30 / 208
第1部
第27話 マネージャー日記
しおりを挟む僕らは新たな目標に向けて始動している。佐山をソロデビューさせるのがまずは最初の目標だ。
佐山が目指しているのはロックとクラッシック、ジャズを融合したようなスタイル。インストルメンタル中心で楽曲を作り、一人、もしくはサポートをお願いしてライブやCD制作をする。
でも、ジャンルは超マイナーだし、まずはスポンサーが必要になる。今度はこちらからどこかのレーベルに契約してもらわないといけない。
僕はまず、佐山の各SNSのアカウントを取得し、オフィシャルサイトを作成した。ウィチューブにも進出する予定だ。佐山はというと、そのための新曲づくりに頑張ってる。役割分担ってこと。
「お、それ俺のオフィシャルサイト?」
ということで、僕はテーブルの上にPCを置いて、色々試作中。僕もサラリーマンだった頃は、こういうこともやってたので、結構得意分野だ。
「うん、この写真、いいだろ?」
佐山がステージでギターを弾いている。ライトを浴びて、肩の筋肉が光る。斜め下を見ているので、伏し目がちだが、長い睫毛と筋の通った鼻が綺麗だ。佐山はどこから撮ってもカッコいいけど、この角度が一番いい。
「そうだな。俺もこの写真好きだ」
ページにはスケジュールの他に、ファンが気になることも載せていくつもりだ。
「なにこれ? マネージャー日記?」
「これはこのサイトの目玉だよ」
目玉は言い過ぎだけど、どうせ佐山はサイトに何かを投稿するなんてしないから、僕が彼のちょっとしたプライベートを切り売りしようと思っている。
例えばアニメ映画を観るのが趣味だとか(観ながら何したかはもちろん書かない)。ジムではこんな器具で鍛えてるとか(まさか、シャワーであんなことしてるとは書かない)。
「ふうん、じゃあ、ジムのシャワーでえっちしたとか、ドライブしながら逝ったとか、打ち上げの居酒屋でヤッたとか、書くのか?」
「あほか! なわけないだろう!」
「じゃあ、このサイトを作りながら、抱かれましたって書いて」
「え、おいっ」
佐山はそう言うと、パーカーを脱がそうとする。
「やめろよ、折角……」
仕事してるのに……と言おうとした。でも、そんなことを言う暇も持たせず、あいつは僕を押し倒す。
「もう……」
「俺は話題を提供してるんだ。何回逝ったかも書いてね」
書けるわけないじゃないか、そんなこと。大体、何回逝ったかなんて数えちゃいないよ。
「んん……はぁ」
あいつのエロ過ぎる唇が僕のそれを食み、息もできないくらい吸い付いてくる。それが始まってしまうと、僕はもう抗うことなんかできない。そんな気も起きない。
あいつの怒涛の愛撫を浴びたら誰だってそうなるよ。あ、失言だな。僕以外の誰にも浴びさせない。
「可愛い、可愛いよ、倫」
佐山は僕の耳元でそう囁く。ぞくぞくして僕の体に火がついちゃうよ。あいつの首に両腕をからめ、狂ったようキスをせがむ。そんな僕を佐山はいつものように受け止めてくれた。熱いキスをもらえば、僕はいつでも昇天できるよ。
マネージャー日記 VOL1
投稿第一日目! 今日、このサイトを作っていたら、佐山さんがとても興味を持ってくれました。
「俺も話題を提供しないとね」
なんて言ってくれました。僕らはこれから一つになって頑張っていくことを誓いましたよ。
なんてね。
0
お気に入りに追加
102
あなたにおすすめの小説
僕を拾ってくれたのはイケメン社長さんでした
なの
BL
社長になって1年、父の葬儀でその少年に出会った。
「あんたのせいよ。あんたさえいなかったら、あの人は死なずに済んだのに…」
高校にも通わせてもらえず、実母の恋人にいいように身体を弄ばれていたことを知った。
そんな理不尽なことがあっていいのか、人は誰でも幸せになる権利があるのに…
その少年は昔、誰よりも可愛がってた犬に似ていた。
ついその犬を思い出してしまい、その少年を幸せにしたいと思うようになった。
かわいそうな人生を送ってきた少年とイケメン社長が出会い、恋に落ちるまで…
ハッピーエンドです。
R18の場面には※をつけます。
幸せの温度
本郷アキ
BL
※ラブ度高めです。直接的な表現もありますので、苦手な方はご注意ください。
まだ産まれたばかりの葉月を置いて、両親は天国の門を叩いた。
俺がしっかりしなきゃ──そう思っていた兄、睦月《むつき》17歳の前に表れたのは、両親の親友だという浅黄陽《あさぎよう》33歳。
陽は本当の家族のように接してくれるけれど、血の繋がりのない偽物の家族は終わりにしなければならない、だってずっと家族じゃいられないでしょ? そんなのただの言い訳。
俺にあんまり触らないで。
俺の気持ちに気付かないで。
……陽の手で触れられるとおかしくなってしまうから。
俺のこと好きでもないのに、どうしてあんなことをしたの? 少しずつ育っていった恋心は、告白前に失恋決定。
家事に育児に翻弄されながら、少しずつ家族の形が出来上がっていく。
そんな中、睦月をストーキングする男が現れて──!?
