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第2部
第49話 深夜の営み
しおりを挟むそれから三日後、僕らは県内の中核都市に場所を移してライブを行った。このライブには、前回に引き続き祝い花を送ってくれたダークソウルのメンバーが来てくれた。
「いやあ、いいライブだった。やっぱり佐山はこっち系だよな」
「ギターメインでこれだけのクオリティー出すところがさすがだよ!」
なんて口々に褒め称えてくれる。聞いてるこっちもめちゃくちゃ嬉しい!
「おまえら、これから暇なら打ち上げ来ないか?」
懐かしさも手伝ったんだろうけど、佐山も相当嬉しかったのか、珍しくお誘いをしている。
「ぜひぜひ! 僕からもお願いします」
マネージャーになってからは数えるほどしかお会いしていないが、佐山の気心が知れた人だ。僕にも異存がない。
結局ダークソウルの面々も参加し、賑やかな打ち上げとなった。佐山も終始上機嫌で、酒も進んでる。僕は安定のマネージャー飲み会だ。でも、視線は彼に釘付けだった。
『楽しみにしてます。とても』
と、謎めいた笑みとともに(ちょっと記憶改ざん)、そう言い残したやつ。八神さんの行動を注視した。ただ、今回はダークソウルのおかげで、あんまり近くに寄れなかったみたいだ。ザマミロ。
佐山の両隣には、ダークのボーカル、イサさんとベースの中館さんが陣取ってた。特にイサさんは界隈でも有名な重鎮らしくて(一人だけ、年齢がかなり上)、みんなとも顔見知りだったのが大きい。イサさん、グッジョブ!
それでも、僕が注文の追加から席に戻ると、なにやら佐山に話しかけてるのが見えた。むむ、隙あらば狙ってくるな。あいつも機嫌がいいもんだから、にこやかに対応してる。無駄にそんな無垢な笑顔を垂れ流すなよっ。
「市原さん、どうしましたぁ。もっと飲みましょうよお」
鬼の形相をしている僕に絡んできたのは、八神さんのマネ。おまえら、グルじゃないだろうな!
「ね、八神さんってさ、凄いイケメンだけど、彼女さんとかいるの?」
マネージャーと言ってもウチの事務所の子だ。彼は八神さんのほかにも数人のアーティストを掛け持ちしている。
「さあー? でも、この間の飲み会で、好きな人はいるみたいなこと、言ってましたよぉ。ドラムの塩谷さんがからかってましたあ」
サポメン飲み会のことだ。ふううん、なるほどね。その、好きな人が佐山ってわけか?
事務所の子は、そのまま寝てしまった。この程度で潰れては困るな。千秋楽の大打ち上げは、正気を保っている人が僕以外にもいて欲しいよ。
この日はダークソウルとの二次会を経て、ホテルに戻ったのは深夜二時を過ぎていた。
例によって酔い潰れてベッドに倒れこんでいる佐山を放置し、僕は一人でシャワーを浴びた。あいつはライブ直後にシャワーしてるからいいけど、僕は汗だくだ。
すっきりした気分で部屋に戻ると、あいつが露わな格好で爆睡している。上半身は裸でボクサーパンツ一枚だ。脇には脱いだままの状態を保っているテーパードパンツやシャツが転がっている。
――――まったく、仕方ないなあ。
僕はそれを拾って片付け、あいつの横に座った。無防備で熟睡しているヤツを見ると、悪戯心がふつふつと湧いてくる。あの打ち上げでの笑顔。八神さんに何を言われたんだろう。むむっ。このまま安眠させるのはなんか腹立たしい。
僕は久々の深夜業務に勤しむことにした。平たく言えば、『夜這い』をかけるってことだ。
まず、厚い胸板に指を這わす。開拓中の乳首を指で潰すと、口元が緩み、体がピクンとはねた。面白い。それからおもむろにボクサーパンツを脱がす。
――――なんでだよ。既に形をなしてるってのは。
手でもてあそんでやると、あっという間に固くなった。僕はあいつの欲情の塊を咥え、舌を使っていたぶった。
「んんっ……あ」
目を覚ましたのか、僕の頭に手を置き、濡れた髪をかき混ぜ始めた。
「気持ちいい……もっとやって……」
まだ酔っぱらってるらしい。なんとなく癪に障ったが、僕ももう止められない。二人行きつくところにイクまで、深夜の営みを行使した。
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