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第57話 一緒に寝たら。
しおりを挟む幾分、大胆なことを発言したかと思う。夢の中でお互い恋をしている瀬那と真豪。
それを言葉にすることはできないけど、最後の夢で、瀬那の気持ちは明らかだとわかった。
「だって、真豪は剣の達人なんだ。それに……」
「それに?」
「気配が。こう、僕のそばにいるときの感じが、冬真みたいに思えるんだ」
それはずっと思っていたことだった。夢の中では、冬真ならいいなと思ってるからそう感じるだけなんだろうけど。
信永がイケメンだったことからも、真豪も絶対いい男に修正されている(実在してるならだけど)。だから普通に冬真の顔した真豪が夢に出てきてもいいはずなんだ。
「真豪っていう親族はいないが……そうだな。私の祖先ならいいな」
ちょっと……いい雰囲気になってきたかも。どうしよう、心臓が破裂しそうなんだけど。
「あ、あのさっ」
「どうした?」
「い、一緒に寝たら、また夢見るかも。ま、真豪の顔、見れるかも」
「は?」
あ……なんか誤爆したみたい。何を言い出したんだ。みたいな表情の冬真がぽかんと口をあけている。
――――ああ、泣きたい。
「そうだな」
「え?」
「いいよ。やってみる価値はあるかも。おいで」
ふっと鼻で笑ってるところをみると、僕の魂胆に気付いたか。
「あ、うん」
しかし、だとしたら余計に拒む理由はなにもない。僕は跳ねるようにして冬真のベッドに飛び移った。そのまま冬真の腕のなかにダイブする。
――――ひゃあー。付き合って二ヶ月。ようやくここまで来たーっ!
「夢を見るためにはどうしたらいいかな」
僕の頭の上に顎を乗せて、そんなことを問いかける。
「ま……まずは……キスか……な」
「それ、関係あるか?」
「あるよ……だって、瀬那は真豪にキスしてもらいたいんだ」
そうだよ。信永なんかに抱かれたくなかった。
「それは、一理あるな」
え。そう? 自分で言っておいて僕は怯む。冬真の大きな手が僕の顎を包み込むようにそえてきた。僕は目を閉じて、誘導されるまま上を向く。
――――んん……。
柔らかい唇が僕の頭を痺れさせる。実家でもしたようにお互いが計ったように舌を絡ませ合った。
――――もう、誰も止めないでくれ。お願い。
僕は冬真の首に両腕を絡めた。同時に冬真の腕が僕の腰を抱く。あれほど激しい動きをしても、乱れなかった冬真の息が聞こえてくる。
なんだかそれだけで、僕の胸は満ちていくよ。耳朶に這わす唇と舌のざわめきを聞きながら、僕はベッドへと沈んでいった。
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