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第16話 お誘い

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 連休が終わり、再び平常な日々が始まった。尤も大学は真ん中に1日だけ講義があった。けど教授陣も心得ていて、自習だったり今までの復習だったりと学生たちがいないこと前提のものになっていた。

 ということで、久々にキャンパスは学生たちの明るい声で満たされた。初夏の風が気持ちいい。女の子たちの服装が少し軽やかに鮮やかになった気がした。

「おーい、花宮。いい情報持ってきてやったぞ」

 相変わらず、僕に声をかけてくるのは上白石だけか。他にも友達はできたけど、彼らはクラブ活動やサークルに忙しくて、僕に構ってる暇はないらしい。  

 僕はそういう活動には消極的なので、未だ無活動。上白石は大学外の活動(主に武芸オタク活動)に忙しいのかサークルには入っていなかった

「なに、また演武会かなにか?」

 水無瀬先輩が出るなら、本音では行きたいけどご遠慮するしかない。あれから先輩には出会わないよう気を付けて出入りしているんだ。

「いや、飲み会だよ。俺らみたいに無所属でも行けるやつ」
「へえ。なになに」

 無所属とは面白い言い方だな。でも確かにそうだ。サークルや部活に入ってる奴はそのなかで歓迎会やらお疲れ会なんかで普通に飲み会ができる。無所属だとその機会は果てしなく少ないんだ。出会いへの壁も厚くて高い。

「俺の高校の時の先輩が主催するやつ。先輩、法学部なんだけど」

 文学部との交流会を主催するらしい。ちなみに僕らは情報処理学科。

「男子学生が足りないから誰でも連れてきていいって言われたんだ。結構な人数が来るらしいから紛れられるし、出会いもありそうだろ?」

 出会いか。そうだな。先輩とのことでモヤモヤしてないで、苦手意識克服に向かうのはいい解決法かも。万が一彼女出来たりしたら、向こうも諦めてくれるだろうし(かなり望み薄ではあるけど)。

「いいね、教えて」
「おお、前向きだねえ。よし……」

 上白石はタブレットを取り出し、店の写真等々を見せてくれた。提示されている会費も良心的だし、文学部や法学部には知り合いがいないので興味はある。僕は即決した。


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