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番外編 男たちの野望 ~祥を取り巻く男達の実情を描く!~
エピソード4 舞の気持ち
しおりを挟むちょっと待ってよ。ここのタイトル、「男達の野望」でしょ。私は違うわよっ。
でもまあ、祥のこと、多分一番よくわかってるから、ちょっとだけ登場させてもらうわ。
あいつと出会ったのは高校生の時。とにかくそこらのアイドル顔負けのイケメンで性格も悪くない。勉強も出来るし、しれっと運動神経までよかった。
一年生の時からファンクラブがあったわよ。怖いお姉さまたちが会長を気取って、あいつの傍に女子生徒を近寄らせなかった。
あいつ? 正直ファンクラブには辟易してたけど、女子から遠ざけられるのは有難かったんじゃないかな。
私は祥と同じクラスでね。どういうわけか親しかった。ファンクラブの幹部たちからはめっちゃマークされてたけど、昔から男っぽかったせいか、不思議に許されてたのよね。
あいつに告白したのは、何と言うか……出来心とでもいうのか、ああ、もう面倒くさいな。人生には勢いってのがあって、偶々そういうことになっただけよ。
「あんたのことが好きみたい。ファンクラブとかうざいの吹っ飛ばして、私と付き合わない?」
祥は凄く驚いてた。でも、きちんと答えてくれたな。
「ありがとう。僕も舞のこと大好きだよ。でも……」
それは恋愛じゃないって。そうだよね。お友達だよね。と、軽く流そうとしたんだけど、祥は話を辞めなかった。
「僕、実は女の子より、男が好きなんだ。今も好きな人がいるんだよ」
確かにショックだった。最初は人をからかってんのかと思った。でも、祥はそういう子じゃないから。
それから、なんだか腐れ縁のように、祥とは付き合うことになった。もちろん友達として。
あいつときたら、女子だけでなく、男子にもモテてた! 高校生の時も、既に男からラブレターもらってたんよ。これにはさすがに驚いた。
大学生になってからは、それに輪をかけて酷い有様になってしまった。祥はモテるけど、それと同じくらい、惚れてしまうの。だから、気が付くと二股も三股もかけてることになって。自分にはその自覚がないのが最大の悲劇!
相手は怒るよね。修羅場はしょっちゅうで、流血騒ぎまであった。
私はいつもその間に入って相手を宥めたりすかしたり、本ト勘弁して欲しかったわ。でも祥にしてみれば、みんな大好きってことなんで、結局フラれることになる。毎回泣いて帰ってくるのがルーチンになってたなあ。
好きな料理を活かして料理研究家として仕事を始めたとき、手伝うことになったのは必然だった。結局放っておけなくて。ただ、今度は女性相手だし、うまくいくかなって期待してたのよ。
ところが! あいつは『男性限定料理教室』なるものを始めたいと言いやがった。おまえの魂胆は丸わかりだ!
でも、祥も恋をしたいよね。それにもしかしたら、今度こそ本当の相手に巡り合えるかもしれない。私は緩く見守ろうと決意した。
そして……蓋を開ければ、あの野郎、ちゃっかり自分のタイプを入れてやがった。しかも三人も!
どうすんだよ、三人も入れて! 修羅場自分で呼び込むってどういう魂胆。せめて一人にしておけば問題ないのに、マジで切れる寸前だよ! いや、普通に切れた。
祥は今、その三人に言い寄られている。三人の気持ちには、どうやら温度差があるようだけど。祥はどうするつもりなんだろう?
あいつ、純粋な顔して、実は性悪な小悪魔なんだよね。私は三人の獲物が少し気の毒になっているんだ。
※これはまだ、鹿島さんの決意を知る前の話です。
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