『ショート怪談』訪れるもの

見崎志念

文字の大きさ
上 下
7 / 36

影たち

しおりを挟む
夜 中にパッと目が覚めた。時計を見ると午前3時だ。
部屋は暗くて静かだったが、何かが違うと感じた。
そういえば、寝る前に窓を閉めたはずなのに、今は少し開いている。風が吹いてカーテンが揺れている。誰かが開けたのだろうか?いやいや、鍵は閉めていたはずだ。自然に開いた?それこそ不自然だろう。
まさか泥棒!?
不安になってベッドから起き上がった。

とにかく、寒い。秋になったばかりだと言うのに、以上に寒い。とりあえず窓を締めないと。
窓を閉め用途手を伸ばした時、窓の外に何かが見えた。
それは人間のような形をしていた。
それはゆらゆらと揺れていた。
それは黒い影だけの存在だった。
ゆっくりと近ずいてくるそれは窓に手をかけて、ゆっくりと中に入ろうとしている。私は恐怖に震えながら叫んだ。

「うあ!来るな!」

すると、影は一瞬にして消えてしまった。私は呆然と立ち尽くし、戸惑いながらも窓の外を確認した。

何もいない。

何が起きたのだろう?私の心臓は激しく鼓動し、冷や汗が背中を伝っていく。

とにかく寝よう。なにかの見間違いだ。

そう思うことにして横になった。しばらくしてから、再び窓の外に異変が起きた。ガタガタと窓が揺れている。何事かと見ると、今度は複数の影が現れ、窓に集まり始めた。彼らは窓を開けようとしていた。私は恐怖に打ち震えながら、声を出すこともできずにただ見つめるしかなかった。

窓の鍵がガチャリと外れた。ゆっくりと開かれ、影たちは部屋の中に入り込んできた。私は全身の力を振り絞って逃げようとしたが、足がすくんでしまい、逃げ出すことができなかった。影たちは私に近づいてきて、その存在感に私の息が詰まりそうだった。

すると、影たちは私の周りを取り囲んで、何かを囁き始めた。その声は耳に届いた瞬間、私の頭に響き渡り、私の心を蝕んでいくような感覚がした。私は苦しさに耐え切れず、絶叫してしまった。

すると、一瞬にして影たちは消え去った。それと同時に私は気を失ってしまった。

朝になって、私は起き上がり、窓を確認した。窓はしっかりと閉まっていて、鍵も壊れている様子は無い。昨晩の出来事は夢だったのか?しかし、あの時の恐怖がぐるぐると胸の中で蠢いている。

それからというもの、私は寝る時に窓を見ることが出来ない。何があったのかは分からないが、もう二度とあのような体験はしたくなかった。

しかし、時折夜中に目が覚めると、窓の外に黒い影が立っているような気がしてならない。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

だんだんおかしくなった姉の話

暗黒神ゼブラ
ホラー
弟が死んだことでおかしくなった姉の話

怪奇蒐集帳(短編集)

naomikoryo
ホラー
この世には、知ってはいけない話がある。  怪談、都市伝説、語り継がれる呪い——  どれもがただの作り話かもしれない。  だが、それでも時々、**「本物」**が紛れ込むことがある。  本書は、そんな“見つけてしまった”怪異を集めた一冊である。  最後のページを閉じるとき、あなたは“何か”に気づくことになるだろう——。

The Last Night

泉 沙羅
ホラー
モントリオールの夜に生きる孤独な少女と、美しい吸血鬼の物語。 15歳の少女・サマンサは、家庭にも学校にも居場所を持てず、ただひとり孤独を抱えて生きていた。 そんな彼女が出会ったのは、金髪碧眼の美少年・ネル。 彼はどこか時代錯誤な振る舞いをしながらも、サマンサに優しく接し、二人は次第に心を通わせていく。 交換日記を交わしながら、ネルはサマンサの苦しみを知り、サマンサはネルの秘密に気づいていく。 しかし、ネルには決して覆せない宿命があった。 吸血鬼は、恋をすると、その者の血でしか生きられなくなる――。 この恋は、救いか、それとも破滅か。 美しくも切ない、吸血鬼と少女のラブストーリー。 ※以前"Let Me In"として公開した作品を大幅リニューアルしたものです。 ※「吸血鬼は恋をするとその者の血液でしか生きられなくなる」という設定はX(旧Twitter)アカウント、「創作のネタ提供(雑学多め)さん@sousakubott」からお借りしました。 ※AI(chatgpt)アシストあり

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

【短編】怖い話のけいじばん【体験談】

松本うみ(意味怖ちゃん)
ホラー
1分で読める、様々な怖い体験談が書き込まれていく掲示板です。全て1話で完結するように書き込むので、どこから読み始めても大丈夫。 スキマ時間にも読める、シンプルなプチホラーとしてどうぞ。

転生率

宮田 歩
ホラー
あの世にも行ったら来世は何に生まれ変わるのか?ルールが最近変わったらしい。 その驚愕の詳細とは——。

赤い部屋

山根利広
ホラー
YouTubeの動画広告の中に、「決してスキップしてはいけない」広告があるという。 真っ赤な背景に「あなたは好きですか?」と書かれたその広告をスキップすると、死ぬと言われている。 東京都内のある高校でも、「赤い部屋」の噂がひとり歩きしていた。 そんな中、2年生の天根凛花は「赤い部屋」の内容が自分のみた夢の内容そっくりであることに気づく。 が、クラスメイトの黒河内莉子は、噂話を一蹴し、誰かの作り話だと言う。 だが、「呪い」は実在した。 「赤い部屋」の手によって残酷な死に方をする犠牲者が、続々現れる。 凛花と莉子は、死の連鎖に歯止めをかけるため、「解決策」を見出そうとする。 そんな中、凛花のスマートフォンにも「あなたは好きですか?」という広告が表示されてしまう。 「赤い部屋」から逃れる方法はあるのか? 誰がこの「呪い」を生み出したのか? そして彼らはなぜ、呪われたのか? 徐々に明かされる「赤い部屋」の真相。 その先にふたりが見たものは——。

【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】

絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。 下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。 ※全話オリジナル作品です。

処理中です...