【R18】僕とあいつのいちゃラブな日々

紫紺

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第1部

第32話 ある朝の風景 その2

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 今日はオフだ。基本的によそ様との約束がないだけで、全くのオフではないけれど。一応何時に起きても支障がない自由な日。

「倫、そろそろ起きるか?」

 翌日オフだとその前の夜は、二人ともタガが外れてめちゃくちゃになる。ベッドの上のシーツは乱れに乱れ、お互いたいていパジャマを着ていない。大体佐山はほぼちゃんとパジャマを着ない。着ててもどうせ僕に脱がされるから面倒というのがあいつの言い訳だけど、人聞きが悪い。そんなの三日に……三回くらいだから、毎日か。ははっ。

「起きてもいいけど、その前に……」

 僕は佐山の首の後ろに両腕を絡めてキスをせがむ。佐山はチュッと音をさせて僕の唇を一瞬だけ吸い付く。

「キスだけでいいよな」

 なんだそれは。一体何をもったいぶってるんだ。佐山は仕事のある日、ぐずぐずして僕が起きないようにとするくせに。休みの日はさっさと切り上げるのは解せん。

「嫌だ。キスだけなんてやだ」

 僕は唇を尖らしてあいつにそう訴える。あいつは呆れた顔をして、僕が絡めた腕を解きにかかる。

「昨夜あれだけやったのに、まだ足りないのか?」
「足りない!」

 解かれまいと僕は両腕に力をかける。足りなくもないけど、なんか雑に扱われるのはいやだ。断じて、足りないわけじゃない。

「王子様は貪欲だなあ」
「王子様ってなんだよ」

 佐山は僕のことをお姫様と呼んだり、王子様と呼んだり、その時でいつも呼び方が違う。

「わかった、わかった。機嫌なおせ。シャワー浴びたいから一緒に行こう」
「シャワー?」
「そうだ」

 確か昨日の朝も一緒にシャワーを浴びたような。僕は上目遣いで佐山を眺める。佐山は僕の言いたいことがわかったのか、口角を上げた。

「覚悟しろ。もう、足りないって言わせないからな」
「あ……うん」

 佐山は絡めた腕をそのままにして僕を抱き上げる。

「王子様じゃなくて、お姫様だっこだな」
「えへへ……」

 僕は佐山にしがみつき、頬にキスをする。やれやれと首を振りながら、佐山は僕をバスルームへと運んでいった。

 『ある朝の風景』、は僕らの『いつも』なんかではない。こんな破廉恥な朝は、一週間に……6回くらいだ。



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