味に呟いた。
それから、私は明るい部屋に戻り、ほっと胸をなでおろした。
そこで、私は気づく。
あれ、部屋の電気、いつつけたっけ。
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