52 / 208
第1部
第48話 そこに〇〇はあるんか。
しおりを挟む早朝、雨の音で目が覚めた。かなり強い雨がアスファルトを叩いているのが聞こえる。ブラインドに閉じられた窓から漏れる光も弱々しい。
「どうした?」
僕が起き上がったのに気付いた佐山が寝ぼけ眼で尋ねる。
「雨が凄く降ってる」
「ふうん。いいじゃないか。今日は遠足も運動会もない」
「ええ? そうだけど」
相変わらずおかしなことを言う奴だ。僕は口元を緩ませた。
今日は午後から打ち合わせがある。事務所で佐山をサポートしてくれるメンバーのリスト作りをする。いよいよ佐山のソロデビューの準備が本格化するんだ。
「倫……」
佐山が僕を背後から抱きしめてくる。いつものことだけど……。
「なに?」
「朝から起ったから、あんたで抜く」
おい……。朝から起つのはいつものことだろう。でも、その言い方、なんかやだ。
「嫌だ。そんな愛も感じられないエッチは断る」
「ええ? なんだよ。愛はあるよ。いっつも、めっちゃくちゃあるよ!」
そう言って僕をベッドに押さえつけ、強引にキスをしてくる。
「うわっ……んんっ」
体重をかけると、すかさず僕の下着を脱がしにかかる。
「よせっ」
なんだか僕もムキになって抵抗する。でもそれが何かのスイッチ入ったのか、佐山は俄然張り切りだした。
「うーん、抵抗するあんたは、可愛さ倍増だ」
にやぁとイヤらしい笑みを浮かべると、脱がしたショーツをポイっと投げ捨てた。
「ああっ、このやろっ」
僕が言う間もなく、あいつは右腕で僕の左足を担ぎあげる。途端にあられもない恰好になってしまった。
「あっ!」
佐山は攻め手を緩めない。左手の親指で露わになったところをくねくねとなぞられる。
「はあっ……」
思わぬ快感。体に震えがきてしまった。
「ふふーん、もう逃げられない」
「もう……ばかやろ……」
結局、僕たちはお互いの朝起ちを大変気持ち良く解消した。
「しかし、マジで凄い雨だな。事務所行けるかな」
ベランダに続く掃き出し窓から、佐山は外を眺めてそう言った。手には朝食の珈琲を持ち、濡れた髪そのままで立っている。
「だろ? 昼には止むといいけど」
僕も同じようにコップを持って、佐山の隣に並んだ。窓の向こうには先ほどと変わらぬ様子の強い雨が道路をたたき、まるで川のようになって流れていく。
「倫」
「なんだ?」
「ところで、ちゃんと愛はあったろ?」
なんだ。まだそんなこと気にしてたのか。
「わかってるよ。おまえの愛なんか、全身から駄々洩れじゃないか」
佐山は嬉しそうに口角を上げ、僕の乾ききっていない髪にキスをした。
「俺の体はおまえへの愛で出来てるからな」
恥ずかしくもなくそんなことを言う。僕はそんなおまえが好きだ。
雨はまだ止まないけれど、おまえのお陰で僕の心はいつも晴れ晴れとしているよ。
0
お気に入りに追加
102
あなたにおすすめの小説
僕を拾ってくれたのはイケメン社長さんでした
なの
BL
社長になって1年、父の葬儀でその少年に出会った。
「あんたのせいよ。あんたさえいなかったら、あの人は死なずに済んだのに…」
高校にも通わせてもらえず、実母の恋人にいいように身体を弄ばれていたことを知った。
そんな理不尽なことがあっていいのか、人は誰でも幸せになる権利があるのに…
その少年は昔、誰よりも可愛がってた犬に似ていた。
ついその犬を思い出してしまい、その少年を幸せにしたいと思うようになった。
かわいそうな人生を送ってきた少年とイケメン社長が出会い、恋に落ちるまで…
ハッピーエンドです。
R18の場面には※をつけます。
幸せの温度
本郷アキ
BL
※ラブ度高めです。直接的な表現もありますので、苦手な方はご注意ください。
まだ産まれたばかりの葉月を置いて、両親は天国の門を叩いた。
俺がしっかりしなきゃ──そう思っていた兄、睦月《むつき》17歳の前に表れたのは、両親の親友だという浅黄陽《あさぎよう》33歳。
陽は本当の家族のように接してくれるけれど、血の繋がりのない偽物の家族は終わりにしなければならない、だってずっと家族じゃいられないでしょ? そんなのただの言い訳。
俺にあんまり触らないで。
俺の気持ちに気付かないで。
……陽の手で触れられるとおかしくなってしまうから。
俺のこと好きでもないのに、どうしてあんなことをしたの? 少しずつ育っていった恋心は、告白前に失恋決定。
家事に育児に翻弄されながら、少しずつ家族の形が出来上がっていく。
そんな中、睦月をストーキングする男が現れて──!?
R18禁BLゲームの主人公(総攻め)の弟(非攻略対象)に成りました⁉
あおい夜
BL
昨日、自分の部屋で眠ったあと目を覚ましたらR18禁BLゲーム“極道は、非情で温かく”の主人公(総攻め)の弟(非攻略対象)に成っていた!
弟は兄に溺愛されている為、嫉妬の対象に成るはずが?
狂宴〜接待させられる美少年〜
はる
BL
アイドル級に可愛い18歳の美少年、空。ある日、空は何者かに拉致監禁され、ありとあらゆる"性接待"を強いられる事となる。
※めちゃくちゃ可愛い男の子がひたすらエロい目に合うお話です。8割エロです。予告なく性描写入ります。
※この辺のキーワードがお好きな方にオススメです
⇒「美少年受け」「エロエロ」「総受け」「複数」「調教」「監禁」「触手」「衆人環視」「羞恥」「視姦」「モブ攻め」「オークション」「快楽地獄」「男体盛り」etc
※痛い系の描写はありません(可哀想なので)
※ピーナッツバター、永遠の夏に出てくる空のパラレル話です。この話だけ別物と考えて下さい。
好きなあいつの嫉妬がすごい
カムカム
BL
新しいクラスで新しい友達ができることを楽しみにしていたが、特に気になる存在がいた。それは幼馴染のランだった。
ランはいつもクールで落ち着いていて、どこか遠くを見ているような眼差しが印象的だった。レンとは対照的に、内向的で多くの人と打ち解けることが少なかった。しかし、レンだけは違った。ランはレンに対してだけ心を開き、笑顔を見せることが多かった。
教室に入ると、運命的にレンとランは隣同士の席になった。レンは心の中でガッツポーズをしながら、ランに話しかけた。
「ラン、おはよう!今年も一緒のクラスだね。」
ランは少し驚いた表情を見せたが、すぐに微笑み返した。「おはよう、レン。そうだね、今年もよろしく。」
生意気オメガは年上アルファに監禁される
神谷レイン
BL
芸能事務所に所属するオメガの彰(あきら)は、一カ月前からアルファの蘇芳(すおう)に監禁されていた。
でも快適な部屋に、発情期の時も蘇芳が相手をしてくれて。
俺ってペットか何かか? と思い始めていた頃、ある事件が起きてしまう!
それがきっかけに蘇芳が彰を監禁していた理由が明らかになり、二人は……。
甘々オメガバース。全七話のお話です。
※少しだけオメガバース独自設定が入っています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる