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番外編 僕とあいつのいちゃバリな日
その3(佐山目線)
しおりを挟むミニアルバムが好調だったご褒美で、倫と海外旅行に行けることになった。幾つになっても『ご褒美』は嬉しいもんだ。あいつとは初海外だし、テンション上がりまくった。
行先は南国リゾート。倫と行けるなら、ていうか、あいつが喜ぶなら俺はどこでも良かったけど、行ってみたら最高だった。まるで天国だよっ!
新年、まだ日本でゴロゴロ寝正月していた頃、倫がお母さんや澪ちゃんと年始のあいさつをしていた。
俺もしたかったんだけど、あいつが言わなかったので黙ってた。あまり急ぐのも良くない。自然にそういうことが出来るまで俺は待つことにした。
ただ、澪ちゃんとはメッセージのやり取りをした。なんだか俺にも妹が出来たみたいで楽しかったな。
それとこれは余談だけど、あの変態Pにちょっと仕掛けてやった。もちろん倫には内緒。俺はともかく、倫に辛い思いをさせたことは絶対に許さん。ちゃんと警告してやったのにな。
さて、飛行機では俺が誘うことになったが(大体俺が誘ってると思っている諸君。それは違う。あいつが欲しそうだから男として応えてるだけだ。あ、言い訳だ)、この地に降り立っても俺は我慢しない。こんなに太陽燦々で開放的なんだ。欲望に忠実でなくてどうする!
しかし、ここは不思議な場所だな。ホテルのエントランスでは、ガムランの合奏と踊り子さんが出迎えてくれた。
倫がぽつんと『神様の島だからな』なんて言うんだ。確かにここには神様が棲んでいるのかもしれない。たぶん、どんな愛にも寛容な神様だと俺は思う。
そして改めて思ったのは、倫はエリートだったんだなってこと。フロントでもどこでも流暢な英語で話すあいつ。
俺は高卒だし、勉強を真面目にやってなかったから、英語なんか洋楽からしか学んで(?)ない。だから、話すのはからしきだ。
あいつが自然に会話する姿を俺は誇らしげに見てしまった。やっぱり俺が好きになったやつは凄いって。
プールサイドのチェアで寝そべってアイスを食べる。横にはグラサンをかけた倫が同じように寝転がっていて、水着にパーカーを羽織ってる。まだ焼けてない白い肌がきれいだ。
この地では、太陽が3つあるぐらい熱も光も強く感じる。本当に明るくて輝いてるんだ。それでも、と、俺は思う。倫のクールビューティーな瞳の煌めきに勝るものはない。俺は相変わらずあいつに魅せられ続けてる。
「よしっ」
俺は倫にキスしたくなった。大きなパラソルの影にいるし、どこかでキスしているカップルがいた。それにここは天国だ。俺を止めるものは何もない。
「おい、なんだよっ! んんっ」
俺はあいつの花びらみたいな唇を目指す。俺ので覆うと、脳内でスパークを起こす。目くるめく瞬間だ。あいつが喉のなかで喘ぎ出すのを感じると、もう止まらない!
「部屋へ行こう? な?」
あいつがうるうるした瞳で俺に懇願する。なんちゅうかわいさか! この島にいるという神様もびっくりだろう。
「欲しくなったか?」
なんてわかりきったことを聞く。あいつは頬を赤らめ、そして唇を少し尖らした。このしぐさもかわいすぎるんだ。なんで、ついついこんな意地悪を言ってしまう。
「おまえも欲しくなったろ?」
何を言ってるのか。
「俺はいっつも欲しい」
けど? あんたがそばにいると、俺の股間はずっと元気なまんまだよ。だからいつでも触れたくなる。触れたら抱きしめたくなるし、唇を貪りたくなるし、あんたと一つになろうとするんだよ。
倫に腕を取られ、ホテルの部屋へと急ぐ。俺の頭の中は、今日はあんたをどうやって喜ばそうかでいっぱいになるんだ。こんな幸せなことはない。
神々が棲むこの島で、俺はあんたに誓おう。命ある限り、あんたとともにいると。
つづく
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