R18禁BLゲームの主人公(総攻め)の弟(非攻略対象)に成りました⁉
あおい夜
BL
昨日、自分の部屋で眠ったあと目を覚ましたらR18禁BLゲーム“極道は、非情で温かく”の主人公(総攻め)の弟(非攻略対象)に成っていた!
弟は兄に溺愛されている為、嫉妬の対象に成るはずが?
好きなあいつの嫉妬がすごい
カムカム
BL
新しいクラスで新しい友達ができることを楽しみにしていたが、特に気になる存在がいた。それは幼馴染のランだった。
ランはいつもクールで落ち着いていて、どこか遠くを見ているような眼差しが印象的だった。レンとは対照的に、内向的で多くの人と打ち解けることが少なかった。しかし、レンだけは違った。ランはレンに対してだけ心を開き、笑顔を見せることが多かった。
教室に入ると、運命的にレンとランは隣同士の席になった。レンは心の中でガッツポーズをしながら、ランに話しかけた。
「ラン、おはよう!今年も一緒のクラスだね。」
ランは少し驚いた表情を見せたが、すぐに微笑み返した。「おはよう、レン。そうだね、今年もよろしく。」
狂宴〜接待させられる美少年〜
はる
BL
アイドル級に可愛い18歳の美少年、空。ある日、空は何者かに拉致監禁され、ありとあらゆる"性接待"を強いられる事となる。
※めちゃくちゃ可愛い男の子がひたすらエロい目に合うお話です。8割エロです。予告なく性描写入ります。
※この辺のキーワードがお好きな方にオススメです
⇒「美少年受け」「エロエロ」「総受け」「複数」「調教」「監禁」「触手」「衆人環視」「羞恥」「視姦」「モブ攻め」「オークション」「快楽地獄」「男体盛り」etc
※痛い系の描写はありません(可哀想なので)
※ピーナッツバター、永遠の夏に出てくる空のパラレル話です。この話だけ別物と考えて下さい。
キスから始める恋の話
紫紺(紗子)
BL
「退屈だし、キスが下手」
ある日、僕は付き合い始めたばかりの彼女にフラれてしまった。
「仕方ないなあ。俺が教えてやるよ」
泣きついた先は大学時代の先輩。ネクタイごと胸ぐらをつかまれた僕は、長くて深いキスを食らってしまう。
その日から、先輩との微妙な距離と力関係が始まった……。
【BL】男なのになぜかNo.1ホストに懐かれて困ってます
猫足
BL
「俺としとく? えれちゅー」
「いや、するわけないだろ!」
相川優也(25)
主人公。平凡なサラリーマンだったはずが、女友達に連れていかれた【デビルジャム】というホストクラブでスバルと出会ったのが運の尽き。
碧スバル(21)
指名ナンバーワンの美形ホスト。博愛主義者。優也に懐いてつきまとう。その真意は今のところ……不明。
「僕の方がぜってー綺麗なのに、僕以下の女に金払ってどーすんだよ」
「スバル、お前なにいってんの……?」
冗談? 本気? 二人の結末は?
美形病みホスと平凡サラリーマンの、友情か愛情かよくわからない日常。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる