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夜に来る幼馴染

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夜中の2時、私は一人で部屋で映画を見ていた。最近はなりの赤いNマークが目印のやつだ。オススメに流れてきた相撲の映画は割と面白いと思う。
3話を見ている途中で、突然電話が鳴った。何事かと思い画面を見ると、親友からの通話だった。

「もしもし? なに?こんな時間にどうしたん?」

すると、無言のまま切られた。

「なに、いたずら?」と思いながら、電話を置くと、今度はドアのノックが聞こえた。

ガチャン、ガチャンという音が響き、私の心臓はドキドキと高鳴った。

「誰だろう?」と不気味に思いながら、ドアの覗き穴を覗くと、そこには誰もいなかった。
不審に思いつつも、一応ドアの鍵がかかっているのを確認する。一応チェーンをかけておこう。

すると、その瞬間、窓ガラスが割れる音がした。キーン、ガラガラと破片が飛び散る音が耳に届き、私は息をのんだ。

恐る恐る窓の方へ向かうと、何か黒い影が飛び込んできた。ふューッという音と共に、その影は部屋の中に滑り込みうずくまっている。私は目を見開き、声も出せずに立ち尽くしてしまった。
大きい。成人女性と変わらない大きさだ。

その影はもぞもぞとに私に近づいてきて、私の顔を覗き込んだ。ドキドキという鼓動が私の耳に響いてくる中、私はついにその影の顔を見た。それは私の幼なじみだった。

「なにしてんの!?」と私は困惑の声を漏らしたが、幼なじみは何も答えず、ただじっと私を見つめていた。

目が合った瞬間、幼なじみの目が赤く光り、私の首に噛みついた。キュッという音と共に、痛みが私の全身を駆け巡った。私は必死に抵抗しようとしたが、幼なじみの力は信じられないほど強く、振り払うことができない。

幼なじみの執拗な噛みつきは続いた。私の首元から命が抜けていく感覚。次第に私の意識を薄れさせていく。

最後の力を振り絞りながら、私は幼なじみの顔を見つめた。

笑っていた。

見たことがないほど口角を上げ、裂けるほどに口を開いた笑顔だった。

恐怖と絶望が私の心を満たし、ついに私は気を失ってしまった。

目が覚めると、私は自分のベッドに横たわっていた。冷や汗が背中を伝い、孤堂の速さと胸の痛み息があれる。
首元に触れ、いつもと変わらない感覚に安堵した。

「あれは…悪夢だったのか?」と私は自問自答しながら、部屋の中を見回した。あまりにも、リアルな夢だ。
しかし、部屋は静まり返っていた。何も起こっていなかったかのように。

窓ガラスは割れておらず、昨日の夜食べていた蒙古タンメンもそのままだ。

ただ。

玄関のチェーンがかかっている。今まで一度もかけたことがないのに。

一応、親友には連絡をしておこう。あれ、結構最近話してたはずなのに、トークどこ行ったかな。

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