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第1部
間奏話<佐山目線>攻撃的なキスのワケ
しおりを挟む俺がネット通販で欲しいアンプを眺めていた時のことだ。少し値が張る買い物だったので、どうしようか悩んでいた。
その様子をどう思ったのか、倫が俺の背後でちょろちょろしている。やっぱり今の稼ぎでこれは無理かな。そう諦めかけた時、思いも寄らずあいつが賛成してくれた。
「おまえがやりたいなら、いくら掛かってもいいよ。僕は」
俺は心から嬉しかった。喜んでポチったのだが……。その後、あいつはこう続けた。
「でも、あまり痛すぎるのは……」
「はん?」
俺が悩んでたアンプはSMオーディオっていう、かなり有名な機材メーカーのだ。なんだけど、あいつ、勘違いしたんだよな。S&Mに。
俺は腹が捩れるかと思うくらい笑った。真っ赤になってめっちゃ可愛かったなあ。
しかし……。もしかしてあいつ、今のセックスに物足りなさを感じているのか? なんか刺激が欲しいんだろうか。そう考えだすと、笑ってる場合じゃない。なにか道具を買うべきかと暇さえあれば、モバイルを眺めることになってしまった。あの時、あいつにも買ってやると言った手前もある。
――――しかし、こういうの使ったところでだなあ……。
倫に痛い思いはさせたくない。そういうのは好きじゃないはずだ。多分……。俺は精力に任せて今までやってきたけど、それだけじゃダメなんだろうか。テクニックの問題か?
SMの道具として、拘束具というのがある。手錠とかでベッドに縛って文字通り動けなくするやつだ。これなんかどうだろう。痛くないようになってるし。
これを倫に取り付けて……ええっ、これは俺が興奮するやつじゃないか。大の字にするもよし、ドッグスタイルにするもよし、あいつが裸で身をよじる姿が浮かぶ。うわっ、妄想してたら股間がヤバい! 倫、今いないのに。なんか買い物に行ってるんだよ。だからこんなの物色してるんだけど。
えっとなになに、目隠しもあるのか。これをつけさせて襲うとか! あいつの喘ぎ声が聞こえるようだ。ひゃー、やってみたい!
――――いかん、これは倫じゃなくて俺が喜ぶ道具だ。あいつは多分楽しくない。
益々俺の股間はヤバいことになってきた。なのに、全く買うべきものが見当たらない。
「ただいまー」
わっ、倫が帰ってきた。俺は慌ててモバイルを閉じる。
「お、おかえり」
「うん、今日の晩御飯さ……って、おい、なんだよ」
俺はきらきらした瞳とピンクの唇に突進した。もう我慢できなかった。買い物袋をキッチンに置くのも許さず抱きしめた。
「佐山……どうし……た……」
何か言おうとする唇を塞ぐ。あいつの全てを吸い尽くす勢いでむしゃぶりついた。倫は驚いたようだったけど、素直に俺の背中に手を回してくれた。
俺はそのまま倫を床に押し倒し、乱暴に服を剥ぐ。頭の中に、拘束具を付けた倫がイメージされてて、つい乱暴になってしまった。
「ううっ、ああっ」
倫が声を上げると、俺はまたまた元気になる。あいつの両足をあげさせ、自分のモノを中へと押し込んでいく。
「あっ……んん……さやま……」
なんて可愛い声なんだ。俺の名を呼ぶあいつの声を閉じ込めたくて、俺はまた唇を塞ぐようにキスをする。
「はあっ……はあ……」
俺の下で倫が荒い息とともに声を上げる。妖艶なこの顔がたまらない。俺が腰を上下させる度にあいつは体をよじって興奮を俺に伝えてくる。
――――たまんねえ!
俺はあいつの股間で固くなっているモノを握りしめ、自分の動きに合わせて可愛がる。
「ううああっ」
倫が俺の背中に爪を立てる。俺ももう限界だ。
「一緒に逝こう」
俺が荒い息を吐きながらそう言うと、倫が頷く。俺は動きを速め絶頂へと上り詰める。
「ううっ……ああぁぁっ」
倫が極上の声を上げる。俺も大きく息を吐きフィニッシュ……。気持ちいい。めちゃくちゃ気持ちいい……。俺は倫の体に折り重なるように崩れ落ちた。
ところで……結局俺は、倫に『道具』を買ってやれなかった。何を買っても自分の方が楽しいと思えたからだ。悩んだあげく俺が買ったのは……。
「なんだよ。こんなにビキニパンツ買って。これまた、僕が穿くのか」
「消耗品だし。今回は、ほら、ハートマークとかもあるぞ」
「誰得だよ」
倫はちょっと照れくさそうに、でも少し嬉しそうに見えたのは、気のせいかな。どっちにしても、俺が喜ぶものになってしまった。
※本編20話『攻撃的なキス』のアンサーストーリーです。
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