【R18】僕とあいつのいちゃラブな日々

紫紺

文字の大きさ
上 下
171 / 208
第2部

第65話 愛しい変態

しおりを挟む


 7月に始まったツアーも残すところ3公演となった。千葉、東京、横浜の3か所だ。
 時は移り、いつの間にか九月になっている。あっという間だったな。まだまだ暑い日が続くけど、陽が落ちるのは早くなったし、夜になると風が涼しい。

「そう言えばさ、あんた、俺のこと『変態』って言ったんだってな」

 次の千葉公演まではちょっとだけ間が空く。だけど、力技で乗り切った福島はともかく、残りの3公演ではそれは通用しない。
 急遽リハを2回入れているんだけど、今日はオフだ。リビングのソファーの上、あいつは僕の膝枕で寝転がっている。

「あ、あいつそんなこと言ってた? いや、あはは……つい……」
「ん? いや、全然怒ってない。ヤツを引かせるためだろ? 引いてなかったけど」

 え? 今なんか違和感が……。

「僕はホントのこと言っただけだよ」
「えっ! あんた俺のこと変態だと思ってたのか!?」

 何を驚いてんだよ。僕はおまえに自覚がなかったことに驚きだよ。
 僕にビキニパンツ履かせたり、電車でお触りしてきたり、エレベーターで迫ったり、バスタブに沈めたり、所かまわず発情するおまえを他にどう形容したらいいんだよ。

「変態以外のなにものでもないだろう? でも安心しろ。僕はちゃんと受け入れてるし、そういうのも含めておまえが好きなんだから」
「倫―!」

 膝枕から起き上がり、あいつは形のいい両目をうるうるさせて僕を見た。

「俺はあんたを喜ばせるために生きてるんだ。いっつもあんたをどうやってイかせようか、喜ばせようかと考えてる。それが俺の喜びなんだ」

 うん。そういうとこ、紛れもないよな。

「それを変態と呼ぶなら甘んじて受けよう」

 なんてよくわからないことを言いながら、僕の腕を取った。

「なんだよ。痛いよ」
「めっちゃムラムラしてきた。襲う」

 来たよ。いきなり。言っておくけど、今日はオフだ。つまり昨夜、僕らはいい感じに燃え上がった。エレベーター発バスタブ経由ベッド着だ。今朝だって……。

「わぁっ!」

 オフなんだから、パジャマみたいな部屋着を着てる。あいつは僕の足をすくってひっくり返す。そしてサクッとハーフパンツを脱がしてしまった。

「だっ! ちょっと待て……きゃっ!」

 佐山に『待て』が通用しないことは重々わかってる。僕の必死の抵抗なんか、ものともしない。体ごと僕に預け、支配してしまう。

「うんうん、抵抗するあんたもそそられてたまんねえ」
「んだよっ! 変態のうえに絶倫とか、始末に負えないなっ」
「誉め言葉として受け取ろう」
「褒めてねえっ、んにゅっ」

 僕の手首を万歳させたまま抑え、唇を奪う。乱暴な舌が口の中で暴れて、僕から理性を吹っ飛ばした。
 ビキニパンツが窮屈になってきた。僕の股間が膨らむのを押さえつけてるんだ。
 そうと知ったあいつは自分のを器用に当てて擦りつけてくる。腰を上下させる度に僕の方こそたまらなくなっていく。思わず声が出てしまった。

「んん……ううっ」

 佐山のエロ唇に塞がれているので、のどの中で呻く。これもあいつの大好物だ。火が付いたようにあいつは僕を食い尽くす。

 結局、僕の抵抗むなしく、あいつの希望通り僕は喜ばされてしまった。脱がされた服が床に散らばってるのを眺めながら、僕は吐息を漏らす。始末に負えない奴だけど、たまらなく好きなんだ。
 あいつのくせっ毛を指で梳く。僕にくっついてウトウトしている愛しい変態。その額にそっとキスをした。


しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

壁乳

リリーブルー
BL
俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 (作者の挿絵付きです。)

幸せの温度

本郷アキ
BL
※ラブ度高めです。直接的な表現もありますので、苦手な方はご注意ください。 まだ産まれたばかりの葉月を置いて、両親は天国の門を叩いた。 俺がしっかりしなきゃ──そう思っていた兄、睦月《むつき》17歳の前に表れたのは、両親の親友だという浅黄陽《あさぎよう》33歳。 陽は本当の家族のように接してくれるけれど、血の繋がりのない偽物の家族は終わりにしなければならない、だってずっと家族じゃいられないでしょ? そんなのただの言い訳。 俺にあんまり触らないで。 俺の気持ちに気付かないで。 ……陽の手で触れられるとおかしくなってしまうから。 俺のこと好きでもないのに、どうしてあんなことをしたの? 少しずつ育っていった恋心は、告白前に失恋決定。 家事に育児に翻弄されながら、少しずつ家族の形が出来上がっていく。 そんな中、睦月をストーキングする男が現れて──!?

次男は愛される

那野ユーリ
BL
ゴージャス美形の長男×自称平凡な次男 佐奈が小学三年の時に父親の再婚で出来た二人の兄弟。美しすぎる兄弟に挟まれながらも、佐奈は家族に愛され育つ。そんな佐奈が禁断の恋に悩む。 素敵すぎる表紙は〝fum☆様〟から頂きました♡ 無断転載は厳禁です。 【タイトル横の※印は性描写が入ります。18歳未満の方の閲覧はご遠慮下さい。】 12月末にこちらの作品は非公開といたします。ご了承くださいませ。 近況ボードをご覧下さい。

大学生はバックヤードで

リリーブルー
BL
大学生がクラブのバックヤードにつれこまれ初体験にあえぐ。

仕事ができる子は騎乗位も上手い

冲令子
BL
うっかりマッチングしてしまった会社の先輩後輩が、付き合うまでの話です。 後輩×先輩。

エリート上司に完全に落とされるまで

琴音
BL
大手食品会社営業の楠木 智也(26)はある日会社の上司一ノ瀬 和樹(34)に告白されて付き合うことになった。 彼は会社ではよくわかんない、掴みどころのない不思議な人だった。スペックは申し分なく有能。いつもニコニコしててチームの空気はいい。俺はそんな彼が分からなくて距離を置いていたんだ。まあ、俺は問題児と会社では思われてるから、変にみんなと仲良くなりたいとも思ってはいなかった。その事情は一ノ瀬は知っている。なのに告白してくるとはいい度胸だと思う。 そんな彼と俺は上手くやれるのか不安の中スタート。俺は彼との付き合いの中で苦悩し、愛されて溺れていったんだ。 社会人同士の年の差カップルのお話です。智也は優柔不断で行き当たりばったり。自分の心すらよくわかってない。そんな智也を和樹は溺愛する。自分の男の本能をくすぐる智也が愛しくて堪らなくて、自分を知って欲しいが先行し過ぎていた。結果智也が不安に思っていることを見落とし、智也去ってしまう結果に。この後和樹は智也を取り戻せるのか。

初体験

nano ひにゃ
BL
23才性体験ゼロの好一朗が、友人のすすめで年上で優しい男と付き合い始める。

上司と俺のSM関係

雫@更新予定あり
BL
タイトルの通りです。

処理中です...