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第1部

第27話 マネージャー日記

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 僕らは新たな目標に向けて始動している。佐山をソロデビューさせるのがまずは最初の目標だ。
 佐山が目指しているのはロックとクラッシック、ジャズを融合したようなスタイル。インストルメンタル中心で楽曲を作り、一人、もしくはサポートをお願いしてライブやCD制作をする。

 でも、ジャンルは超マイナーだし、まずはスポンサーが必要になる。今度はこちらからどこかのレーベルに契約してもらわないといけない。
 僕はまず、佐山の各SNSのアカウントを取得し、オフィシャルサイトを作成した。ウィチューブにも進出する予定だ。佐山はというと、そのための新曲づくりに頑張ってる。役割分担ってこと。

「お、それ俺のオフィシャルサイト?」

 ということで、僕はテーブルの上にPCを置いて、色々試作中。僕もサラリーマンだった頃は、こういうこともやってたので、結構得意分野だ。

「うん、この写真、いいだろ?」

 佐山がステージでギターを弾いている。ライトを浴びて、肩の筋肉が光る。斜め下を見ているので、伏し目がちだが、長い睫毛と筋の通った鼻が綺麗だ。佐山はどこから撮ってもカッコいいけど、この角度が一番いい。

「そうだな。俺もこの写真好きだ」

 ページにはスケジュールの他に、ファンが気になることも載せていくつもりだ。

「なにこれ? マネージャー日記?」
「これはこのサイトの目玉だよ」

 目玉は言い過ぎだけど、どうせ佐山はサイトに何かを投稿するなんてしないから、僕が彼のちょっとしたプライベートを切り売りしようと思っている。
 例えばアニメ映画を観るのが趣味だとか(観ながら何したかはもちろん書かない)。ジムではこんな器具で鍛えてるとか(まさか、シャワーであんなことしてるとは書かない)。

「ふうん、じゃあ、ジムのシャワーでえっちしたとか、ドライブしながら逝ったとか、打ち上げの居酒屋でヤッたとか、書くのか?」
「あほか! なわけないだろう!」
「じゃあ、このサイトを作りながら、抱かれましたって書いて」
「え、おいっ」

 佐山はそう言うと、パーカーを脱がそうとする。

「やめろよ、折角……」

 仕事してるのに……と言おうとした。でも、そんなことを言う暇も持たせず、あいつは僕を押し倒す。

「もう……」
「俺は話題を提供してるんだ。何回逝ったかも書いてね」

 書けるわけないじゃないか、そんなこと。大体、何回逝ったかなんて数えちゃいないよ。

「んん……はぁ」

 あいつのエロ過ぎる唇が僕のそれを食み、息もできないくらい吸い付いてくる。それが始まってしまうと、僕はもう抗うことなんかできない。そんな気も起きない。
 あいつの怒涛の愛撫を浴びたら誰だってそうなるよ。あ、失言だな。僕以外の誰にも浴びさせない。

「可愛い、可愛いよ、倫」

 佐山は僕の耳元でそう囁く。ぞくぞくして僕の体に火がついちゃうよ。あいつの首に両腕をからめ、狂ったようキスをせがむ。そんな僕を佐山はいつものように受け止めてくれた。熱いキスをもらえば、僕はいつでも昇天できるよ。
 
 
 

 マネージャー日記 VOL1
 投稿第一日目! 今日、このサイトを作っていたら、佐山さんがとても興味を持ってくれました。
「俺も話題を提供しないとね」
 なんて言ってくれました。僕らはこれから一つになって頑張っていくことを誓いましたよ。
                       なんてね。



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