11 / 36
営業のおっさん
しおりを挟む
俺が中学生の時の話だけどさ、夏休みで家に俺以外いない昼間のことなんだけど。
知らないスーツのおっさんが来たんだ。
「こんにちは、ご主人はいらっしゃいますか?」
モニター越しだけどさすがに緊張したよね。俺は一応、返事をした。
「父はいません。用件は何ですか?」
そのおっさんは微笑んで
「大変失礼しました。私は○○という会社の営業担当でして、お宅のご主人にお話があるのですが」
と言ったんだ。
うちには割と父親のつながりで営業の人が来るからまたかぁって感じだった。
書類は貰っとけって言われてたから一応商品の詳細だけ貰うために玄関開けたんだよ。
でもさ、そのおっさんと直で顔合わせてからなんか変な感じがしたんだよね。何かを隠しているような目つきで、なんというか企みを抱えているような感じがして。すげぇ不気味だったんだよ。
そしたらおっさんは、玄関先で俺に向かって話し始めたんだ。最初は普通の営業トークだったんだけど、どんどん話がおかしくなっていくの。
「あなたのご主人は、最近○○という商品を購入されましたよね?それはとても特殊で、非常に価値のあるものなんです」
って言ってきたんだ。
俺はもちろん知らないし、父親が変なもの買ってた記憶は無い。そのおっさんが言うには、その商品を手に入れると特別な力が身につくらしいんだ。
「この商品を手に入れた人は、自分の願いを叶えることができるんですよ。でも、その力は一度しか使うことができないんです」
って、言われた瞬間、ドラゴンボールかってツッコミたくなったんだけど。無理だったわ。
なんか、この話の怖さが伝わるかな?
すげぇ真面目な顔した自分より20以上上であろうおっさんが訳わかんないことを丁寧に話してくるんだよ。
「この商品を手に入れた人は、一度しか使えない代わりに、その力を使えば願い事を叶えることができるんですよ」
って言われた時、俺はなんか背筋がゾクゾクってなったんだよね。ああ、この人ほんとに頭おかしいのかもしれないってさ。
「あなたも願い事はありませんか?お金や恋愛、学校の成績、何でもいいんですよ。一度きりのチャンスなんですから」
とおっさんが笑顔を張りつけた顔で言ってきたとき、もう怖くて怖くて、それ以上は聞きたくなかったんだよね。
俺はおっさんに
「すみません、もう帰ってください」
と言って追い出したんだ。
笑顔のままおっさんは帰っていったけど、なんで俺の家に来たのか、そもそもどこで父親がそれを買ったのを知ったのか、それになんで俺に話してきたのか。
疑問ばかり残ってめちゃめちゃ後味が悪かった。
それからしばらくして、父親が帰ってきたからそのことを話したんだけど、父親もそのおっさんのことは知らないし、商品なんて買ってないって言ってたんだ。
でもさ、その後も俺の家の周りで、知らない車が何度も現れるようになったんだ。夜中には不気味な足音が聞こえるし、窓の外には黒い影が見えることもある。
これって、ただの偶然じゃないと思うんだよね。もしかしたら、あのおっさんが何かを仕掛けてきたのかもしれない。
こんな怖いこと初めてだから、本当にどうしたらいいかわからなくてさ。父親に話して引越ししてもらうことになった。今じゃもうそんな不思議なことは起こってないけど、もしもう一度あのおっさんが現れたら、もう絶対に家に入れないようにしなきゃ。本当に怖いんだもん。
知らないスーツのおっさんが来たんだ。
「こんにちは、ご主人はいらっしゃいますか?」
モニター越しだけどさすがに緊張したよね。俺は一応、返事をした。
「父はいません。用件は何ですか?」
そのおっさんは微笑んで
「大変失礼しました。私は○○という会社の営業担当でして、お宅のご主人にお話があるのですが」
と言ったんだ。
うちには割と父親のつながりで営業の人が来るからまたかぁって感じだった。
書類は貰っとけって言われてたから一応商品の詳細だけ貰うために玄関開けたんだよ。
でもさ、そのおっさんと直で顔合わせてからなんか変な感じがしたんだよね。何かを隠しているような目つきで、なんというか企みを抱えているような感じがして。すげぇ不気味だったんだよ。
そしたらおっさんは、玄関先で俺に向かって話し始めたんだ。最初は普通の営業トークだったんだけど、どんどん話がおかしくなっていくの。
「あなたのご主人は、最近○○という商品を購入されましたよね?それはとても特殊で、非常に価値のあるものなんです」
って言ってきたんだ。
俺はもちろん知らないし、父親が変なもの買ってた記憶は無い。そのおっさんが言うには、その商品を手に入れると特別な力が身につくらしいんだ。
「この商品を手に入れた人は、自分の願いを叶えることができるんですよ。でも、その力は一度しか使うことができないんです」
って、言われた瞬間、ドラゴンボールかってツッコミたくなったんだけど。無理だったわ。
なんか、この話の怖さが伝わるかな?
すげぇ真面目な顔した自分より20以上上であろうおっさんが訳わかんないことを丁寧に話してくるんだよ。
「この商品を手に入れた人は、一度しか使えない代わりに、その力を使えば願い事を叶えることができるんですよ」
って言われた時、俺はなんか背筋がゾクゾクってなったんだよね。ああ、この人ほんとに頭おかしいのかもしれないってさ。
「あなたも願い事はありませんか?お金や恋愛、学校の成績、何でもいいんですよ。一度きりのチャンスなんですから」
とおっさんが笑顔を張りつけた顔で言ってきたとき、もう怖くて怖くて、それ以上は聞きたくなかったんだよね。
俺はおっさんに
「すみません、もう帰ってください」
と言って追い出したんだ。
笑顔のままおっさんは帰っていったけど、なんで俺の家に来たのか、そもそもどこで父親がそれを買ったのを知ったのか、それになんで俺に話してきたのか。
疑問ばかり残ってめちゃめちゃ後味が悪かった。
それからしばらくして、父親が帰ってきたからそのことを話したんだけど、父親もそのおっさんのことは知らないし、商品なんて買ってないって言ってたんだ。
でもさ、その後も俺の家の周りで、知らない車が何度も現れるようになったんだ。夜中には不気味な足音が聞こえるし、窓の外には黒い影が見えることもある。
これって、ただの偶然じゃないと思うんだよね。もしかしたら、あのおっさんが何かを仕掛けてきたのかもしれない。
こんな怖いこと初めてだから、本当にどうしたらいいかわからなくてさ。父親に話して引越ししてもらうことになった。今じゃもうそんな不思議なことは起こってないけど、もしもう一度あのおっさんが現れたら、もう絶対に家に入れないようにしなきゃ。本当に怖いんだもん。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

もしもし、あのね。
ナカハラ
ホラー
「もしもし、あのね。」
舌足らずな言葉で一生懸命話をしてくるのは、名前も知らない女の子。
一方的に掛かってきた電話の向こうで語られる内容は、本当かどうかも分からない話だ。
それでも不思議と、電話を切ることが出来ない。
本当は着信なんて拒否してしまいたい。
しかし、何故か、この電話を切ってはいけない……と……
ただ、そんな気がするだけだ。
赤い部屋
山根利広
ホラー
YouTubeの動画広告の中に、「決してスキップしてはいけない」広告があるという。
真っ赤な背景に「あなたは好きですか?」と書かれたその広告をスキップすると、死ぬと言われている。
東京都内のある高校でも、「赤い部屋」の噂がひとり歩きしていた。
そんな中、2年生の天根凛花は「赤い部屋」の内容が自分のみた夢の内容そっくりであることに気づく。
が、クラスメイトの黒河内莉子は、噂話を一蹴し、誰かの作り話だと言う。
だが、「呪い」は実在した。
「赤い部屋」の手によって残酷な死に方をする犠牲者が、続々現れる。
凛花と莉子は、死の連鎖に歯止めをかけるため、「解決策」を見出そうとする。
そんな中、凛花のスマートフォンにも「あなたは好きですか?」という広告が表示されてしまう。
「赤い部屋」から逃れる方法はあるのか?
誰がこの「呪い」を生み出したのか?
そして彼らはなぜ、呪われたのか?
徐々に明かされる「赤い部屋」の真相。
その先にふたりが見たものは——。
【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】
絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。
下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。
※全話オリジナル作品です。
怪奇蒐集帳(短編集)
naomikoryo
ホラー
この世には、知ってはいけない話がある。
怪談、都市伝説、語り継がれる呪い——
どれもがただの作り話かもしれない。
だが、それでも時々、**「本物」**が紛れ込むことがある。
本書は、そんな“見つけてしまった”怪異を集めた一冊である。
最後のページを閉じるとき、あなたは“何か”に気づくことになるだろう——。

ガーディスト
鳴神とむ
ホラー
特殊な民間警備会社で働く青年、村上 祐司。
ある日、東つぐみの警護を担当することになった。
彼女には《つばき》という少女の生霊が取り憑いていた。つぐみを護衛しつつ《つばき》と接触する祐司だが、次々と怪奇現象に襲われて……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる