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第5章
8 運命
しおりを挟む結局、カササギは俺に興味を持った。それから自分に時間が出来たときは、ネットで俺のことを検索していた。
「でも、あの夜会えたのは割と偶然だよ。ネット記事でタカがお気に入りの店として紹介してたんだ。もしかして会えないかなって、オレは時々あの店の前をうろうろしてたんだ。
店を追い出されたあの夜も行ってみた。これで会えなければ、路頭に迷うか納屋を訪ねるしかなかったから、結構追い詰められてたんだ」
さすがにネットを普通に検索したくらいじゃ、俺の住所まではわからなかったろう。あの日、雨が降っていたのは彼らにとって幸運だったに違いない。空では目ざとく切り抜けることはできなかった。
「扉を開けて歩いてくるタカの姿を見つけたときは、運命だと思ったよ」
ころんとカササギは俺の膝の上に転がった。やはりただの偶然じゃあなかったんだ。そうわかっても腹が立つわけではない。
運命論には賛成しないが、あの夜、俺があの店を使っていて良かったと、心から思う。
「そうだな……おまえがあそこにいて、良かったよ」
俺は膝枕するカササギの髪を撫でる。暖かい。人の血が通っている証拠だ。
「あ、よせ……こら」
カササギは俺の側に体を捩じり、ファスナーを下げた。トレーナーの中に潜るようにして、主張し始めたものに触れてくる。
「だめ、もうオレ待てないから……」
「あ……もう……」
あいつの肩に置いた手に力が入る。だが、俺ももう抗うことは出来なかった。ボクサーパンツの隙間から取り出すと、あいつは唇と舌を使って俺の快感を支配する。
「このやろ……」
俺はカササギをトレーナーから掘り出す。よだれで汚れた唇に吸い付いた。
「たか……」
そのまま折り重なるようにしてラグの上へ倒れ込む。あいつの服を引っぺがし、俺は欲望の示すとおりにあいつを抱いた。テレビからはインドを訪れた一行の場面になったのか、場違いなアジア音楽が流れていた。
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